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帰還




なんだか凄く懐かしく思える。

ようやく俺は帰って来たのだ。


ただ、見慣れた自室は段ボールの山となっていた。

「完全に死んだ事になってるな、これは」


「当然でしょう。死んじゃったんですから」


そりゃそうだけど、ラウラに言われると無性に腹が立ってくる。

誰のせいだと思ってんだよ。



「しかし、こりゃ、どうしたもんかねぇ」

「まずお片づけですかねぇ」


「お、手伝ってくれるのか?」

「そうしたいのは山々ですけれど、とりあえず光一さんはご家族やご友人にお会いしたほうが良いのではないですか?」


「・・・そうだったな。どんな顔されるやら」

お化けか、ゾンビか、妖怪か。

どんなアダ名を付けられるものやら。


「そもそも、皆は俺の遺体を見てるわけだろ?何て言い訳すればいいんだ?」

「大丈夫みたいですよ、グチャグチャだったみたいですし。背格好や持ち物で光一さんと判断されたようです」


・・・・・グチャグチャねぇ。

自分がグチャグチャになっている姿を想像して直ぐに掻き消す。

考えたくもない。


気心の知れた人々に嘘をつくのは気は進まないが仕方がない。

テーブルの上に置かれたままだった携帯から家族とセイヤに電話をかける。


一人で旅行をして帰ってみれば、段ボールだらけ、どういう事だ?

俺は何も知らないよ?


という体で。

無理がある事も承知で。



妹もセイヤも大泣きだったが、何とか宥め電話を終える。

騙す罪悪感はあったが仕方がない。


これから家族は死亡届等、書類関係の処理に追われる事だろう。

申し訳なかったが、任されてくれるというので、こちらは甘える事にした。



「周囲の方に恵まれてますねぇ。妹さんとセイヤさんなんて大泣きだったじゃないですか」


「そうだな、両親の方はどうか分からないけど」


「そんな事言うもんじゃありませんよ、これを気に仲良くなればいいじゃないですか」


確かにそうだ、一度死んだ身。

ここから全てをやり直すのもいいかもしれない。


そう思いながら段ボールを片付け始める。

「さて、私は行きますね」

「行くって何処にだよ、やっぱり手伝ってくれねぇのか?」


「・・・やっぱりって言わないでくださいよ。私は本当に死ぬ筈だったサイカワコウイチさんを探しに行ってきます」


「あぁ、そうだったな、今度は間違えんじゃねぇぞ」


苦笑いで返答をして、ラウラは姿を消していった。










部屋も片付いて、ソファに腰を落ち着かせる。

ようやく元の生活に戻れると、コーヒーを一口飲み込んだ時、インターフォンが鳴る。


ドアを開けると妹とセイヤがなだれ込んできた。

その後ろには両親と空。


あまり休んではいられないようだった。




妹とセイヤには泣き憑かれ。

散々心配をかけた事を思い知らされる。


30分程経った頃、俺の生存をその目で確認した両親は忙しそうに帰っていった。


俺の服がセイヤの涙と鼻水でベトベトに汚されながら暫く話したら残る面子も帰らせて、本当にようやく、息をつく。





何だかんだあったけれど、生き返れて本当によかったと心から安堵した。

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