激突!ミノタウロス!
カインは、『挑戦の間』にて、ミノタウロスと激突する!
俺とミノタウロスの距離が、ジリジリと近付いていく。ある程度距離が縮まると、ミノタウロスは、斧を両手に持ち、大きく振りかぶった。その時、俺とミノタウロスの動きがピタリと止まる。
暫くの静止、静寂。ミノタウロスは、俺が僅かでも動けば、瞬間的に斧を振り下ろしてくるだろう。ビリビリと、ミノタウロスの気迫が伝わってくる。
あまりの緊張感に、レオナルドはたまらず尻餅をついた。
トスン
それは、小さな音だったが、俺とミノタウロスが動くには、良い切っ掛けとなった。
「グオオオオオオオオッ!」
ミノタウロスは、一気に斧を振り下ろす。とんでもないスピードだ。避けることは可能だが、その時の衝撃で、地面は大きく破裂するだろう。その衝撃波で、アイザックとレオナルドは吹き飛んでしまうだろう。
つまりは、俺には、避ける選択肢はないということだ。ミノタウロスも、それが分かっているから、この攻撃を選んだのだろう。
俺は、エクスカリバーを横に構えて、ミノタウロスの攻撃を耐える。
ドシーーーーーーーーッ!!!!!
ミノタウロスの斧と、俺のエクスカリバーが交錯した時、とんでもない圧力と重量感を感じた。あまりの圧力と重量感で、俺の下の地面が大きく陥没した。攻撃を防御できたが、その圧力は剣を通り越して感じる。凄い衝撃だ。
「ぐぐぐぐっ!」
「グオオオオオオオオッ!」
ミノタウロスは、そのまま俺を潰そうと斧を引かずに押してきている。圧力は、だんだんと強くなってきている。ここは、耐えるしかない。
膠着状態が続く中、嫌な音が聞こえてきた。
ピシピシピシッ
どうやら、2回目のミノタウロスが動きだそうとしている!完全に動きだす前に、このミノタウロスを倒す必要があるのだ。
「カ、カイン!大丈夫なのか?まさか、カインでも勝てないのか?そんな馬鹿な。」
アイザックの顔色に、恐怖の表情が現れだしてきている。2体目のミノタウロスが動きだしたら、アイザックとレオナルドの命はないだろう。
「くそッ、早くしないと!」
俺は、一種の賭けに出ることにした。このまま防御しているだけでは、膠着状態が続くだけだ。走行しているうちに、2体目のミノタウロスが完全に動きだしてしまう。
そこで、2度目の『体力アップ』を使用した。これで、短時間だが防御力は跳ね上がる。
それにより、両手で構えたエクスカリバーの防御を、片手でも防御出きるようになった。片手の自由ができたことで、『二刀流』のスキルを使い、もう一本のエクスカリバーを出現させた。そのまま、切り上げるように、『次元斬』を放った。
賭けは成功した。『体力アップ』の効果が解除される前に、ミノタウロスを真っ二つにすることが出来たのだ。
俺は、再び『体力アップ』を使用して、2体目のミノタウロスに備える。
ズシーーーーーーーン
真っ二つになったミノタウロスが倒れると同時に、2体目のミノタウロスが完全に動きだした。1体目が倒れた際の砂埃に紛れて、突進してくる2体目。だが、『視界良好』の裏スキルを持つ俺は、直ぐに対応できた。
突進しながら、ただでさえ巨大な斧をさらに巨大化させた2体目は、一気に俺に切りかかる。それに対して俺も、巨大化したエクスカリバーを横に払った。
ガシーーーーン!!!
