不用品じゃありませんから。
そして、編成された部隊は、防護服に身を包み完全武装をして地球防衛軍の様相を呈していたが、いざ、多摩川の着陸現場に到着すると軽自動車より小さいロケットに拍子抜けをしたのだった――
「隊長! 発見しましたが、本当にこれが宇宙船なのでしょうか?」
「うむ。宇宙船ではなく……ロケットか?」
「隊長! 機体表面の金属合金は地球上には無い物質です」
「うむ。間違いないな……」
「隊長! この機体の大きさと質量から、既に燃料は尽きている模様であります」
「うーむ。片道の燃料だけを積んで地球に来たと云う事だなぁ……まるで特攻だ」
「隊長! このサイズなら、2トンのユニックで十分ですが?」
「そうだなぁ……初めての事とは言え、ちょっと、大袈裟過ぎた様だ。至急、回収して戻ろう」
部隊は、予測では宇宙船の全長が12メートルから24メートル、全幅が6メートルから12メートルだった為、多摩川周辺の道路を封鎖し、物々しい警備の中で回収作業を行ったが、終わってみれば、レッカー車で十分だったと反省をした。そして、TOMYのモバイルのアラートが鳴った――
〝 ピピッ、ピピッ、ピピィ――ッ! ピピッ、ピピッ、ピピィ――ッ! ピピッ、ピピッ、ピピィ――ッ! ″
「ん? 何事だ?」
〝 TOMY船長、マイクロ船が何者かの手によって盗まれました! 現在、移動中です ”
「何だ、もう発見されたのか……しかし、何処へ向かっているのか分かるかい?」
〝 恐らく、日本の科学技術センターの様な、研究施設だと思われます! ”
「なるほど……しかし、調べたところで、何も分かりやしないさ」
GPSのデータが送信されて来た――
「ふむふむ……」
恭一はTOMYに話し掛けた――
「おい、君。何をブツブツと独り言を言っているんだい?」
「いやぁ、僕の乗ってきたマイクロ船が、回収されたみたいなんだよ」
「あぁ、あのロケット? そりゃぁ、あんなモノが河原に転がっていたら、通報されてもおかしくしくないし、第一、もうアレは用済みなんじゃないのかい?」
「まぁ、地球から飛び立つ事は出来ないからね。只……」
「ん? なにか気になる事でも有るのかい?」
「あぁ、日本の科学技術センターみたいな…研究施設に運ばれていると言うんだ」
「それが何か、都合が悪い事でも?」
「うーむ、何か感じるんだよな……君には心当たりが有るかい?」
「心当たり? 日本の研究施設と言えばW・S・U・Sに決まっているよ」
「そう?」
「あぁ、そうさ。そうに決まっているよ」
「それは何処に有るんだい?」
「世田谷区だよ」
「遠いのかい?」
「いや、ここから車で15分位の所だよ」
「そうかい? なら、行ってみよう」
「いやぁ、車で15分だから」
「クルマは無いのか?」
「あぁ、無いよ」
「でも、君のお気に入りのバイクが有るじゃないか?」
「あれは、二人乗りは出来ないと言っただろ?」
そこに雅美の声がした――
「恭一さん、恭一さぁ――んっ! お客様ですよ?」
「え? お客様って……」
「メルセデス・ベンツ、自動車のディーラーの方がお見えですよ」
「あぁ、すっかり忘れていたな……今、降りて行きますので」
恭一は納車の日を忘れていたのだった。車検証、保証書、取説を受け取り、コックピット・ドリルを終えて目出度く納車となった――
「ふーん、今更だけど、モンキーが有れば要らなかったかなぁ……」
恭一が部屋に戻ろうとすると、そこにTOMYが立っていた――
「これで良し。準備が良いじゃないか!」
「あ、準備した分けでは……」
「さぁ、行こう!」
「いやぁ、納車したばかりで、上手く運転できるか分からないし……」
「乗るために、購入したのだろう? そんな事を言っていたら、何時までも上手にならないぞ。『習うより慣れろ』と言うじゃないか? グズグズするな! 時間が勿体ない」
恭一は、TOMYに急かされ仕方なくW・S・U・Sに向かった――
「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ、ふぅ。ったく、時読命に昇格した所でパシリかよっ! はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ、ふぅ」
めぐみは、伊邪那美の命令によって、TOMYの住む滝沢家へ向かっていた。すると、突然クラクションが――
‶ プップ―――ッ! ″
「チッ、うっせーなっ!」
振り向くと、マット・グレーの小さなSmartのウインドウが開いた――
「めぐみさん、こんにちは」
「あら? 誰かと思えば、恭一さん??」
「そんなに急いで何処へ行くの? 自転車とは云え、あんまり飛ばすと危ないよ?」
「あぁ、チョット急ぎの用で……あぁっ!」
めぐみは、助手席のTOMYに気付いた――
「どうかしたの?」
「あの、そちらの……助手席の方に用がありまして……」
「え、僕? 何の用かは知らないけど、僕らは今、急いでいるんだ。邪魔をしないでくれ」
「めぐみさん、僕らはW・S・U・Sに行く途中なんだよ
「え? W・S・U・Sに?」
「先を急ぐので、では」
‶ ププッ、ブゥォ―――――――――――ンッ! ″
「ああ、ちょっとぉ……待ってぇ―――――――――――っ!」
―― W・S・U・S本部
「父さん、これが回収した宇宙船です……」
「これが……随分、小さいな。まるで、棺桶じゃないか?」
「こんな物で、どうやって地球に来たのでしょう?」
「うーむ。このサイズなら、ミサイルの様に発射されたのかもしれないし…もしくは、燃料ブースターを途中で切り離したのかもしれないなぁ……」
「しかし、父さん。この金属では、大気圏を突破する事は不可能だと思われます」
「勿論、伊邪那美の仕業なのだが、不思議なのは、宇宙人がその事を分かっていたと云う事だ」
「分かっていたのでしょうか?」
「あぁ、分っていたさ。分かっていなければ、この機体は正真正銘の棺桶になってしまうからな……」
W・S・U・Sに到着したTOMYは、施設内に入ろうとすると、警備員に止められ、門前払いとなってしまった――
「何て事だっ! 所有者が来ていると言うのに!」
「所有者?」
「あぁ、僕のマイクロ船の保管方法を説明してあげると言ったんだよ」
「おいおい、そんな事を言ったら不審者扱いをされて当然だろ? 君も天然だな」
「天然? 自然で天然で何が悪いんだい?」
「仕方がないなぁ、僕に任せておけ」
恭一は、日本光学の社長・代表として何度となくW・S・U・Sに訪れていたのでIDカードを持っていたのだった――
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