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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第三章 2歳児

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37.幼児って本当に辛い

「スーちゃん、ご飯食べた?」

「うん」

「お腹空いてない?」

 誘惑してきた。

「少し」

「ちょっとだけね」

 父親がお風呂に入っている間に冷蔵庫から出てきたプリンを貰う。

 なかなか気が利くではないか。

「ロクさんにはないしょね」

「うん」

 まったく、おやつすら自由に食べられないとは。

 幼児って本当に辛い。

 父親と入れ替わりにえみちゃんと一緒にお風呂に入る。

 何も感じなかった。

 僕の心はおじさんのはずなんだけどなあ。

 若い女性の裸を見てもマジで何も感じない。

 自分はツルペタというレベルじゃないし。

 ほかほかのまま自分の部屋に戻ると猫がいた。

 不機嫌そうな顔をしているけど、この猫は大体こんな表情だ。

 ぺたんと座って試しに「こいこい」と呼んでみたら近寄って来た。

 どういう心境の変化なんだろう。

 そういえば僕が一日中留守にするって例の駅前託児所以来か。

 猫なりに寂しいとか思ったのかもしれない。

 横で丸くなったので背中を撫でてやるとしっぽが動いていた。

 何を言いたいんだろう。

 猫語のボディランゲージ、いやテイルランゲージは判らない。

 疲れたのでえみちゃんに寝間着に着替えさせて貰ってベッドに入る。

 猫が飛び乗ってきた。

 ちょっと撫でたけど眠いんだよ。

 おやすみなさい。

 結局、母親は1週間くらい戻って来なかった。

 入院して2日目の夜にいきなり破水してそのまま生まれたらしい。

 幸いすんなり生まれたので出産後4日で無事に退院したそうだ。

 難産だったらもっと伸びるらしいけど、母親は安産型だったらしくてあまり痛くもなかったとか。

 産まれたという連絡が来るとえみちゃんがやってきてベビーベッドなんかを設置していた。

 僕の部屋に入るのかと思ったら夫婦の寝室だった。

 ていうかそこは当分の間、母親と赤ちゃんの寝室になるそうで、父親は客間で寝るという。

 一見冷たいみたいだけど、サラリーマンな父親は赤ちゃんの泣き声で夜中に起こされたりしたらたまらないだろう。

 僕もほっとした。

 ちなみに僕の病院通いも母親が退院するまで続いたんだよね。

 だって昼間の家は無人だから。

 正確には猫がいるけど寝ているだけだ。

 やっと終わった時はほっとした。

 やっぱり知らない人達と一緒に過ごすのは疲れるよね。

 尚、あの託児室にいる子供達は最後までお互いに無関心なままだった。

 そんなものだ。

 最後の日は父親が昼ご飯の後やってきて、赤ちゃんを抱いた母親と僕を連れて病院を出てタクシーで家へ。

 さばさばしたものだった。

 病院側は日常茶飯事だし、僕たちは挨拶どころじゃなかったものね。

 母親が家に戻ってくると日常が始まった。

 あ、赤ちゃんは妹だった。

 転生者じゃないだろうな?

 まあ半年くらいは何も判らないだろうけど。

 母親が寝室のベビーベッドに赤ちゃんを寝かせると、僕を呼んで触らせてくれた。

 ほっぺがぷよぷよだ。

 凄い。

 何か肉親愛を感じてしまった。

 前世の妹にはそんなことは全然思わなかったんだけどな。

 忘れただけか。

 ちなみに赤ちゃん本人はずっと寝ているだけだった。

 泣いたりするのはもう少したってからだと。

 いつまでも見ていても仕方がないので自分の部屋に退散する。

 猫が居座っていた。

 母親が相手をしてくれなくなって僕の所に来たのか。

 まあいいけど。

 ちなみに猫の餌やり器やトイレはリビングにある。

 母親が身重になってからは水や餌の補充とかトイレの砂の入れ替えは父親がやっているらしい。

 猫はそんなこと知らないので父親には冷たい。

 知っても気にしないだろうけど。

 その猫はなぜか僕につきまとうようになってしまった。

 大抵の場合は僕のそばで寝ている。

 というか丸くなっている。

 僕も構わないからそのままだ。

 結局、ちょっかいをかけられたくないだけなのかもしれない。

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