六話 遂にインターネット開通③
異世界美少女達とスローライフ
「んんっ、……くふうぅ、……朝ですよ、……起きて下さい……、ご主人様っ……」
朝になるとササヤキモーニングコールが、吹きかかる甘くも爽やかにネットリと聞こえて、張りの有る柔らかい体躯が密着する。
「起きないと……、朝ご飯……、ご用意出来ません、……起きて下さい……」
何も着ないで就寝されるフェラ氏が、脚を絡めながらクールにも甘いお顔を寄せては、体温も芳香もダイレクトに絡まってくる。
ハイエルフ氏の激カワ大天使なご尊顔が浮かんだが、経過はどうでも毎日世話になっては、フェラ氏も放置してはならん。
朝食は何時ものバタートーストにベーコンエッグ、コールドブリューのコーヒーに、生野菜のサラダとスープを二人分。
訊くまでもなく自分の分も用意して着席した、フェラ氏の挙動は料理時の音以外に、猫の如く音を出した試しが無い。
忍者メイドのフェラ氏は閑にもゆったりと、ツヤツヤした目許もスベスベ肌もメイクも、存分に発揮してはそのお顔が咲いている。
隅々にまで精神性の行き届いたフェラ氏を観ながら、嫌がる顔もしないどころか、何時だってニコニコしている。
ただ、恩人や看板役にスーパースター等、そのどれも捨ておくには惜しいだろうか、やはり一に絞れとなっても今は保留したい。
フェラ氏のお顔や芳香が添えられた朝食は、非常に有意義にして充実するから、朝からすこぶる快適なのが有り難い。
毎日のベッドタイムも恐ろしい事に慣れて、何かを期待してみても我慢しては、一日の始まりから妙にフワフワする。
朝食の後は少しゆっくり出来るので、少しだけフェラ氏とスマホでゲームをやって、僕が足を引っ張っても戦績は良い。
やはりサポート役に徹するか芋砂をやりながら、マークスマンライフルの弾薬を探せば、フェラ氏が置いてくれている。
そこそこに切り上げると掃除を始めるが、実に閑で快適なのはいいにしても、メイドだからと家事を任せ切るべきだろうか。
いや、そう思ってもその手のスキルが充実しているなら、むしろお任せして仕舞って、あまり隅の方は百均等の便利グッズを生成している。
僕は書き溜めてあった小説を更新しようと、約ひと月分の活字コンテンツを、更新アプリから予約アップロードした。
グールグルアカウントを用意して、パスワード等をメモアプリに控えてから、フェラ氏に確認した住所等の入力を済ませた。
まだインターネットサービス自体の歯が浅いので、更新したからといって直ぐに成果は出ないが、資産的には運用面のみが問題だった。
数時間経ってもまだ午前が終わるには時間が在るので、フェラ氏の作業もキリ良く済ませて、僕たちは買い物に出かけた。
インターネット接続が可能で、既にそこそこのサービス展開が見られるなら、
パソコンで本格的にスタートすると極まっていた。
それでゲーミングノートパソコンを、フェラ氏と買いに行くためにグールグルマップで探知しながら電化製品店へ入った。
目当ては"ゲーミングノートパソコン"を一台、それをフェラ氏に選んで戴いて、帰ってから僕がスキルで複製する。
一応としてマウスもキーボードも買って、メイド忍者のコスプレイヤーみたいなフェラ氏は、良い意味で悪目立ちしていた。
当氏は別段何とも無しにむしろはてなとなったので、この最高級美女にはそれらしくと、僕は朝の調子で並んで歩いた。
そこで僕はある真理に到達して悟ったが、いくら忍者メイドと在っても、最高級美女と並べば立派なソレに該当する。
歩く先にクレープ屋だろうか、その屋台小屋のような店を見るフェラ氏は、クール美女の割に目許をキラキラさせる。
チョコバナナクレープみたいなやつを二つ、少し待てばすぐ出来るそれは写真で選んだが、アプリで確認すると、『マキヤキオヤッチュ』と呼ばれる物のひとつだった。
頼んだ商品は『チュッコキサオクリムン』といって、スライスバナナとチョコソースと生クリーム、それをを焼いた生地で巻いた物だった。
僕たち二人からすれば完全にクレープだったが、以前の現実世界とほぼ同一の物が、こちらの異世界にも実在していた。
フェラ氏には失礼かも知れないが、推定として身長も僕くらいは有って、幾つか僕よりも歳上にも見えるがどうだろうか。
僕は三十歳だがこんな細かい事はどうでもよく、それでもお姉さん?とサンゼロのヤロウ、この二者が揃えばディートゥではあるまいか。
メイド忍者氏のゲームアカウントを、初めて目にしたのはまだ僕がある種の新生活に入って、数年くらいだっただろうか。
大学を卒業するまでに神経や生命力を、あらゆる場面で悉く削ぎ落とされすぎて、僕はひたすらに苦しみ抜いていた。
それからも親からの猛攻も凄まじくゴミ扱い、ゲームでも排他主義プレイヤーに弾かれて、余計に死にたがりながら生きた。
それと比べればこの異世界は、そうした負のエネルギーがたとえ限定的であろうと、今のところは障害が全く無い。
それどころかフェラ氏やマーフィンさんなどの恩人、ハイエルフ氏も容姿以外に、何故か何時だって何か在る様な気がしている。
帰るとあっという間に休日の陽は暮れて、夕食もワインもシャワーもフワフワしながら、満天に広がる星空を眺めた。
それが済んだらまたベッドに入って、その際に僕も生身でとフェラ氏が勧めるので、この日も二人揃って生身での就寝となった。
毎日日課にしてみてください。




