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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第三章 2歳児

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38.結論から言えば大差なかった

 僕と言えば、一日に数回は赤ちゃんを見に行くことにしている。

 いつ見ても寝ているんだけど、母親の話ではもう泣いたり手足を動かしたりはするそうだ。

 でもそれってほぼお腹が空いたかおねしょした時だそうで、あんまり見たくはない。

 オムツを替えるシーンなんか嫌だ。

 というわけで僕の生活は単調なものだった。

 母親が赤ちゃんにかかりっきりなので図書館にも行けないし、どっちみちもうあの図書館では新しい本は借りられそうにも無い。

 めぼしい絵本や漫画は読み尽くしてしまった気がする。

 まだ2歳なのに。

 あと数年たてば小学生用の本を読んでもおかしくないと思うけど、もう子供向けの本は十分という気がしている。

 今世の世界の歴史や地理、あるいは社会なんかは大体判った。

 というよりは僕の前世との比較が出来るようになった。

 結論から言えば大差なかった。

 僕も前世では歴史ヲタクというわけでもなかったから細かい所は曖昧だけど、日本も世界も僕の前世とほぼ同じ経緯で今に至っていた。

 もちろん細かい違いはある。

 例えば今世にも国連は存在しているけど「国際連合」というものらしい。

 僕の前世では「国際連盟」だった。

 子供用の歴史漫画だから詳しいことは描いてなかったけど、この世界でも国際連盟はかつて存在していた。

 でも第二次大戦が終わってすぐになくなってしまったらしい。

 その代わりに出来たのが国際連合で、だから今は「国連」と言えば国際連合のことだ。

 僕の前世では国際連盟が第二次大戦後もそのまま続いていたはずなんだけど。

 でもやってることは同じみたいだから大した違いはないんだろうな。

 そうそう、大まかには同じなんだけど、細かい所では色々違っている。

 アメリカって僕の前世では「アメリカ合州国」だったはずなんだけど、今の世界では「アメリカ合衆国」だ。

 いや、漢字が違うだけで英語では同じUnited States of Americaなんだけど。

 つまらない違いだけど、だから僕にとってはここは異世界だ。

 国の名前が違うのは大した事はないけど企業名が随分違うのも問題だ。

 将来はヒキニート兼株式投資家として生きていくのが希望なんだけど、いずれ株が値上がりするはずの会社名が違って来てしまう。

 一瞬絶望したけど、よく考えたら企業の名前なんか些細な事だ。

 僕の前世で発展した分野とか上手く行った企業とかは判っているから、それに沿って株を買えばいいだけだ。

 そのためにはお金が必要なんだけど(泣)。

 働かないためにはまず働いてお金を貯めなければならないのは仕方がない。

 それも日雇いとかじゃ駄目だ。

 ある程度の収入がないと株式投資家になるためのお金は貯められない。

 つまり正社員にならなければいけないのか。

 あるいは公務員とか。

 将来が暗くなっていく。

 まあ、将来の事だ。

 差し当たっては身体は女の子で心はおじさんな僕がどう生きていくかなんだよね。

 女の子として生きること自体は出来そうな気がする。

 ○EXとかの話になるのは相当先だし。

 小学校中学年くらいまではあまり気にしなくて良いだろう。

 そういえば小さい頃に一緒に暴れ回ったガキ大将な幼なじみが久しぶりに会ったら清楚な美少女に成長していたというアニメがあった気がする。

 美少女か。

 心がおじさんである僕はちょっと興味をそそられるんだよね。

 大抵の男って女装願望がないこともないし。

 外見や言動を女の子として通すことは出来ると思う。

 お化粧したりして。

 でも恋バナとかは無理かもしれない。

 それともずっとやっていれば、そのうちに精神的にも女の子になってしまうかも。

 まあいい。

 さて。

 絵本や漫画はもう十分として、だったらこれから何をするか。

 体力作りにはまだ早い。

 身体が出来上がってないどころじゃないから、ちょっと無理したらどこか痛めそうだ。

 字を書く練習は継続して続けるけど、絵はどうかなあ。

 僕、前世から芸術方面には疎いんだよ。

 実際、スケッチブックに色々描いたけど我ながら下手というか、芸術的なセンスの欠片もなかった。

 将来画家とか漫画家とかイラストレーターになる気はないし、そもそも興味も無い。

 漫画家が過酷な仕事だということは前世で知った。

 だからそっち方面は無しだ。

 そもそも働きたくないし。

 だとするとアーティストかな。

 いや、この時代ならミュージシャンか。

 テレビでは音楽番組をやっているので、この世界でも楽曲の需要はあると思う。

 いやプロじゃなくて。

 趣味として楽器演奏はどうだろうか。

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