BURGER禁句です。
―― 三月十六日 友引 癸酉
喜多美神社は、静寂と神聖な空気に包まれていた――
「めぐみ姐さん、アレ」
「アレって何よ?」
鳥居の陰にスーさんが隠れているのが見えた――
「何なの、アレ」
「きっと、声を掛けて欲しいんですよ」
「はぁ?」
「めぐみ姐さんが行って『おや、スーさんじゃぁないかぃ? どうしたんだい?』って、言って欲しいんですよ」
「そんな事?」
「早くぅ」
「世話が焼けるなぁ」
めぐみが、鳥居の傍まで行くと、スーさんはそれに気が付いた――
「おっと、見つかっちまったぜ」
「何を言っているんだぃ? 見覚えの有る着流しが鳥居に寄り掛かっていたら、気が付くに決まっているじゃぁないかぃ? おまいさん、こんな所で何をしているんだぃ?」
「おう、それについちゃぁ、言わねばなるめぇ。アマテラスが此処へ来た形跡が有るんだ。お前さん心当りはねぇかぃ? うん?」
「『うん?』じゃないのっ! 目明しみたいな口振りでぇ。こっち迄、変な言葉遣いになっちゃったよっ! アマテラスは、とっくに伊邪那岐・伊邪那美様と謁見しているの。今更?」
「何だって? するってぇと、時、既に……」
「お寿司っ!」
「寿司屋!? じゃなくて、もしや、お前さんは……」
「時読命っ!」
「昇格したんだぁっ! そいつぁ、おめでとうございます!」
「いや、あんまり、おめでたくは無いと思うの」
「おったまげだなぁ……めぐみちゃんがぁ……時読命かぇ?」
「ちょっと、集団就職で東北から出て来た若者みたいになってるよ」
「とうほぐを、ばがにすんでねぇ」
「馬鹿にしているのはそっちでしょうっ!」
「まぁ、んだなぁ……まんずまんず、首尾は上々ってか」
「何言ってるのよ。大体、兄弟なのに意思の疎通が無い事が異常なのよっ!」
「おっと。そいつは、言いっこ無しだぜ。兄弟の仲が悪いってぇのはよぉ、他人よりも質が悪ぃと来たもんだ……アマテラスは、おいらの事を警戒して、寄せ付けねぇんだからよぉ」
スーさんは、懐からスマホを出してGPSをチェックした――
「あのさぁ。情報遅くね?」
「だって……」
「かぁ―――っ! 神様なんだから、チャッチャとしなさいよっ! 情弱も良い所ねぇ」
「仕方がねぇんだよぉ……」
「あのね。アマテラスは今、第二日本列島に行っているの」
「本当に?」
「横浜から一直線に向かった形跡がるの」
「あぁ……で?」
「そうねぇ……きっと、赤馬岳山頂に居を構える算段ね」
「そうなんだ?」
「あ。何その言い方? 疑っているの? 一番高い所に居るに決まっているでしょう」
「そうかぁ。そいつは、腑に落ちるぜ」
「アマテラスに会いたいなら『第二日本列島へGO!』なのよ」
「どうやって行けば良いのか、分からないんだよなぁ……」
「やんなっちゃうなぁ。神様なんだから、空を飛んでも良いし、水上を歩いたって行けるでしょうに?」
「神話を作れと? 何か、アマテラスの脇役みてぇなのが、気に入らねぇんだよなぁ……」
「ちっちぇなぁ……情弱だから教えてあげるけど、第二日本列島が出来て日本の形は『イ』になったの。分かる?」
「あぁ、そう云えばそうだなぁ……」
「何でか分かる?」
「理由なんて有るのかぃ?」
「伊邪那岐・伊邪那美の『イ』なの」
「ぁぁ、なるほど。でも、どうしてそんな……手の込んだ事を……解せねぇなぁ」
「まだ、分らないの? なぁ――――んでかっ!」
「何でかフラメンコ? イロハのイの字だから!」
「なぁ――――んでかっ!」
「えっと……」
「それは、宇宙人の目印だからっ!」
「うっ、宇宙人??」
「そうよ。宇宙から見て伊邪那岐の星、神話の星って分かる様に目印になっているの。そして、ブランド化ね」
「本当に?」
「人類が権力闘争とか、やっているでしょう?」
「おぅ……」
「全部無駄」
「全部?」
「隕石ド―――ンっ! でお終い」
「そんな馬鹿なぁ……」
「地球の歴史は約46億年でしょう? それまで、色んな事が有った分け」
「ちょいと、分けありって事か?」
「人間って、昔は、凄い巨大だったらしいよ」
「えぇっ!」
「神代の昔より、遥か昔の話」
「……………」
「ほぉら、知らないんだぁっ! 情弱は、これだから嫌なのよねぇ……」
「何だか、神様も存在感無いぇなぁ……」
スーさんは、めぐみの言う通りに第二日本列島に向かう事になった。そして、日も傾き仕事を終える頃、七海がやって来た――
「めぐみお姉ちゃぁ―――――――――んっ!」
「あら、七海ちゃん。どうしたの?」
「今日は、レミさんがバンドの練習で遅くなるって言うから」
「んじゃぁ、外食か?」
「あっシは、バーガー行きたいんよね」
「えっ! この間の?」
「うん。ビア・シェイク以外にも、クーベルチュールのチョコ・シェイクがリキュールと、オレンジピールで最高なんだってさぁ」
「ゴクリッ、ちょっと、美味そう」
「バーガーも、トンカツと竜田揚げの和風バーガーが増えたんよねぇ。カツはソースカツ風で、竜田揚げはガーリック・ソースにレタスと辛しマヨが最高なんだって。アメリカ人から見た日本の美味しさ発見なんだお」
「決まりだなっ!」
「んで、バーガーからのぉ、カラオケ行きーのぉ、温泉でFINISHっ!」
「PERFECTっ!」
〝 ウェ――――――――――――イッ! イエ―――――――――イッ! ″
めぐみは、七海と連れ立ってKevin’s burgerへと向かった――
「あぁっ! めぐみお姉ちゃん。並んでるお?」
「マジか……結構、流行っているんだねぇ。盛ってるよぉ」
Kevin’s burgerの店前には二十人ほど並んでいた――
「結構な人数だし、押しそうだよ……」
「ケツカッチンだお」
日を改めようかと考え、店の中を覗いてみると、店内には誰も居なかった――
「ちょ、待てよ。七海ちゃん、ガラ空きじゃんよ」
「何で行列よ?」
すると、並んでいた客が話し出した――
「Kevinが、宇宙との交信が有るから、今は手が離せないって言うのよ」
「俺さぁ、一時間以上、待っているんだよなぁ……」
「勘弁して欲しいよなぁ。腹が減って死にそうだぜ」
「もう、バーガーの口だし。他は考えられないし」
厨房のKevinは、お客に背を向けて、古めかしい通信機の前でチューニングを合わせる事に躍起になっていた――
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