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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第三章 2歳児

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32.まあえみちゃんにとってはひとごとだしね

 夢中になって作っていると母親が声を掛けてきた。

「スーちゃん」

「なに?」

「ちょっとこれから赤ちゃん産んでくるから。

 えみちゃんがもうすぐ来てくれるから、それまで一人で大丈夫?」

「うん」

「じゃあ、行ってくるね」

 2歳児を信用しすぎなのでは。

 それより凄いのは母親で、多分破水とかしたはずなのに整然と自分で病院に行くどころか留守の間の手配までしている。

 2歳の娘に一人で留守番させようとする度胸も凄い。

 通報されたら児童虐待(ネグレクト)で捕まるレベルなのでは。

 でもまあ、実を言えば母親も僕の異常性に慣れてしまっていて、僕一人でお留守番ってこれまでにもよくやっていたからね。

 えみちゃんが来てくれるのか。

 ていうか他に人、いないの?

 親戚と疎遠になっているにも程がある。

 まあいい。

 そのうちにインターホンが鳴って母親が出て行った。

 タクシーを呼んだらしい。

 大変だなあ。(ひとごと)

 僕は台所に行って冷蔵庫からプリンを出して食べた。

 鬼の居ぬまに何とやらだ。

 この年齢なら食餌制限がありそうだけど、一日くらいはいいだろう。

 それから部屋に籠もってなぜかすり寄ってくる猫を押しのけながら色々書いていたらインターホンが鳴ってすぐに誰かが家に入って来た。

 鍵を持っているのならえみちゃんか。

 父親は会社の後そのまま病院に行くらしいし。

 リビングを通って僕の部屋に顔を出したえみちゃんは見違えるようなスーツ姿だった。

 サラリーマンやってるじゃん。

「スーちゃん、元気だった?」

「うん」

「さくらさんはもう病院よね。

 何か食べる?」

「まだいい」

「了解」

 えみちゃんはキッチンに行くと持っているエコバッグから色々出して冷蔵庫に仕舞った。

「夕食は私と二人ね。

 ロクさんは外で食べてくるって」

「うん」

 父親は母親が入院している病院に寄ってからどこかで夕食を摂るらしい。

 するとえみちゃんは泊まっていくのか。

「私はロクさんが帰ってくるまでの留守番だよ?

 悪いけど明日も会社があるし」

 それはそうか。

 僕はよく知らないけど女性って会社に行くにも色々準備があるはずだ。

 お泊まりセットとか持ってきてないんだろうな。

「明日は」

「うーん。

 明日くらいは来るけど。

 毎日は無理。

 ロクさんが何か考えるんじゃ無いかな」

 さいですか。

 まあえみちゃんにとってはひとごとだしね。

 でも出産となると一日や二日で済むとも思えない。

 1週間くらいは母親いないのでは。

 その間、僕は一人で留守番?

 むしろ好都合だったりして(笑)。

 暗号文書いている時に誰かが来たらと思うと集中出来ないんだよ。

 ぼっちの時間は大歓迎だ。

 そう思っていたんだけど。

 えみちゃんと一緒に仕出しプレートの夕食を食べて、久しぶりに会ったんだからと二人で話しながらリビングで一緒にテレビを観ていたら思ったより早く父親が帰ってきた。

 父親(オヤジ)はえみちゃんとちょっと話してから僕を呼んで言った。

「お母さんはしばらく帰れなくなった。

 で、急で悪いんだけどスーを明日からしばらく託児所に預かって貰うことになった」

 えみちゃんが付け加える。

「朝ご飯食べたらロクさんに連れて行ってもらって、夜にロクさんに迎えに来て貰うの。

 大丈夫よね?」

 それは構わないけど、前に通っていた所は僕、出禁を食らったのでは。

「あー。

 前のとは別の所だ。

 実を言えば病院なんだが」

 え?

 何でそんなところに。

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