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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第二章 1歳児

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11.お金があればどうにでもなる

 積み木でお城を作りながら考える。

 働きたくないし人を使ったりもしたくない。

 でも飢えて死ぬのは嫌だ。

 少なくとも生活費くらいは必要だ。

 そう、何十回考えても結論は同じだ。

 お金だ。


 お金があればどうにでもなる。

 そもそも人がなぜ働くのかというとお金を稼ぐためだ。

 希にそんなことはないとか野望があるとか人の為に、とかいう人はいるかもしれないけど、お金があったら「仕事」じゃなくてボランティアとか趣味とかになるだけで同じ事だ。

 何かのアニメの歌詞にあったみたいに、お金さえ有ればいいんだ。


 僕も前世ではやりがいとか人生の意味とか世のため人の為とか色々志(こころざし)があったような気がする。

 最初のうちは。

 でも高齢者になった頃には悟っていた。

 そんなものは無意味だ。

 人生に意味なんかないし仕事なんかやってもやらなくてもどっちでもいい。

 人と人との繋がりとかも必要ない。

 それどころか下手に動くと人に迷惑を掛けたり社会的に色々あったりする。

 間違いなく嫌われるし、正しくあろうとするとそれ自体が非難の対象になる。

 何もなくても誹謗中傷してくる奴が大量にいる。


 とすれば。

 最初から接触しなければいい。

 お金があれば可能だ。

 少なくとも社会的な関わりを最小限にすることは出来る。

 前世にはヒキニートという用語というか概念があった。

 引きこもりのニート。

 でもあれ、むしろ憧れだった気がする。

 だって引きこもって仕事しないで生活出来ているんだよ。

 自分か親か、あるいは他の手段かもしれないけど働かなくても生活出来るだけの財産や収入があったわけで。

 でなかったら飢え死にしてしまうどころか住む場所もないはず。

 つまりヒキニートとは他人と関わらなくても生きていけるだけの環境を維持出来る人だ。


 手段は問題じゃない。

 僕の前世でもいい歳になっても働きもせずに親の臑を囓って引きこもっている人が問題、いや話題になっていたけど、それって社会から見たらむしろ優良な市民なんじゃないかと思った覚えがある。

 少なくとも人に迷惑を掛けたり闇バイトでどこかに押し入ったりする人よりはマシだ。

 もちろんそういう人を養っている保護者はたまったもんじゃないけど、社会全体からみたら問題にはならないからね。

 ただ、親はいずれ亡くなるから、それからどうするのかは判らないけど。


 でもこれが自力でヒキニートしているとしたらどうだろう。

 ある程度の財産があれば、完全に引きこもっていても問題はないのでは。

 そう、やっぱり問題解決の鍵はお金だ。

 お金さえ有ればいいんだ。

 そういえばよく覚えてないけどFIREとかあったっけ。

 なるべく早く財産を築いて引退して遊んで暮らす、だったかな。


 積み木に飽きたのでオモチャの自動車を走らせる。

 猫が近寄って来てフンフン臭いを嗅いでから離れて丸くなった。

 冷たいものだ。

 乳児だった頃は寝ていると寄り添ってきたもんだけど、今は構おうとすると露骨に迷惑そうな顔で逃げる。

 そのくせ、寝る時は布団の隅で丸くなっていたりする。

 そういえば昔は虎じゃないかと思えるくらいでかかった気がしたけど、今見ると普通? の大きさだった。

 白黒のぶちで猫としては平凡か?

 まあいいけど。


 オモチャの自動車を走らせていると猫と衝突した。

 そんなに嫌そうな顔をするなよ。

 見ていると猫はひょいと飛び上がって椅子の上で丸くなった。

 寝るつもりか。

 でも僕が近寄っていくと逃げるんだよね。

 オモチャの自動車を放り出して周りに散らばっている絵本を引き寄せる。

 日本語というかひらがなの題名が書いてあるんだけど何か変だ。

 僕が知っている字とちょっと違うみたい。

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