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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第五章 4歳児

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48.いい運動になりそう

 えみちゃんがついてきてくれたので膨らましてもらう。

 いくら空気ポンプがあっても4歳児には結構重労働だし。

「できたよ」

「うん」

 バランスボールは大きかった。

 説明書には直径55センチと書いてある。

「75センチのもあったけど」

「それは大きすぎると思う」

 だって僕の身長ってまだ1メートルいかないんだよ。

 ボールの直径が自分の身長の4分の3もあったら運動どころじゃない。

 サーカスの曲芸になってしまう。

 正直、直径55センチでも大きすぎる気がする。

 まあいいけど。

 使っているうちに慣れるだろうし。

 えみちゃんが部屋から出て行った後、僕は早速バランスボールに載ってみた。

 というかチャレンジした。

 無理だった(泣)。

 覆い被さるのが精一杯で、それもちょっとでも気を抜くと転がってしまう。

 いい運動になりそう。

 忘れていたけどヨガマットも敷かないと。

 自分では出来そうにもないからえみちゃんに頼もうか。

 さて、いよいよ僕も4歳。

 自転車も手に入れた。

 補助輪付きなのですぐにでも乗ることは出来る。

 と思っていたら、ちょっと練習しただけで普通に乗れた。

 補助輪いらないじゃん。

 前世ではもちろん自転車を持っていたんだけど、転生してもその感覚が続いているらしい。

 自転車の乗り方は覚えたら一生忘れないらしいけど、まさか転生してもついてくるとは。

 これもチートか。

 といってもまだ腕の力がないので当分は補助輪付きで行く予定。

 ヨガマットとバランスボールもライトヨガの教本を参考にしてルーティンに組み込む。

 こういうのは習慣にしてしまえば問題ない。

 僕の部屋の真ん中にヨガマットを敷いて貰ったときには両親は微妙な表情だった。

 既に宇宙人を見るような状況は通り越している。

 観客?

 いいんだよ理解されなくても。

 僕は将来、立派な自活出来るヒキニートになるんだから。

「スーちゃん、どこまで行くのか楽しみね」

 えみちゃんが満面の笑顔で言った。

 こいつは観客というよりは実験動物を見る目をしている。

「キモい」

「何とでも言って。

 神童(ギフテッド)の成長をリアルタイムで観察出来るなんて心理学徒冥利に尽きる」

 そうかよ。

 行き着く先はヒキニートだけどな。

 そうして始まった僕の4歳児ライフは早々に方向転換を余儀なくされた。

 僕が監督者なしで補助輪付き自転車を乗り回す姿を近所の人たちに目撃されたらしくて、あの家では保護責任放棄(ネグレクト)が行われているのではないかと通報があったそうだ。

 ずいぶん前から一人で町内を歩き回っていたんだけどね。

 リュックサックとか背負っていたせいで、どこかの目的地に向かっていると思われていて問題視されていなかったらしい。

 でも自転車で広範囲を走っているのに親は何をしているのか、監督責任を放棄しているのではないかと。

 理屈がよく判らなくて母親も困惑していた。

 それで近所の人達に聞いてみたら、どうも母親がママ友デビューしてなかったせいだったことが判った。

 普通のママは子供がある程度大きくなると、近所の公園などで遊ばせるそうだ。

 同じような理由で集まってくるママたちと知り合って子育てとか悩みとかについて相談したりして、保育園や幼稚園選びの助言も受けられる。

 でも僕の母親はそういうことを一切やってない。

 もともと近所付き合いを重視するどころか意識すらしてなかった。

 僕が全然文句を言わずに部屋に籠もって遊んでいたため手がかからなかったんだよ。

 なので母親は出来るだけ早く会社に復帰したかった。

 近所の人達は僕が生まれたことすら知らなかった人も多かったそうだ。

 そのうちに妹が生まれて僕が一人で外出するようになると、乳児である妹を抱えて公園なんかには行けないからまだ許容されていた。

 でも僕が相変わらず一人で動いていることで育児放棄なのではないかと。

 母親が保健所員だか民生委員だか何だかの人に説明したことで誤解は解けたんだけど、さすがに通報は堪えたらしい。

 母親は僕と妹を連れて公園に行くようになった。

 もちろん妹はまだ乳母車だけど。

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