三話 アイドルハイエルフのスペシャルライブ②
異世界美少女達とスローライフ
舞台のセットや撮影クルー等が忙しくも快適に、スキャンダル等という物とはかけ離れた、そんな作業現場が繰り広げられていた。
もうリハーサルに入っていて音響も忙しく、野外で完全に丸出しかつ赤裸々に、成功したり失敗したりしていた。
それを眺めていた僕と目が合ったあのエルフさんは、目許をツヤツヤさせながら、天使のようにニコニコしながら歌っている。
お顔も声もフワフワしてキモチイのと、肌の色が大胆に押し出されていて、スタイルのいい体躯が揺れたり踊ったりして宜しい。
時折僕を見てニコニコしながら、綺麗なカワイイ歌声を聞かせてくれるエルフさんに、勘違いにも甚だしい程に僕は少々イタかった。
あんなにそれっぽくカワイイお顔を向けられれば、大概の者は多少とあっても、勘違いしたくなるのは僕だけではあるまい。
ツヤツヤとキラキラと甘フワい声とお顔が、何度も僕を意識しても動じるこ事は無かったし、営業用だと謂う事も分かってはいる。
それでもあの様な天使が僕を多少なりとも意識して、それをやせ我慢するように、後の分も最期まで済ませたのはやはりプロだった。
出勤までにはもう少し時間は有ったので、その御勇志を収めるために、カメラを動画撮影モードにして撮影して仕舞った。
少々の罪悪感と痛い勘違いを抱えて、手ブレのせいでグラグラするスマホを、数分間ずつ記録しておいたが酷かった。
しかし、少々鬱陶しい雑音が有っても、これでエルフさんのカワイさとキモチヨさは、しっかりと記録出来たのは事実だった。
リハーサルが終わったと見えて引き上げて行ったが、出勤時間になっても来ない僕を、パッフェが迎えに来ていた。
よく見渡せばとっくに陽は暮れ掛かっていて、遅刻気味だと焦った僕に、パッフェは美少女天使エルフさんをヤケに評価した。
それにしてもハイエルフさんがあまりに可愛かったので、今まで気が付かなかったが、以前何処かで見覚えが在った様な気がした。
丁度店の在庫が切れかかっていて、マーフィンさんに多忙を強いて仕舞ったが、それを引きずりながら僕は慌てて大量に増やしまくった。
コーヒーや紅茶に緑茶と試作パフェも、僕が一気に増やしてはパッフェとマーフィンさんが、お客様方に持って行った。
小休憩にあのエルフさんを思い出しながら、何故に何度も気にしては引っかかるのか、何時までも謎のままに作業を再開した。
「どぅふっ?!」
ホールの方を何故か僕は覗いてしまったが、トキのスーパースターがカワイイ私服で、スタッフの皆様と軽食に入られている。
まさかの急展開だがエルフさんをまた観れると、頭は少しバカ騒ぎをしては、マジィと思い直して僕は作業に集中する。
やはりパッフェが隙を見ては、商品のスティック菓子を一本だけとつまみ食いをして、サッサと商品を持って行った。
再度来たパッフェはニヤニヤする僕を見て、匂ってはすりついたりしては、意外すぎる一言を僕にポツリと云った。
「あの人、アッチェがスキだよ? カクニンはしてないけど、アレはそうだろうね」
数秒程僕の作業場が沈黙の要塞と化したが、こんな生成石さえ無ければ何も出来ない、こんな僕をそんな風に観ていることは有り得ない。
それでもあの素直な猫その物の様なパッフェが、よもや嘘は吐かないと太鼓判を捺しても、どうしたって理解が出来なかった。
いや呑み込めなかったと謂うべきか、そもそも僕なんかにメリットどころか、邪魔になりそうなくらいなら背負わせられない。
新しく生成した商品の小型ビスケットを一枚摘んで、サッサと商品を運んで行ったが、パッフェの見間違いではないだろうか。
それに僕ならあのカワイさを思い出しながら、あの歌声を聴けるだけでも充分だし、今のままでも僕に不足は無い。
謎の違和感も判明していないのに、容易で無いのは語るまでも無く、もし将来的に恨まれでもしたらどうにもならない。
「アッチェのこと、好きニャン?」
ビクリと反応して僕はホールを覗いて、パッフェと目が合うと僕を指さして、エルフさんとスタッフの皆様が僕を見る。
「どぅゆっ?! 何を申されますかパッフェさん」
ボソリと呟いて仕舞った僕をおいて、エルフさんは「……ハイ……」と僕を見ては、恥ずかしそうにそう答えていた。
「あのっ、この事は皆様の秘密って事で、……どうかお願いします……」
近い将来は分からなくも今この時に、SNSが無かった事には感謝しておくが、新聞は取らされた経験がある以上は在る。
もしこの件が新聞や口コミで拡散すれば、当氏はどんな策略に堕とされるか、どうかそれだけは避けなければならない。
エルフさん達が帰ってピーク時を過ぎると、僕も上がって家で酒を呑みたくなって、この日は特別的に赤ワインを生成した。
他にチーズやピザの様な物を生成して、当氏美少女ハイエルフさんを思い出しては、少量のモンスター肉をサラダに加工処理した。
陶器やガラス以外の器を代用して、ワインをボトルの半分程を呑んで、食事が済んだ頃には星空を観上げていた。
転移前にあったあらゆる障害が無い、至って平和な今在るセカイと環境は、僕をもう元の世界に戻れなくさせていた。
毎日日課にしてみてください。




