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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第五章 4歳児

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50.怒られたのかよ

「あの時は水着持っていったけど海には入れなかったんじゃない?」

「そうだった。

 海が荒れて水泳禁止で」

「あなた温泉で泳いで怒られたわよね」

「青春の思い出だ」

 怒られたのかよ。

 若いな。

 どうでもいいけど。

 僕が黙っていると両親の話がまとまったみたいだった。

「この近くにスイミングスクールあるかな」

「調べる。

 あれば通うことでいい?」

「ああ。

 瑪瑙(メノ)も連れていくか?」

「どうかな。

 乳幼児は無理かも。

 どっちにしても近ければスーちゃんは一人で通えるでしょう」

 よし。

 スイミングスクールなんかまっぴらだけど、僕の年齢だと監督者がいなければ泳いだり出来ないものね。

 出来れば温水プールがいいなあ。

 期待して待っていたら数日後、母親が言ってきた。

「スーちゃん。

 プールに行くよ」

 待ってました。

 いつの間にか用意されていた水着や水泳帽をピンクのリュックサックに入れて出かける。

 妹は母親の腹の上にハーネス? で固定されていた。

 背負わないんだ(笑)。

 タクシーでも呼ぶのかと思ったけど、母親は僕の手を引いて歩き出した。

 結構歩いて足が疲れてきた頃に大きな平べったい建物が見えた。

 「○○スイミング何とか」という看板がかかっている。

「ここね」

 歩くと結構遠いけど、自転車ならすぐかも。

 ガラス張りのドアを開けてエントランスの受付で母親が手続きをする。

 受付の人の説明に寄れば、体験コースというのがあって一日限定で利用出来るらしい。

 そういうのってこの時代にもあったのか。

 母親と僕、そして瑪瑙(めのう)の分まで利用者用のリストバンドを貰って館内へ。

 ロッカーの鍵であると同時に利用許可証なのだそうだ。

 更衣室で水着に着替える。

 誰も居なかったけど、ここって女子更衣室だよね。

 僕、女の子だったっけ(泣)。

 まあいいけど。

 リストバンドについている鍵でロッカーを施錠してプールへ。

 館内は広かった。

 天井が高い気がするけど、これは僕が小さいからだろう。

 50メートルプールでは数人の人が泳いでいたけど、そこは素通りして子供用のプールに向かう。

 妹が歓声を上げていた。

 まだ一歳だもんね。

 訳も判らず連れてこられた場所が珍しいのかトテトテと歩いてプールに突進しようとするのを母親が止めている。

 僕はプールサイドでまずストレッチをやった。

 ヨガマットの上で毎日やっているから慣れたものだ。

 母親が目を逸らせていた。

 現実を見ないことにしたらしい。

 身体がほどよくほぐれたところでまず子供用というよりは幼児用の水たまりみたいなプールに入ってみた。

 やっと膝が浸かるくらいしか深さがない。

 バチャバチャしていると母親が声を掛けてきた。

「スーちゃん、一人で遊べる?」

「うん」

「私はこっちでメノを見ているから」

 でしょうね。

 水深20センチくらいしかない幼児用のプールに座り込んで妹と戯れる母親。

 ちらっと見てみたら結構美人だ。

 胸もあるし。

 別に何とも思わないけど(笑)。

 妹はまだ小さすぎて美醜以前の段階だった。

 でも若いというよりは幼いから肌が綺麗、というよりは輝いているような。

 老化の気配が微塵も無い。

 そんなことを言い出したら今の僕の身体もなかなかなんだけど。

 改めて自分の身体を見てみる。

 なぜか黄緑色のワンピースの水着を着せられたけど、そういえばこれ、図鑑に載っていた翡翠の色じゃないのか。

 そういう所に拘るのか。

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