五話 バイト代をどうするか①
異世界美少女達とスローライフ
バッテリーが強化されたスマホのご提供によって、オフラインゲームを長時間やっても、大してへこたれないのは恐れ入った。
それも暫くしてある程度の時間が経つと、或る問題が浮上してきたので、そのテーマで議論しなければならない。
それはマーフィンさんの店『Aille』での給料が、この三ヶ月程で大いに貯まるだけ溜まって、その措置に就いて済ます必要が在る。
生活必需品目的の生成石以外に、ロクに使っていない給料はと謂えば、諸生活ですら使わなくなってきているのだからどーすまそん。
この生活に必要なものは僕個人の主観的範囲でなら、ほぼ粗方揃って仕舞っているし、生成石ですらほぼ出番の無いレベルに在る。
強いて謂うならばメイドさんが、住み込みでの監視に切り替えた事で、浴室が無い辺りに着眼する以外にこれと謂って問題は無い。
スナック菓子や炭酸ドリンク等もトレース済だし、酒や食事に生活必需品は、二人分に作業量が増えるのみ。
この世界で何が出来るだろうかと、思案を引きずり出してみたところ、何も名案が突出しないのは大いに遺憾だと申し上げる。
巨大スクリーンが広場に建ったが、内容的にはちょっとした映像が流れるのみで、少し前までは何となく物足りなかった。
実は自宅の二階からその巨大スクリーンが見えて、様々な映像が放映されるのだから、多少の暇潰しにもなるだろう。
ハイエルフさんのCMは何時までも観ていたいが、あちこちで活動していては、何かスキャンダルがあるだろうか。
あのスタッフを見ていれば恐らく何も無いだろうが、ハイエルフさんの映像が出れば、主にミュージックビデオ等は窓を開けて聴きたくなる。
ハイエルフさんの可愛い美声もお顔も、幾らだって観ていられそうで、一緒になって観るフェラーティンさんも何となく可愛い。
「ラブリエルさん、可愛いですよねぇ」
そう云えばハイエルフさんの芸名が、フェラーティンさんの申される通り、『Lovely@EL』だったと記憶している。
甘可愛くてフリフリとヒラヒラしながら、踊って歌うラブリエルさんは、最強の美少女アイドルなのだからずっと観ていたい。
広場の映像を観続けて朝には子供向け番組と、朝バラエティが放映されたが、合間にニュースが垂れ流される。
映画というよりも巨大なテレビを、アルタ前の如くになんだかんだ観て仕舞うが、ニュースがちょっぴり面白かった。
いつの間にか隣いにたはずのフェラーティンさんは、メイドらしく出来る程には仕事が無かったし、部屋の掃除等はAIマシンがやるので戻ってきた。
少し物足りないと謂ったお顔だろうと、ノーム族から支給されたAIマシンに任せるが、幾らメイドをやりたがってもやらせる訳にはいかない。
話を戻すとこのセカイは何だかんだ広く、他にも街やダンジョンが存在していて、そのクリエイターも冒険者も様々らしかった。
特にノーム族やドワーフの一部が、設計向けの魔術師や設計士等が寄せ集まって、大規模なダンジョン建設を始めていた。
もう既に第三階層辺りまで済んでいて、担当者の幾人かは迷宮らしくなるとか、異次元ダンジョンになるとか途方も無いことを謂う。
いや参った事に3Dモデリングで、サラリと構想図が展開したからのめり込むように、その映像を観ては感嘆させられた。
流石は異世界と言ったところで、スマホやインターネットが無いと言っても、他に形成魔術や建設関係のスキルも在ると見える。
夕方にはそのダンジョンに関する特集番組が、バイト終わりにやっていたので、適当にドリンクを生成してベンチから観た。
隣には監視目的でフェラーティンさんが、ブラックコーヒーでも良いと謂う事で、先のボトル缶を渡して同じやつを生成した。
やや涼しかった春の夕暮れ時は、もうそれなりに生ぬるい気候に変容し始めて、咄嗟にコールドで用意しても事足りた。
既に第一階層の説明が終わりかけていたが、やはりギミックや謎解明要素も在りながら、フロアボスも新しい団体が来次第自動召喚。
そしてまだ第三階層であっても更に掘り広げたり、魔術構築等によって難易度も上昇と、冒険者冥利にも尽きると予測される。
宝箱の形をしたモンスターやアンデッド系、小型ダークドラゴン等も配置予定らしく、益々ダンジョンに磨きがかかる様だった。
他に通行人が立ち見する中で、僕は何となくフェラーティンさんが気になって、一言くらいはとそちらを向いた。
「……寒く……無い……?」
「はい、大丈夫です……」
クールにも甘優しいお顔が艶々と、僕を見てはエプロンやフリルがヒラヒラして、僕はまたあのゲーム風景を思い出した。
「生成出来る……もの……なら……、直ぐに……用意……出来るし、……何かあったら……云って……いいです……から……」
「はいっ……」
尚も艶々と甘優しい美顔がそっと崩れて、何かと甘えたくなりそうな状況に、何とか立て直してスクリーン映像に僕はまた向き直す。
この件はノームの皆様によるご尽力があるが、まだ伸びしろがうんと有るだけに、更なる技術革新も近いうちにある程度まで修まるかも知れない。
毎日日課にしてみてください。




