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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

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108話 東の封印



東へ進んだキラたちは、森を抜けて山道へ入っていた。


遠くに見えていた山は、近づくほど大きく見える。


「……結構高いな」


キラが山頂を見上げる。


「この先に、さっきの魔物たちが向かったのよね」


レティシアが周囲を警戒する。


「ええ」


ルナが頷く。


「そして……あの山には、何かがあります」


エリスが弓を背負い直した。


「何かって?」


「分かりません」


「また記憶?」


「はい」


ルナは少し困ったように笑った。


「でも、今回は前よりはっきりしています」


「何が見えた?」


キラが尋ねる。


ルナは山頂を見つめた。


「石碑です」


「石碑?」


「大きな石碑。その周りに、いくつもの魔法陣がありました」


キラの表情が変わる。


「封印か」


「たぶん……」


そのとき。


――ドン!


山の奥から大きな音が響いた。


「!」


鳥たちが一斉に飛び立つ。


「今の音……」


エリスが呟く。


キラは剣を抜いた。


「急ごう」


四人は山道を駆け上がった。



---


しばらく進むと、道の途中に大きな岩が転がっていた。


その岩には――


黒い紋章が刻まれている。


「また……」


レティシアが眉をひそめる。


キラが近づいて確認する。


「これ、新しい」


「え?」


「さっきの遺跡にあったものより、黒い魔力が濃い」


ルナが岩に手を近づける。


「……ここを通った人がいます」


「黒い紋章の連中?」


「はい」


ルナは目を閉じた。


「三人……いえ、もっといます」


「人数まで分かるの?」


「魔力の残り方で、なんとなく……」


キラは山頂を見る。


「じゃあ、先に行かれてる」


「そうね」


レティシアが剣を握る。


「急ぎましょう」


その直後だった。


――ガァァァッ!!


山道の上から咆哮が響いた。


「来る!」


エリスが弓を構える。


巨大な影が岩場を駆け下りてくる。


「狼……?」


だが、普通の狼ではない。


二回り以上大きな体。


そして額には――


黒い紋章。


「キラ!」


「分かってる!」


キラが前へ出る。


狼が跳ぶ。


「《ウィンドシールド》!」


風の壁が展開される。


――ドン!!


狼の突進が弾かれた。


「レティシア!」


「任せて!」


レティシアが一気に間合いを詰める。


狼が爪を振り下ろす。


――ガキィン!


レティシアが剣で受け止める。


「重い……!」


狼が力任せに押し込んでくる。


レティシアは足を踏ん張った。


「でも――!」


剣を滑らせる。


狼の爪が空を切った。


「そこ!」


レティシアが斜めに斬り上げる。


――ザシュッ!


狼の肩が切り裂かれた。


「エリス!」


「任せて!」


矢が飛ぶ。


――ヒュン!


矢は狼の前脚へ突き刺さった。


狼がよろめく。


キラが一気に踏み込む。


剣に魔力を集中させる。


「これで!」


――ゴォッ!


刀身の周囲に炎が走る。


キラはそのまま斬り込んだ。


「はぁぁっ!」


――ズバン!!


狼が地面へ倒れる。


黒い霧が噴き出した。


だが――


ルナが叫ぶ。


「待って!」


「え?」


「黒い霧が……!」


倒れた狼から抜けた黒い霧が、消えずに山頂へ向かって流れていく。


まるで何かに吸い込まれているようだった。


キラが目を見開く。


「……あっちに送られてる?」


「はい」


ルナの顔が青ざめる。


「封印の力を……削っています」


「つまり、魔物を操っていた目的は……」


レティシアが山頂を見る。


「封印を弱らせること」


エリスが呟いた。


キラは剣を握り直した。


「急ぐぞ!」


四人は山道を駆け上がる。



---


そして。


山頂。


そこには、ルナの記憶にあったものと同じ巨大な石碑が立っていた。


石碑には大きな亀裂。


その周囲には、いくつもの魔法陣。


しかし――


すでにいくつかの魔法陣が黒く染まっている。


「……ひどい」


エリスが息を呑む。


その前に。


黒い外套の男が立っていた。


「ようやく来たか」


「お前……!」


キラが剣を構える。


男は振り返る。


「今度は逃げないのか?」


「逃げる必要がないからな」


キラの目に力が宿る。


男は小さく笑った。


「なら、見せてもらおう」


男が手を上げる。


石碑の亀裂から――


巨大な黒い腕が伸びた。


「……っ!」


ルナが震える。


「違う……」


「ルナ?」


「あれは……魔物じゃない」


ルナは青ざめた顔で呟いた。


「封印の中にいるもの……」


黒い腕が、ゆっくりと石碑を掴む。


――バキッ。


亀裂がさらに広がった。


男が笑う。


「さあ――」


「古き封印を、終わらせよう」


キラたちは剣と弓を構えた。


東の山に眠るものが、ついに姿を現そうとしていた。


第108話 終

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