100話 王都での依頼
大賢者リリーとの話を終え、俺たちはギルドを出た。
まさか王都に来て、こんな形でリリーと再会するとは思わなかった。
「それにしても……」
レティシアが隣を歩きながら呟く。
「アシュレインもリゼッタも、ルナのことを知ってるんだよね」
「うん」
俺は頷く。
以前会ったときには、三人ともルナについて詳しく話してはくれなかった。
けれど、今日のリリーの様子を見る限り――
ルナの過去には、三人が深く関わっている。
「いつか、ちゃんと聞いてみたいな」
エリスが言う。
「私もです」
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王都に来たばかりだが、立ち止まっているわけにもいかない。
俺たちはギルドで新しい依頼を探していた。
「これなんてどう?」
レティシアが依頼書を手に取る。
『王都西部の洞窟に出現した魔物の討伐』
危険度はDランク。
「今の俺たちにはちょうどいい」
俺が依頼書を見る。
「受けよう」
「決まりだね」
レティシアが笑う。
ルナは少し離れたところで俺たちを見ていた。
「私も行っていい?」
「もちろん」
こうして、王都での最初の依頼が決まった。
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王都を出てしばらくすると、岩山の中に洞窟が見えてきた。
「ここか」
入口には魔物の足跡がいくつも残っている。
エリスがしゃがみ込む。
「かなり新しいです」
「中にいる可能性が高いね」
レティシアが剣を抜く。
俺も杖を構える。
「行こう」
四人で洞窟へ入った。
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奥へ進むと、ゴブリンの群れが現れた。
「来るよ!」
レティシアが先頭へ。
「はっ!」
剣を振り、迫ってきたゴブリンを退ける。
エリスの矢がその隙を突く。
――シュッ!
俺も魔法を放つ。
「《ウィンドバレット》!」
――ドンッ!
一体が吹き飛ぶ。
残った魔物も、三人の連携によって次々と倒れていく。
「もう終わり?」
レティシアが周囲を見る。
「みたいだね」
以前より、戦いがずっと楽になっている。
それでも俺は油断しなかった。
洞窟の奥から――
まだ魔力を感じる。
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「まだいます」
エリスが弓を構える。
「強い?」
「さっきの魔物よりは……かなり」
俺たちは慎重に進む。
やがて、大きな空洞へ出た。
そこにいたのは――
巨大なオークだった。
「……大きい」
レティシアが息を呑む。
普通のオークとは明らかに違う。
身体中が傷だらけで、巨大な斧を持っている。
「でも、勝てる」
俺は魔力を探る。
強い。
だけど、今の俺たちなら十分に戦える。
「三人で行こう」
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オークが突進してくる。
「右!」
レティシアが避ける。
斧が地面を叩き、岩盤が砕ける。
「エリス!」
「はい!」
矢がオークの肩へ突き刺さる。
オークが怯んだ。
「今だ!」
俺は杖を向ける。
炎が渦を巻く。
「《フレイムスパイラル》!」
――ゴォォォォッ!!
炎の渦がオークを包み込む。
レティシアが炎の隙間を抜け、一気に接近する。
「これで――!」
――ザンッ!
オークの武器を弾き飛ばす。
エリスの矢が最後に足を止める。
そして――
オークが倒れた。
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「勝った……」
レティシアが剣を収める。
エリスもほっと息を吐いた。
俺は倒れたオークを見る。
「前より、ずっと上手く戦えてる」
魔法の威力だけじゃない。
レティシアの動き。
エリスの射撃。
俺の魔法。
三人の連携。
全部が少しずつ噛み合ってきている。
「でも」
俺は立ち上がる。
「まだまだだ」
グレートオーガ。
あの黒き器。
俺たちには、まだ届かない相手がいる。
だからこそ――
もっと強くならなければならない。
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王都へ戻ると、ギルドの受付から一通の手紙を渡された。
「キラさん宛てです」
「俺に?」
封筒を開く。
中には短い文章だけが書かれていた。
> 焦らなくていい。
今のあなたたちは、今のあなたたちにしかできないことをしなさい。
署名はない。
でも、誰からなのかは分かる。
「リリーさん?」
レティシアが覗き込む。
「うん」
俺は手紙をしまった。
アシュレイン。
リリー。
リゼッタ。
三人はすでに俺たちのことを知っている。
そして、必要なときには力を貸してくれる。
だけど――
今はまだ、その時じゃない。
「まずは、自分たちで強くなろう」
三人で頷く。
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その夜。
王都の高い塔から、リリーが街を見下ろしていた。
「……順調ね」
机の上には、キラたちの討伐報告書。
その隣には、一枚の古い記録。
そこには黒き核について、さらに重要な一文が記されていた。
『器が目覚めるとき、三つの力が再び集う』
リリーは静かに目を閉じる。
「アシュレイン……リゼッタ……」
そして――
「まだ、この子たちには早いわ」
王都の夜は静かに更けていった。
第100話 終




