第6話 前進
かつての師、かつての部下。
砂塵舞う戦場跡で再会したのは、死んだはずの「過去」だった。
共和国のエリート少佐として、任務と誇りの間で揺れるリング。
連合の逃亡兵として、ただ「ユナ」を守るために足掻くカイ。
二人の前に現れたのは、国家の理屈も軍の規律も通用しない、砂漠の王・アパッチ。
「救い」か、それとも「破滅への誘い」か。
黄金の砂漠が飲み込むのは、彼らの過去か、それとも未来か。
今、それぞれの「ユナ」を巡る運命の歯車が、音を立てて回り始める。
戦場跡の残骸で2人は、ゲリラに囲まれていた。
「エリマキ」と呼ばれる兵器数台と真中に聳える鋼鉄の装甲艦「マキシマム」が鎮座していた。
ゲリラ達は作業用機械をリノベーションし
た通称=*「エリマキ」と呼ばれる機動兵器に仕上げて有る。
**連合や共和国の兵器に比べれば大きさは無いが、
その分、素早い奇襲作戦には優れた戦果を期待させる。
装甲艦のハッチご開く。
でかい声が響く瞬間、リング少佐の表情が驚愕の色に染まる。
アパッチ: 「……ほう、そのバルジーナ
お前が乗ってるとは?懐かしい声が聞こえると思えば……リング=ユナ=アーティスじゃないか」
リング少佐: 「その声……その姿まさか、アパッチ元大尉!? 戦死したはずでは……!」
アパッチ: 「ククク、死んだのは『ライコウの忠犬』としてのアパッチだ。
今は自由な砂漠の王!レッド、スコーピオンのアパッチ様よぉ!」
その姿は、左半身機械の身体に眼帯を掛け
左目の赤い熱視線が輝いていた。
アパッチはリングの元上官。彼女に戦い方の基礎を叩き込んだ男、鋼鉄の装甲艦の砲口が
メモリアに狙い定めていた。
アパッチ: 「……隠したって無駄だぜ、リング。俺たちの『サソリ』の目は節穴じゃない。
気不味いリング。
アパッチ:「砂地の中でしっかり拝ませてもらったよ 、あの連合の機体……、怪獣の核を食らって、化物じみた姿を見た!」
「あれはただの兵器じゃねえ!!まるで1人の生き物じゃねえかと、そして動きは、たぶん世界でも最高峰レベル、世界をひっくり返せると!思ったんだ!」
リングに不敵な笑みを見せる。
「腐れ共和国のエリート様として、ここで無様に本気で、スクラップになるか?
それとも……ここで『リング=ユナ=アーティス』は戦死したことにして、俺と一緒について行くか?」
選べ!……お前の得意な二択だろ?」
アパッチの誘いに、リングは唇を噛み締める。
軍人の誇りと、生き延びてメモリアを得れば自軍の戦力アップは確実。
執念の間で揺れる彼女。
カイは、苛立ち立ち直る。
カイはメモリアの外部スピーカーを最大にする。黄金の砂漠に、彼の叫びが響き渡る。
カイ: 「俺の名前は、カイ=タチバナ! 地球連合軍の逃亡兵だ!
この機体『メモリア』で、闘った俺は軍の最高機密を追う連中に命を狙われてる!」
リング少佐が目を見開く。
カイ:「おっさんが俺を拾えば、地球連合の追っ手も敵に回すことになるんだぞ!」
アパッチ「関係ねぇ!」
カイ:「金星に来て、戦闘状態だったとは知らなかった!
俺は逃げて、逃げて生き延びる事しか考えてなかったんだ。
これ(メモリア)に……友達、幼馴染が、ユナがいて……!」
ユナ?慄くリング。
「だから、俺は、あんた達と行く!」
すると隙かさず「私も行こう!」
サソリの旗が激しく靡いている。
「それじゃ、ライコウ軍少佐リング=ユナ=アーティスは戦死と言う事でいいんだな?」
自軍のためだったリング。
「ライコウ軍のリングは死んだ!」
リング 「…かまわん!」
2人の自分と機体の謎に、魂が惹かれて不変な感覚だった。
ビービービーィ!艦船室の警戒音が鳴り響く。
ゲリラ管制:「お頭!!連合機体3機、接近中!ステルス機能で発見が遅くれた。距離5000、あと10分で来ます!」
アパッチ「小僧、リング乗れ!話は後だ!
野郎共、機体を回収して、艦内に入れろ!
5分だ!!」
俊敏な「エリマキ」の性能が発揮され、一瞬で、機体をワイヤーシートで覆い、収納した。
2人はゲリラの一味に、加わりったのも付かぬ間。連合の脅威が迫ってきたのだった。
第7話 運命の選択、2人のユナ
ー完ー
第6話をお読みいただき、ありがとうございます。
ついに物語が大きく動き出しました!
これまで「追う側」と「追われる側」だったリングとカイが、共通の「敵」と「謎」を前に、まさかの共闘(?)を選ぶという熱い展開です。
今回登場した新勢力、ゲリラ組織「サソリ」。
彼らが操る機動兵器「エリマキ」は、最新鋭の兵器のような華やかさはありませんが、泥臭く、しかし洗練された「生きるための道具」としての魅力を持たせました。
そして、アパッチが投げかけた問い――。
リングが少佐という地位を捨て、「死」を受け入れてまで選んだ道。
カイが自分の正体を明かし、あえて火中に飛び込んだ覚悟。
背後に迫る連合のステルス機3機。
果たして、装甲艦「マキシマム」は無事にこの危機を脱することができるのか?
「二人のユナ」の謎が、次話で少しずつ剥き出しになっていきます。




