六話 遂にインターネット開通①
異世界美少女達とスローライフ
「めぇいすとぅーアッチェールニェーン! ローホーのやーつでーすぜぇーっ!」
まだ朝の九時ではないかとややストレスを覚えたが、この世界でも現実世界となんら変わらない、フツーの生活が在るのは当たり前だった。
『ギミックノーマ』の営業さんとして、例の如くカァーヌボォーゥに叫ぶ、ヘイルメイス氏が二階の窓から見える。
寝起きでやや朦朧として眼も開かないまま、窓を開けてぼんやりと眺めていると、フェラ氏が玄関を開けて招き入れたのか。
「ギミックノーマの営業様がお見えになりました」
幾秒も経つまもなくフワリと現れるフェラ氏が、僕の耳許にクールにも甘い声が、吹きかかってはツヤツヤしている。
玄関にジャージのまま参上してみると、営業君が玄関先でニコニコしながら、僕が来るまで待機していた。
「インターネットに接続可能となりましたので、ご報告をと思いましてですね、外に出れば分かりますがこの街の何処でも大丈夫です。」
いつの間にか街の至る所に、WiFiポートが設置されていたのは衝撃にも有り難く、まだ黎明期に在るなら伸び代があり過ぎる。
問題が在るとすれば、その"サイバー領域がどうなっているか"であって、現実世界とリンクして仕舞わないかだろう。
WiFiをオンにしてみると、おそらくWiFiポートの型番だろうか、流石に街の奥ではひとつだったがパスワードは無かった。
「どうですか? ――と謂ってもあまり御座いませんが……」
「あっ、いえ、大丈夫です」
当たり障りない返事で僕は誤魔化したが、ノーム族の技術開発力は素晴らしく、今後の発展がどうなるか期待したくなる。
出来ることならこれからもっと発展して、もう少し色々あっても宜しく、適度かつ有意義に遣ってイケるなら差し支えない。
現実世界ではこれまでゲーム漬けでもあったし、紙の書籍すら無いのは不遇にして、物足りなくも小忙しくなるのは避けたい。
この異世界環境も気候の変化や季節か在って、そう在りながらも極度にではなく、非常に過ごしやすいから非常に楽だった。
例の通りにカァーヌボォゥな勢いは去って、ヘイルメイス氏はサラリとお帰りになって、僕はどうしようかと迷い始めた。
二階に上がると既に少し遅い朝食が用意されていて、フェラ氏が僕を呼びに来ようとして、僕のお顔はまたしても柔らかいエプロンに突っ込んだ。
階段の丁度上がり切る手前で張りのあるそれは、僕を甘く受け止めながら、知らぬ間にフェラ氏の手が廻って来てギュッてする。
――アハン、毛持つ……えぇぬ――
ハッとなって紳士としてマジィかも知れない、この状況はすぐに解除されて、手前には紅くなって控えるフェラ氏が控える。
「あっ、あのっ……、ちっ、朝食の用意が……、出来ました……n……」
甘くも濃厚にしてクールなはずの当氏は、ソワソワしたまま僕の席を開けたが、僕は自分で椅子を引いて席に着かせて頂いた。
「おねーさんの分は?」
「あえっ、宜しいのですか?」
「元いた現実世界は民主主義だし、あまりそれが濃いと時代錯誤になるしだな、ととっとにかく、どどどっどうぞう」
「では、戴きます」
閑に返事をしたフェラ氏は先のままに、クールさをキープしたままに、フニャフニャと用意して席に着いた。
来客中とは謂え生成スキルで済んだものだが、原料や素材は少しストックがあったので、それで対応したのだろう。
久しいようで数日ぶりの手作りだが、記念すべきネット開通日の朝に相応しく、フェラ氏の料理スキルを改めて実感した。
パンは甘く食感も良くバスケットにも在って、そのままでも充分なところへ、バターやジャムも少しあると幅ができる。
目玉焼きどベーコンに生野菜だが、目玉焼きには塩コショウを少々にして、それ以外は出来るだけそのままにした。
ドレッシングなどの味が強い物は、素材の繊細な旨味が分かりづらくなるし、油もそれなりだろうからあまり使用しない。
来てすぐなどはフェラ氏がややヘコんでいたが、最近では素材の味を確認する様にして、前より艶が出た気がする。
因みにドレッシングなどの味強な物が、丸っきり悪い訳では全く無いし、味がはっきりして確かに便利ではある。
しかし、素材その物に有る個の繊細な旨味が、ほとんど消えて仕舞っては、最早何を食べているのか理論的に分からない。
特に野菜などは色や味等が多種多様で、色合いも併せて独特な特徴がはっきりしている、それはキャラ祭りなのにそれを塗り潰す。
眼では何かが分かっても強い味だけが強調されては、細部まで理解が及ばないのは、何だかちょっぴり惜しい気もする。
出来たままのパンとトーストしたパンも、どちらかが絶対に悪い訳では無いし、焼けば芳香その前は生の甘みが有る。
コーヒーはブラックこそが真髄にして、多種に渡る全てのベースにもなるが、酸味より甘みが見たくも調節が難しい。
ホットなら余計にして難しく、繊細な含有水分の甘味が酸化するから、九十度のお湯をどうやってどの程度入れるか。
その辺も丁寧に遣ってくれているフェラ氏に、毎日来る日も頭が上がらないが、より充実している要因のひとつとなっている。
毎日日課にしてみてください。




