第7話 戦闘力
金星の過酷な砂漠を舞台に、カイとリングの運命が大きく動き出す第8話。
連合軍の執拗な追跡、そして砂漠を知り尽くした男・アパッチの牙が剥かれます。
最新鋭のステルス機に対し、カイたちはどう立ち向かうのか?
砂塵の彼方から迫る「コブラ」の影。今、砂漠の掟に従った「狩り」が始まります。
装甲艦「マキシマム」の巨大な格納庫ハッチが、地響きを立てて閉じる。
それと同時に、艦体は砂塵を巻き上げ、猛烈な加速で移動を開始した。
「……ふぅ、間一髪だな」 カイは「メモリア」のコックピットで、荒い息を吐きながらモニターを睨んだ。 機体はワイヤーでがっちりと固定されている。
隣には、リング少佐……いや、今はただのリングとなった彼女が乗るバルジーナも並んでいた。 艦内スピーカーからアパッチの野太い声が響く。
「喜べ野郎共!連合の最新鋭ステルス機が3機っ!獲物が向こうから飛び込んでくるぜぇ!」
「アパッチ大尉、戦うつもりか!?」
リングが通信機越しに叫ぶ。
「連合の追っ手は、普通の部隊じゃないぞ! メモリアを消すために組織された特殊部隊!」
「ケッ、連合だろが、ライコウだろが、どっちらでいい!! 俺のシマを荒らす奴は、神様だろうが連合だろうが叩き潰すのが砂漠の掟だ!ぶっ潰す!」
「ステルス機か! 姑息な真似を……野郎共、
煙幕弾装填!『エリマキ』隊、出撃用意!」
アパッチの怒号が艦内に響き渡る。
連合軍の追跡部隊機*「コブラ」
**宇宙空間と空に特化した機体で、脚がなく、ヘビの様な形状、高速機動とステルス機能で移動する、両手にビーム酸砲を持ち狙ってくる。
マキシマムの側面ハッチが勢いよく開き
機動兵器*「エリマキ」が数機
砂漠へ滑り出した。
**その名の通り、首周りに巨大な放熱板を広げたような独特のシルエット。
砂地戦では、サンドボードで浮くことで、高速走行が可能。
彼らは一斉に特殊な焼夷煙幕弾を周囲にバラ撒いた。
シュォォォォーッ!!
砂銀の粒子を含んだ特殊な煙が
黄金の砂漠を覆い尽くす。
煙幕が敵機の熱源と輪郭を強制的に浮き彫りにしたのだ。
管制「敵機、距離2000、接近中!」
「小僧は! 俺のエリマキ使え!」
コブラがビーム酸砲を放つ、当たれば
装甲艦でも致命傷になり兼ねない。
「リングは甲板に、キャノン砲(狙撃砲)があるから、上がってこい、小僧を援護しろ!」
……安心しな、砂漠の戦い方を教えてやるよ。
予備の『エリマキ』が1台ある。(メモリア)
パイロットなら、使いこなせるだろ……
カイが乗る、無骨な鉄板で補強された
お世辞にもスマートとは言えないゲリラの機体だった。
リングは迷わず、狙撃室へ飛び込む。小狭く
ー人用のスペースしか無い。
リングは匍匐前進で入り
スコープに目を凝らし、引き金に指をかけた。
「……敵機、発見!」
煙幕の効果、ステルスが顕に 。
「……昔、大尉のしごきに比べれば、
この程度、赤子の手をひねるようなものよ…。」
「よし、小僧!、リング! 殺るぞ!
砂漠の王の狩りを見せてやる!」
エリマキに乗り込むカイ
「カイ=タチバナ!「エリマキ」出ます!」
アパッチ専用「エリマキ」で砂漠を疾走する。
「エリマキ用」のサンドボードに乗り、砂山を疾走するていた。
「コブラ」が速い動きで砂山の高低差を使いなが ら迫り、並みの攻撃は当らない。
アパッチ「小僧、相手の機体より「エリマキ」のほうが小さい分、砂山を駆け上がれる!とりあえず!3機をバラバラに散らせ!」
「了解!」
敵機の後に装甲艦も走るー。
「エリマキ」は持ち前の小回りで、コブラ手前で180度反転し、挑発し、コブラを背に爆速している。
「よしゃ!リング、お前の出番だ!
「コブラ」と「エリマキ」の間に、キャノン砲撃ち込め!」
スコープを覗くリングは、鋭い戦闘感を使い、
状況を先回る。 「そこー!」
ドッーン!重い重厚音が響く。
カイは、重い操縦桿を折れる勢いで動かし
「エリマキ」は弾丸をぎりぎり避けると。
残像を残し「コブラ」に当たって、敵機を爆破した。
ゲリラの通信に割り込む声「こちら、連合軍だ!逃亡者カイ=タチバナと機体識別信号QT=017AZXを渡せ!さもなくば!」
その時、リングが、もう1台の機体に、キャノン砲をぶち当て爆破していた。
「もう1人のユナ…」
カイ「絶対、お前等にやらせなぃ!」
「エリマキ」反転し敵機の正面を飛び上がりサンドボードの裏板で「コブラ」の顔面を打ち砕き、撃破した。
こうして、3機の刺客を破ったカイとリングは、ゲリラ陣営から、賞賛される。 「良くやった!ガキ共!やるじゃねえか!」
リングが戦闘ヘルメットを脱いで、素顔が露わになる。
それは、黄金の髪が踊る、身体は華奢だったが
凛とした少女だった。
数時間後 ーー
2人はゲリラになる事を選ぶ、それは、自分の為に選んだ道だった。
「お前等、今後、惑星間の検問所を通る場合は、
表向きは旅一座として行動して行く!」
船員達がペンキを持ち出し慌ただしくなっていた。「色塗り」「何色?」「ローラかせ!」手下達がざわめいていた。
「それと!今後、進路は地球へ行く!
俺達の本拠地!
反世界政府軍の隠れ拠点があるからな!」
カイ=「え?」
リング=「ゲリラじゃないの?」
カイが驚く。「地球へ行けるの?」
「馬鹿野郎、こんなゲリラじゃ、
逆立ちしても、大国に勝てんわ!
天才科学者に合わせてぇ、そいつは地球なんだ!」
こうして、アパッチは、希望の青い星、
地球へと舵を切ったのだったった。
第7話をご愛読いただきありがとうございます!
今回は、カイが慣れないゲリラの機体「エリマキ」を使いこなし、リングとの見事な連携を見せる熱いバトル回となりました。
サンドボードでのトドメは、執筆していて特に力が入ったシーンです。
そして、ついに明かされたリングの素顔と、驚きの「地球行き」。
しかし、金星を去る彼らの前には、さらなる壁——金星共和国の巨大な壁が立ちはだかります。
果たして彼らは、無事に大気圏を突破できるのか?
次回の第9話「金星脱出(仮)」も、どうぞお楽しみに!




