第5話 :始まりの胎動、2人目のユナ
金星の砂漠は、生命の熱を奪うだけではありません。
時に、守るべき「聖域」だったはずの存在を、理解の及ばない「怪物」へと変貌させます。
前回、怪獣ベベノムを「捕食」するという、おぞましくも圧倒的な進化を見せた愛機ユナ(メモリア)。
そのコックピットの中で、主人公カイが見たものは希望か、それとも破滅の予兆か。
そして今、砂嵐の向こうから現れるのは、もう一人の「ユナ」。
機体の名と、女性兵士の名。重なり合う二つの輪郭が、物語を新たな混沌へと導きます。
怪獣ベベノムを「捕食」したメモリアは、満腹の虚しさを残してスリープ状態に陥った。
コックピットの中、カイ=タチバナは、
愛機「ユナ」が見せた残虐な姿に打ちのめされ、
極限の疲労から深い眠りに落ちていた。
カイを現実に引き戻したのは
ハッチを叩く衝撃と冷徹な声だった。
目の前には、右腕を失ったバルジーナから降り立ったリング少佐が立っていた。
覇気を失ったカイに対し
彼女は自らを捕虜として連行すると告げ
その名を名乗る。
「ライコウ軍、遊撃特攻部隊
リング=ユナ=アーティス少佐だ。」
その名を聞いた瞬間、カイは凍り付く。
機体のコアと同じ名を持つ女性。
そしてその時、沈黙していたメモリアが
「オリジナル…」と、不穏な共鳴音を響かせた。
凍り付くカイ
「ユナ」という響きが、金星の荒涼とした大気に溶ける。
カイの耳には、それが現実の音とは思えなかった。
カイ: 「……え……?」
リング少佐: 「……? 何よ、その顔は。私の名がそんなにおかしい?」
カイ: 「(震える声で)……ユナ……? 今、ユナって……言ったのか……?」
カイの視線が、自分の足元――つまり、今も沈黙を続ける愛機**「メモリア」の核**へと向く。
その静寂を、地を震わせる無数のエンジン音が切り裂く。
黄金の砂丘の向こうから現れたのは、ライコウ軍の規格を外れた、継ぎはぎだらけの改修機群。
ゲリラ兵:「動くなよ、
ライコウの小綺麗なエリート様!
命が惜しければ
その機体も荷物も全部置いていきな!」
包囲網の中心から、一際巨大な重装甲機が歩み出る。その機体には、尾を突き立てた「サソリ」の紋章が刻まれていた。
第5話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、物語の根幹に関わる「名前」のミステリーが動き出しました。
これまでカイにとって唯一の相棒だった「ユナ」という名が、自分を捕らえに来た敵将リング少佐のミドルネームであったという衝撃。
メモリアが発した「オリジナル」という一言が、彼女たちの数奇な運命を予感させます。
さらに、絶体絶命のタイミングで現れた砂漠のゲリラ部隊。
ボロボロのバルジーナを駆るリング少佐と、精神的に追い詰められたカイ。昨日までの敵と、この地獄をどう生き延びるのか。
今回は、物語の根幹に関わる「名前」のミステリーが動き出しました。
これまでカイにとって唯一の相棒だった「ユナ」という名が、自分を捕らえに来た敵将リング少佐のミドルネームであったという衝撃。
メモリアが発した「オリジナル」という一言が、彼女たちの数奇な運命を予感させる。
さらに、絶体絶命のタイミングで現れた砂漠のゲリラ部隊。
ボロボロのバルジーナを駆るリング少佐と、精神的に追い詰められたカイ。
昨日までの敵と、この地獄をどう生き延びるのか。
このお話は第7話に続きます。




