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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第二章 1歳児

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22.でも嘘を言うのも面倒くさいし

 どうするとか言われても。

 ていうか僕の相手をする気はなさそうだな。

「本を読む」

「一緒にいた方がいい?」

 一歳児にそういうことを真顔で聞くのはどうかと思うが。

「いらない」

「じゃあ私、こっちにいるから。

 何かあったら呼んでね」

 えみちゃんはあっさりリビングに去った。

 テレビでも見るつもりなのか。

 ドアを開けていってくれたので覗いてみたら、えみちゃんはソファーテーブルの上にノートを広げていた。

 パソコンじゃ無くて紙のノートだけど。

 本も数冊。

 分厚いハードカバーということは専門書か?

 レポートでも書く気みたい。

 バイトしながらお勉強か。

 まあ、僕としても干渉してこないのは助かる。

 床に座って「漫画 日本の歴史」の第一巻を開く。

 そういえば前世でも子供の頃にこういう本を読んだなあ。

 いつの時代でもこうした教育本の需要は尽きないみたい。

 第一巻はもちろん原始時代だった。

 その時代が日本かと言われると困るけど、最初は仕方が無い。

 日本は島国だからむしろ楽な方なんじゃないかな。

 これが大陸だったとしたら、どこからどこまでが自分の国なのか判らないし。

 日本地図が出てきた。

 前世の記憶と同じでほっとする。

 北海道はあったけど沖縄や八丈島はなかった。

 原始時代だもんね。

 でも縄文時代とかは十数ページで終わって弥生時代になったかと思ったらすぐに建物とかが出てきた。

 今世でも大和朝廷なんだな。

 その前に邪馬台国もあった。

 前世と微妙に字が違う気がする。

 ていうか前世の記憶が邪魔だ。

 後で確認することにして読み進む。

 時代の変遷は前世での僕の記憶と大体合っているみたいだった。

 朝鮮半島や中国大陸から移民が来たり日本から使節を送ったり。

 侵略したりされたり。

 現代の日本が僕の前世と大体同じなんだから、ここら辺は変化がないとは思っていた。

 場合によっては僕も中国語とか話していた可能性もあったし。

 第一巻は朝廷というか統一国家がまがりなりにも日本を支配する所で終わった。

 ここまでは僕の前世の記憶と同じだった。

 でも僕、そもそも日本の歴史に詳しいわけでもないからね。

 ちょっとくらい違っていても判らないだろう。

 疲れたので一休み。

 喉が渇いたのでリビングに行くと、えみちゃんはテレビを見ながら猫と遊んでいた。

 猫が迷惑そうに相手をしてやっている。

 お勉強は終わったらしい。

 トテトテと歩いて行って声を掛ける。

「喉渇いた」

「あ、もうこんな時間」

 職務放棄してたな。

 まあいいけど。

「ちょっと待ってね」

 えみちゃんはメモを見ながら冷蔵庫から牛乳の瓶を出してコップに注ぎ、電子レンジに入れた。

「ええと、加熱弱で30秒」

 母親が用意したらしい。

 一歳児に冷たい飲み物は禁止だ。

 僕としては冷えたコークとか飲みたいんだけど無理だろうな。

 リビングのソファーに座って頂く。

 暖まったミルクは美味しかった。

 一歳児だもんね。

 猫が羨ましそうに見ていた。

 あげないよ?

「どう?

 日本の歴史、面白い?」

 一歳児に聞くなよ。

「まあまあ」

「そうか。

 読むのにどれくらいかかりそう?」

「一冊終わった」

「もう!?」

 失敗。

 えみちゃんが当たり前に話しかけてくるのでつい地で応えてしまった。

 でも嘘を言うのも面倒くさいし。

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