第33話 サトルの異界祭
週末の**森のカフェしっぽっぽ**。
朝から店内はいつもよりざわざわしていた。
ドアベルが鳴り、みどりが元気に迎える。
「いらっしゃいませー!」
今日は特別イベントの日。
その名も――**異世界フェア in しっぽっぽ**。
店内にはすでに開店待ちの客が並んでおり、SNSで昨日バズった動画を見て訪れた人たちでいっぱいだった。
猫たちはやる気満々だ。
イチは棚の上から監督目線で店内をチェック。
トラは光る毛玉を目の前にして目を輝かせる。
チビは床を走り回り、遊ぶ準備万端。
きなはソファでのんびりしている。
ジルはカーテンの影から恐る恐る様子を見守る。
ロンは入口で尻尾を振り、興奮気味だ。
サトルはカウンターに立ち、コーヒーを淹れながら地下倉庫の扉をチラリと見た。
「よし、今日も頼むぞ……」
地下扉の向こうには異世界の市場。
森猫族、魔導士族、蜥蜴人族、鉱人族の商人たちがサトルの到着を待っている。
「サトル!」
森猫族が笑顔で手を振った。
「おう、今日は頼むぞ」
サトルは頷き、異世界の商品を手に取り、慎重に地球へ持ち込む準備をした。
光る毛玉、香り袋、猫用干し魚、不思議な鈴、そして小型魔法ランプ。
すべて、サトルしか行き来できない異世界の品々だ。
地球側の店内では、客たちが撮影準備を整えていた。
ドアが開き、最初の客が入店する。
「猫カフェだ!」
「動画で見ました!」
猫たちは即座に接客モードに入った。
チビが膝にジャンプする。
「うわ、重い!」
客の女の子が笑った。
トラは足元でゴロンと腹を見せる。
「サービス精神すごい!」
きなは寝ているだけで癒し効果抜群。
ジルは恐る恐る光る毛玉を追いかける。
ロンは時々邪魔をしながらも客に撫でられて満足そうだ。
サトルは魔法ランプを手に取り、そっと光を灯す。
「ほら、回してみろ」
客がランプを回すと、色が次々と変わる。
店内は虹色の光で満たされ、猫たちは興奮気味に跳び回る。
「幻想的!」
子供たちが声を上げ、写真を撮る。
トラとチビは光の中で激しく追いかけっこをし、
ジルも慎重に輪に入り、光る毛玉を恐る恐る触る。
ロンは突っ込み担当で猫たちを驚かせ、客は大笑い。
客たちはスマホで動画を撮影し、SNSに投稿した。
わずか数時間で再生回数は十万回を突破する。
コメント欄には「猫かわいい!」「行きたい!」「光る毛玉欲しい!」が溢れた。
「すごいな……」
サトルは地下倉庫の扉をちらりと見てつぶやいた。
「異世界の商品と猫、最強の組み合わせだ」
地下では、異世界の商人たちが待機していた。
「地球、すごい人気だな!」
魔導士族が水晶越しに笑った。
「サトルさえ来れば、私たちの商品は大繁盛!」
森猫族も頷く。
「地球の猫たち、元気だな」
蜥蜴人族が干し魚の仕込みをしながら言う。
「もっと運んでこい!サトル!」
鉱人族が豪快に笑った。
地球側の店内では猫たちの大運動会が続く。
光る毛玉を追いかけ、トラとチビがぶつかり合う。
きなはゆったりと参加し、ジルも勇気を出して輪に入る。
ロンは突っ込み役で猫たちを驚かせる。
客は笑いながら動画を撮影し、商品を次々に購入した。
光る毛玉、香り袋、干し魚、魔法ランプ――すべて飛ぶように売れる。
「今日は大成功ですね」
みどりが笑顔で言った。
「猫たちも大満足だ」
サトルは微笑みながらコーヒーを一口飲む。
イベントの最後には、サトルが魔法ランプを一斉に光らせる。
店内は虹色に輝き、猫たちは思わずジャンプ。
イチは棚の上から「にゃ」と一声。
まるで「今日も大成功」と言っているかのようだった。
外には動画を見た人々が集まり、写真を撮る。
SNSでさらに拡散され、翌日には店の前に長蛇の列ができた。
地下扉の向こう、異世界では商人たちが次のサトルの訪問に備えて準備している。
サトルだけが地球と異世界を行き来できる。
それが、この店の最大の秘密であり、最大の武器でもあるのだ。
今日も**森のカフェしっぽっぽ**は、猫と異世界の商品、そして笑い声に包まれて、大騒ぎの一日を終えたのだった。




