七話 来客者が増えた件①
異世界美少女達とスローライフ
蜜月の様で何も無いフェラ氏との共同生活は、細胞の活性化に貢献するとしても、すこぶる我慢を要することは前述の通りだった。
そんな苦になっているようで充実した環境は、状況的にやや不適切ながらも、フェラ氏のご厚意だから貴重なのに相違無い。
その件以外と謂えばご来賓の方々が増えた事で、数日前よりやや頻繁に参られると、有り難くも僕は全く休まらない。
買い出しや謎の店等に入ったりしているうちに、困っている人々のお遣いもほんの稀に、なんだかんだで解決していた。
色々廻っているうちに知り合いが増えて、花園の様な美少女のたまり場と化しては、その美少女達が僕に甘えまくるようになった。
意外にも女豹人等のキャバクラ嬢もいたが、ダークウィザードのイグニットや
ダークエルフのフィーリアも参られた。
元聖少女のマリアンヌもいたが、こちらの美少女は不穏な協会の裏事情に恐怖して、街を彷徨っていたところを僕が保護した。
また、バイトが休みの日には、マーフィンさんとパッフェの差し入れ、場合によっては上がって頂いたことも在った。
まれにラブリエル氏も私用で参られて、その日は次回作のアニメで声優に挑戦すると、わざわざ僕の所へ吉報を持って参られた。
タイトルは『魔法少女 Lovely'n エンジェゥ』と、ラブリエル氏らしい役回りで、その担当キャラは当氏の分身にもなるか。
ここで一度ご来賓の方々をご紹介するが、マーフィんさんやパッフェにラブリエル氏以外は、まだ初見の方が多いと想定する。
ダークウィザードのイグニット君は、金髪低身長美少女でそれなりの戦闘経験が有りそうでも、上級魔法が使えないらしかった。
大人しく見えたと思えば、ギャルのごとく強気になったりするのでやや苦手だが、絡まって甘えて来たりするので判定が難しい。
元聖少女のマリアンヌ君は先述の通り、保護してみたのは良いとしても、寝室やリビングもひとつにして、元は一人暮らしを想定していたから部屋が足りない
協会に勤めていた少女は裏事情が怪しくなって逃亡した後、僕の自宅に住み込んで以来、聖少女としてのスキルがあまり活躍していない。
ダークエルフのフィーリア君は、自由奔放にして男や雄を弄んでは逃げ廻っていて、その時限りに野郎を振り廻していた。
僕にも何時もの様にやってみたところ、護りを固める美少女達に阻止されたが、自業自得とは謂え恨みを買った野郎の皆様から匿ってみた。
遊ぶだけ遊んで払わせるだけ払わせて、呑むだけ呑んだら歩いている内に消えて、その事が少し有名らしかった。
今ではストーカー被害に遭っていると謂うも、ツケが廻り過ぎて苦になったのか、そろそろ部屋を出ると謂っている。
まあ何人増えようが食費は掛からないし、電気代は今後に関して少々不明瞭だが、僕ですら何とかなったから問題は無かろう。
やや短絡的思考を発揮したのはいいが、一番の問題は部屋のスペースで、フローリングのみの一階を使うしか無い。
この際フェラ氏も一階に移住して戴いて、少々勿体無いと引きずったところで、ラブリエル氏の蒼白なリアクションが、僕にはトラウマになりそうだった。
フェラ氏もしなびた髪の毛の如くに控えて、それもまた僕の胃腸や神経を攻撃しては、更なる墓穴やハカアナを掘って仕舞った。
イグニット君は自活できるだろうか、フェラ氏と僕との共同生活にはマリアンヌ君も青くなって、それでも往く宛ては無かった。
逃亡者のフィーリア氏もダークネスに、並大抵な場所ではまともな生活が出来るのか、浮かんでくるのは疑問符のみだった。
そうなれば近いうちに家屋増築か、今のところ一階は女子の雑魚寝スペースにしておくが、マーフィンさんなども参られる。
一階は客間おわイベントスペースにするか、さも無ければ恩人の皆様にも、これから先に敬遠されても詰まらない。
丁度フェラ氏やマリアンヌ君にフィーリア氏と、一階に集まっていたところへ、ひょっくりとドワーフ老師が参られた。
酒と奥様のツマミ料理を持ち込んでいたので、特にフィーリア氏が反応したが、近況を確認したかったのだろう。
食器は全てプラスチック製の様な材質の物で、それにフェラ氏が各皿に取り分けて、宅に並べると老師が口を開いた。
「随分とぉー、おーぉー、増えましたな、大所帯ともなると……、部屋もないから不便じゃろおのぉ」
僕の腹に在った物を先手に繰り出して戴けたには、この様な場面で機動力が皆無の僕には、大変有り難い次第だった。
「アナタ、これからもぉ〜、んーん、増やすじゃろ? 女子寮とか……、どおじゃえ?」
集まったみんなをおもむろに見廻して、老師は毒気も無くニコニコしながら、これからも美少女たちを引き入れると推測された。
僕としては友人以下の美少女達を、三十も廻ったとは謂っても同じ家屋内に閉じ込めるには、或る意味では護れていない気がしていた。
まだ酒を呑めないイグニット君とマリアンヌ君は、僕が生成した茶葉から玉露茶を煎れて、二人にサーブしては酒に興じるフェラ氏。
日が暮れてきたので老師は引き上げて、少し後にイグニット君とフィーリア氏も退散して、がらんどうとしたような一階は急に静かになった。
急遽用意した大きめのちゃぶ台や、人数分の座椅子も何だか忽然として、僕にしがみ付くフェラ氏をマリアンヌ君が見る。
シャワーも軽い夕食も済ませて、寝室を二人に譲った僕が一階で凌ぐ生活が、数日前から続いて少し片腕がつっている。
それでも何時もと変わらない星空は、蒼白い幽玄の空間に変えていて、僕は座椅子をのしたらそのまま朝まで眠って仕舞った。
毎日日課にしてみてください。




