二話 スマホすら無くて暇すぐる①
異世界美少女達とスローライフ
「暇すぎて……死ぬぅんどぅぃぇん」
スマホが充電できないまま何週間も経って、確かに有難いことや死にかけたこともあって、それなりにある意味でも忙しかった。
昨日の夕方ピーク時も生成石を消化して、足りない素材や調味料等を生成しまくって、僕が仕事を上がるあたりだったか。
「それ、なおしてもらお?」
「そうね、あっ……」
その時パッフェの発案でバイト先の店長から、ノーム族の機械技師団体より、イケメン営業社員が派遣されて来る事になった。
「メェーィストゥー、アッチェールニェーン、めぇぃずぉぅらすぅぇーぃnものぅをーぅn、……て、アレ? アッチェルニェンさん?」
何度も僕を呼ぶ青年の声にソワソワしながら、連呼される不思議な名前は、女神の独断に依る物だから違和感が有る。
個人的にも妙に謎な名前が気になるし、ご近所的にもご迷惑かも知れないので、僕は仕方ないから応対するしか無くなった。
「いやいや~、いらっしゃるじゃないですか~、アッチェルニェンさ~ん」
スーツを着たまさに異世界の住人でしかない、その青年は爽やかにもムズムズさせて、カァーヌボォーゥな挨拶をした。
このセカイへ来てより急速に生活環境が、幕末以来の日本国の如く変化して、僕はまだそれに着いていけていない。
軽くよく分からないような頭の下げ方をして、僕は挨拶に付き物の『名刺』と云うやつを、受け取りながらこっそりと顔を盗み見た。
やたらとニコニコしている営業マンは、押し売りに来たのではないことは、名刺を見るなり明らかなのは相違ない。
青年のビジネスマンが寄越した名刺には、氏名『ヘイルメイス』と、店名『ギミックノーマ』と明記されていた。
「あっ、まだこの世界に慣れていませんでしたね、私共はノームという種族でして、機械関係などに自信と定評があります」
この青年の言葉で思い出したが、確かそんな種族がゲームか何かにいたような気がするも、何ぶん経験が有っても記憶が古い。
「そこでですが、貴方がお持ちの機械を私共に預けてみませんか? 決して悪いようには致しません。技術の進歩の為にもお借りしたいのですが、あなたにとってもその方が宜しいでしょう。」
「充電が切れてますが……」
僕はその珍しい物にあたる僕のスマホは、元来よりすこぶる世話になっていて、やや惜しいがそれを見せた。
しかし、渡そうとしてそのスマホの中に、ちょっぴりエッチな画像や動画が在ったと、思い出した僕は迷って仕舞った。
「おや? どうしました?」
青年の手がスマホを指先で掴んだ瞬間に、一瞬とは謂え僕の指先に力が入っても、どうせこのままではどうにもならないと悟った。
手を離した僕を気にしただけの青年は、また爽やかなお顔を取り戻して、僕も自分の愚行に色々とにやけた。
「では、しばらくお預かり致しますが、お直しさせて頂きながら研究させて頂きます。目処が立つのはこれからですが、必ずお返しさせて頂きますので、あっはい、では……」
僕も妙にヘコヘコしながら妙な感覚になって、またしてもニヤけてはソワソワしたが、このセカイの性質的にも無事に済むと思えた。
スマホを受け取ったその青年社員はキラキラして、そのまま丁重にもいんぎんに、カァーヌボォーゥな調子は何処へ行ったのか。
そして『ギミック・ノーマ』から派遣されたあの青年は、営業の成果を報告するのだろうが、僕がいたセカイの技術を解明出来るだろうか。
決して侮っている訳では無いが、少なからず時間や経費もかかるだろうから、無理はさせられない事も事実だった。
ノームの青年が帰った後は暇すぎて、スマホのバッテリーが尽きた辺りから、何もやることが無いのはややストレスだった。
なりに仕方無く明け渡した僕のスマホは、どのような荒波の航海を通じて、このセカイや僕になにをもたらして繰れるのか。
これまで極端に遠ざかる事の無かった、そのスマホが今は他人の手に有って、恥ずかしくも有り難い状況に在る。
スースーとソワソワしながらも、何うにもし難いのに暇狂いで死にそうな、その割にはダラダラと時間が溶けるのをひたすらに待つ。
これで若しかしたらバッテリーが復旧するか、或いはSIMロックも解除されるのかと、また或いは新しいスマホにも期待した。
待つのも何も出来ないのも苦にしながら、何うにもならないくらいなら、猫になるしかないとゴロゴロするしか無かった。
「んまぁん? まあぁん? おぉうぅん? まーじぃでぇn、ひーまなーのだぁ〜ん」
また自宅の二階に戻っても何も無すぎて、スマホも無くてソワソワしては、静寂のゾーンに突入しながら軽く引きこもる。
僕はまたマーフィンさんの店『Aille』へ出向いて、ひたすら素材量産機になっては、帰ったら何が出来るか考えた。
ただ、万一にもミスがあってはならんので、一応は作業を済ませてからにしようとか、そんな事ばかりを続けていた。
マーフィンさんの差し入れだと、パッフェが様子を見に来ては、僕を呼び込んだので、ブラックコーヒーとマカロンをやった。
毎日日課にしてみてください。




