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私と恋理の関係

 しょうがないじゃん私の発想じゃなんかいい感じの名前なんて浮かばないんだから。

「私が名前考えようか?」

「余計なお世話。兎に角この力があれば恋理(れんり)にも催眠が掛けられる。多分!」

「多分なんだ」

「…使った事無いし」

 そもそも神様の力を貰ったといっても(あい)が手をかざしたら左目がほんのり暖かくなっただけだし。恋理には自信満々に言い切ったけど本当に融合したかわかんないし。

「そんな物あるなら最初から使えばいいのに」

「脳にどんな影響あるかわかんないし」

「そんな事気にしているの?相変わらず心配性だね。催眠を使わないなら私が約束破ってないかどう確かめるの?」

「それは恋理が何か作って」

「私が?」

「嘘発見器くらい作れるでしょ」

「作れるけどさ。私が私を追いつめるものを作るの?」

「そうだよ。作ってよ。そのくらいしてくれてもいいと思うけど」

「私が何か細工をするとは思わないの?」

「思わないよ。恋理は約束を破らないと思っているしね。私と細工無しの噓発見器を作るって約束したら守るよ。それにこっちに催眠があるなら下手な事はしないでしょ」

「まあいいや。信用してくれているって事にしとく。それで?交渉材料を手に入れた悲愛(かなえ)が私に要求する事は何?」

「世界に大きな影響を与えるような事をする時は一人で決めないで私達に相談して」

「んー。基準がわかんないなあ。どのくらいの事をすれば世界に影響を与えた判定?」

「それは私にもわからない。だって恋理のする事はスケールが大きすぎるし。だから兎に角相談して。一緒に考えようよ。例えば異世界の技術を持ち込むとか技術を進めすぎるとかはダメ」

「面倒だなあ。それ約束しないとどうなるの?」

「この力を使って納得してもらえるまでこの世界に閉じ込める。もしかしたら一生かもね」

「それ納得したってどう判断するの?」

「私も一緒に居るから」

「この世界に?恋人いるんでしょ。まさか連れてくるつもりじゃ無いよね」

「勿論。何かあるかわかんない世界に連れてこられる訳ないじゃん。だからさっさと諦めて。私否穂(いなほ)達と別れたくないから」

「愛が良く認めたね。いいの?ここは誰もいないし碌なものはないよ」

「正直良くはないけど。でも恋理が一人は無理でしょ。以外と寂しがり屋だし」

「そんな事無いけど?何その目?」

「別に~。恋理って、他の人が何話していても無関心なのに愛と私の共通の話題について行けないと慌てて知識入れてくるとか、愛が気に入った物は直ぐ買うとか、話に乗れないとわかったら話を変えるとか思ってないし~。愛が追いかけて行かなかったら寂しさで案外簡単に帰ること諦めていたかもとかなんて思ってないし~」

「ちょっと意地悪になってない?」

「そんな事無いけど?まあ恋理のせいで色々苦労したからね。少しくらいはいいでしょ」

「あんまよくないけど。まあ3人でこの世界に暮らすのも面白そうかな?」

「え?2人だよ?」

「え?愛も含めて3人でしょ?」

「私と恋理の2人」

「そんなの愛が認める訳ないじゃん」

「うん。嘘ついた。もし恋理が断ったら3人で異世界で暮らそうって」

「嘘なんだ」

「愛は今普通になった。ようやく普通の生活が出来るんだよ。それを夢見ていたのにすぐに取り上げるなんてしたくない」

「愛が悲愛を好きな事は知っているでしょ。それなのにそんな事をするんだ。可哀そう」

「そう思うなら恋理が折れてよ」

「…強かになったね」

「おかげさまで。私なんかって思うのはやめることにしたの。まだまだ難しいけど。私を好きになってくれた人たちに相応しい私になりたいから」

「前以上に魅力的になったね」

「ありがとう。それでどうする恋理?」

「いいよ、私の負け。悲愛の言う通りにする。約束するよ、大きなことをする時は悲愛達に相談する」

「…いいの?」

「悲愛が言い出した事なのに何そんな意外そうな顔しているのさ?」

「あまりにあっさり折れたから。もっと色々言うかと」

「んー。まあ無駄なことしても意味ないかなって。それにさ、考えてみれば悲愛にもばれずにその究極改脳(アルティメットモッド)を超える能力作って自由にやればいいかなって。悲愛達から記憶を消すだけなら世界を変える事にはならないでしょ。悲愛の言う通り私は約束を破りたくはない。だから約束自体消しちゃえばいい。ね?そうでしょ」

 そう言って恋理は屈託のない笑顔を見せた。人間らしい人でなしの笑顔。恋理らしいその笑顔を見て私は本当に恋理が帰って来たんだって思えた。ようやくこの言葉を言う事が出来た。

「お帰りなさい、恋理」


 「それで?私は答えたよ。悲愛の答えも聞きたいな。愛から話は聞いているでしょ。私とは付き合うの?」

「答える前にもう一つだけ聞かせて」

「何?」

「ねえ、恋理にとって私って何?どういう存在なの?」

 この質問はきっとしちゃいけない質問だと思う。自分との関係性を問うなんて、それは関係を疑っているのと同じ。関係を壊すのと同じ。それでも私はこの質問をしたかった。しなくちゃいけなかった。恋理と付き合う。考えた事無かったけど、きっとそれは凄い事で楽しい事で私は恋理と付き合いたい。それでも私は愛のおまけなの?愛と付き合いたいから私と付き合うの?前に私への好きは愛に向けるものとは種類が違うって言っていた。それは今も変わらないの?その疑問が付きまとい続ける限り私はきっと昔のように接する事すら出来ないと思う。それじゃあ付きあうなんて無理だ。

「面白い質問だね。当たり前の存在だよ」

「…当たり前の存在?」

「そ。こっち来てから違和感凄かったんだよね」

「それはそうでしょ。全然違う環境に」

「違うって。そういう事じゃなくてさ、私と愛がいるでしょ」

「うん。それで?」

「そこにさ、悲愛がいないのが気持ち悪いって言うかなんか違和感があったんだよね。考えてみたらさ、私達ずっと一緒に居たでしょ。しかも悲愛とは愛よりも付き合い長いわけだし。だから当たり前の存在。隣にいて当たり前の存在」

「当り前の存在。それって恋愛にはなるの?いつもそばにいる家族はそういう対象にならないでしょ」

「なるよ。家族と悲愛は違うから。悲愛がいなくて寂しかった。私なりに色々考えたんだよね。好きだよ悲愛。あなたの事大好き」

「…いきなりはズルいよ」

「本心だから。愛に抱いた感情と悲愛に抱いた感情。どっちも変わんないなって。だから後は悲愛次第だよ」

 答えは決まっていた。彼女を許す事も受け入れる事も間違っていて。そう分かっていても私の感情(おもい)は変わらない。

「私も好きだよ。恋理」

 こうして私にはまた2人恋人が出来た。私の住んでいる世界の人口は2人増えた。たった2人。だけど私にとっては特別な2人が。

次回更新は休ませていただきます。次は少しお休みをいただいて4月4日に投稿する予定です。

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