第8話:偽装
砂漠の激闘を切り抜け、ゲリラ部隊「マキシマム」に身を寄せたカイとリング。
しかし、彼らに安息の時はなかった。連合の追跡を振り切り、機体「メモリア」の謎を解き明かすためには、厳戒態勢の金星を突破し、遥か彼方の「地球」を目指さなければならない。
アパッチ大尉が提示した奇策は、なんと「旅一座」への偽装!?
軍人としてのプライドを捨て、派手な衣装に身を包んだ二人を待ち受けるのは、冷徹な検問と、宇宙の闇に潜む未知の脅威。
手に汗握る潜入作戦、そして運命の地球圏へ――。
金星の空は、呪わしいほどの黄金色に濁っていた。
高度5000キロメートル。
惑星の硫酸の雲が渦巻く猛烈な暴風圏を、
装甲艦「マキシマム」は進む。
その姿は、泥臭いゲリラ艦ではなかった。民間船に偽装していた。
「……これ、本当に大丈夫なのか?」
鏡の前に立つカイは、自分の姿に愕然としていた。
無骨なパイロットスーツの代わりに纏わされたのは、スパンコールが散りばめられた派手なサーカス団の衣装。
隣では、リングが長い緑の髪を高く結い上げ、踊り子のような艶やかなドレスに身を包んでいる。
「……文句しか無い」
リングは唇を噛みしめ、その頬は微かに赤らんでいた。
視界の先に、雲を突き抜けてそびえ立つ巨大な構造物が現れる。
太陽系惑星共和国ライコウ・金星支部直轄、第3宇宙空港。
重力制御によって空中に静止するその巨大なリングは、地球へ向かう唯一の門戸であり、連合の監視網が最も厳しい「針の穴」だった。
艦内スピーカーからアパッチの野太い声が響く。
「野郎共、準備はいいな!これから俺たちは、
『銀河大サーカス・アパッチョ一座』だ!
「メモリア」はワイヤーシートにペイントして、
誤魔化した。ただのデカい銅像として隠し置いてある。
「エリマキ」は元々
作業用の機体なので
エリマキのフードだけ外した形で置いてある。
マキシマムの外装には、殴り書きのような極彩色のペイントで**【THE GREAT APPACHE SHOW】**の文字。
軍用エンジンの重低音を隠すため、
艦外スピーカーからは耳を突き抜けるような陽気な音楽が鳴り響いていた。
マキシマムがドッキングベイに滑り込むと、
ライコウの武装した検問官たちが乗り込んできた。
「調べさせて頂きます。……旅一座?
この非常時に、呑気なものだな」
冷徹な眼光の将校が、リストを片手に船内を歩き回る。
カイは心臓が口から飛び出しそうだった。コンテナの中には、先ほどまで戦っていた「エリマキ」が隠されている。
船員チョロ「へっへぇ、旦那。暗いニュースばかりじゃ、金星の連中も干からびちまうでしょ?」
チョロが極上の笑みを浮かべ、高級な合成酒のボトルを差し出す。
チョロ「これ、地球の特産品でさぁ。
一座の『看板娘』も挨拶したがってますぜ」
アパッチ、目配せすると、リングが一歩前へ出た。
笑みを浮かべ、表情を崩さず、優雅に一礼する。
その指先には、軍人時代の硬さは微塵もなかった。
「……皆様のご苦労、お察しいたします。
どうか、ひと時の休息を」
将校の鼻の下が伸びかける。視線をカイに留める。
手に持っている人体スキャナーを、
カイに向ける
ALLーOUTーWANTED
ピーーーピーー
「…ん?お前、地球連合の逃亡者リストと一致してるぞ!」
カイの背中に冷たい汗が流れる。
将校の手がホルスターに伸びた、その刹那――。
ドスッ!ドタッ!
アパッチ「それは困るなぁ〜!」
周りの検問官を気絶させた。
挙動不審になる将校。
隙かさず、凄い剣幕で銃口を突きつけるリング。
「さあ選べ!二択だ!
一つ、このまま見逃し通すか?
もう一つは このまま頭をぶち抜くか、選べ!?」
「……チッ。行け!」
検問所を後に、ハッチが閉まり
マキシマムはゆっくりと加速を開始する。
宇宙港を抜け、漆黒の宇宙空間を進む。
カイは床にへたり込んだ。リングもまた、深くため息をつき、結び上げた鬘を解く。
アパッチが操舵室で高らかに笑う。
「はっはっ、 役者だぜ!「マキシマム」全力前進!!」
ーーーーー
船内ー
カイとリングは格納庫で静かに、話合って行った。
「…ユナってなに?なんで私と同じなの…?」
「メモリアのコアには……幼馴染のユナ…の心臓が埋め込まれいて…彼女の苦痛や悲しさが爆発的な力を発揮させる。でも、もう悲しい思いをさせたくない。
この子の名前はリンク=ナノ=アーティス!」
リング: 「おい!理由になって無いぞ!貴様、ホントに言ってるか?」
カイ: 「嗚呼、そうだよ!」
リング: 「リンク=ナノ=アーティス、私の母よ!」
リングは驚愕の事実に、周りの空間が一時停止したみたいだった。
ビー、ビー、ビー!
戦闘警戒アラートが艦内に鳴り響く。
ブリッジーーーーー
モニターに青い綺麗な地球が映る。艦艇は地球圏に入るところであった。
管制「前方、宇宙怪獣、大量発生、してます!」
アパッチ「来たな、お邪魔虫、強行突破だ!
撃ちまくれ!大気圏で燃やしてやる!」
こうして、装甲戦艦「マキシマム」は地球圏突入していこうとしていた。
第8話をお読みいただきありがとうございました!
今回はこれまでの激しいメカアクションから一転、スリル満点の「潜入ミッション」を描きました。
普段は凛々しいリングが、真っ赤になりながら踊り子の衣装を着て演技をする姿は、カイならずともドキドキするシーンになったのではないでしょうか。
アパッチ大尉の「荒っぽいけど頼りになる」力技も、彼ららしくてお気に入りの展開です。
しかし、ようやく見えた希望の星・地球を目前に、現れたのは謎の「宇宙怪獣」。そして、それに呼応するように輝くメモリアの瞳……。
いよいよ物語は、大変貌を遂げる!10話!