大幅に強化された俺の攻撃力3600万には、流石の2体目も叶わなかったのだろう。2体目の斧は、その大きさからは想像できないほどに軽々しく弾き飛ばされた。
「うらああああっ!」
俺は、そのままの勢いで、2体目を破壊した。2体目は、俺の斬撃を受け、完全にバラバラになったのだ。これで、残るは1体。その1体は、3体の中で、一番大きな斧を持っている。攻撃力も、一番高いと予想される。
これまで2体と戦って分かったのだが、俺も、ミノタウロスも、攻撃力に特化しているということだ。防御力よりも、攻撃力の方が遥かに高い。だから、防御に徹するより、先制攻撃をした方が、圧倒的に倒しやすくなるということだ。
いくら『強敵察知』の反応がないといっても、ミノタウロスが、斧を巨大化させたら、俺の防御を打ち破る攻撃が可能なのだ。実際、1体目の攻撃はやばかった。
それにしても、あれほどの重い攻撃を受け止めたというのに、地面が陥没しただけですんでいるのだ。てっきり、床に穴が開くことも覚悟していたのだが。2体目の斧を弾き飛ばした時もそうだ。あの斧は、壁に刺さっただけで、壁が大きく破壊されたことはない。俺の防御を破るかもしれない攻撃ということは、攻撃力が120万以上はあるはず。攻撃力が10000を超えるモンスターを相手にするのに、軍隊が必要だというのが、今の世界の常識。その120倍の攻撃力以上の斧が、壁を破壊できないとは、どういうことなんだろうか?
謎は深まるばかりだ。まあ、あと1体倒し、第5階層の石碑を見れば、色々と解決するはずなんだ。
石像が残り1体となり、俺は、気を引き締め直し、出現させたエクスカリバーを2本構えて、最後の勝負に備えた。
最後の石像が、ついに、ピシピシと音を立て始めた。次の瞬間、石像が光りだした。光が収まると、そこに立っていたのは、石のミノタウロスではなく、完全なる牛頭人身のミノタウロスだった。
「よくぞ、ここまで来た。挑戦者よ。」
なんと、姿を表したミノタウロスは、低い声で俺達に語りかけたのだ。
「挑戦者よ。お前達がここまで来たということは、その時期が来たということなのか?」
「時期?時期とはなんだ?」
「はっはっは!分かるはずないか。答えは、この下にある。知りたければ、我を倒してみるが良い。」
そう言ってミノタウロスは、巨大な斧を構えた。今までの石のミノタウロスとは、比較するまでもなく、隙のない綺麗な構えだ。このミノタウロスと戦うことこそが、『挑戦』ということなのだと、俺は直ぐに理解した。
先手必勝!
俺は、一気にミノタウロスまで距離を詰め、ゼロ距離で2本の『エクスカリバー』で『剣の舞い』を放った。しかし、俺の斬撃はミノタウロスの体に当たることはなかった。ミノタウロスは、実体がないとしか思えない。俺のエクスカリバーは、ミノタウロスの体をすり抜けたのだ。
予想外のことが起きたため、俺は警戒のため、バックステップをし距離を取った。
「はっはっは!良い踏み込みだ。では、攻撃回避能力はどうかな?」
ミノタウロスは、笑いながら斧を振り下ろしてきた、俺は、エクスカリバーを2本使い、十字受けでミノタウロスの斧を避けずに受け止めた。俺には、避ける選択肢はないので、攻撃を受け止めるしかなかったのだ。ただ、先程の1体目のミノタウロスの攻撃と違い、エクスカリバーを2本使ったので、比較的容易に攻撃を受け止めることができた。だが、攻撃の衝撃と圧力は凄まじいものだ。俺の下の地面は、先程よりも大きく陥没していた。
流石に最後の1体のことはある。とんでもない衝撃に、俺は驚いていたが、何とか耐えることができた。すると、ミノタウロスは、大きく後ろに下がった。急にどうしたのか、ミノタウロスは、驚愕の表情をしていた。
「お、お前。我の攻撃を避けもせずに受け止めるとは、何者だ?どうやって、そこまでの強さを手にいれたんだ?お前の強さは、明らかに異質だ。」
「何を言っている?攻撃してきたのなら、受け止めることは、何ら普通のことだろう?」
「いや、そんなことはない!今は、我の攻撃を、どう避けるかを見たかっただけなんだ!」
「いや、言っていること、おかしくないか?さっきも、1体目の攻撃を、俺はしっかりと受け止めたぞ。」
「そんな馬鹿な。考えられん。」
正直、ミノタウロスが、何を目的としているのか、何を俺達に望んでいるのか、さっぱり分からない。とりあえず、ミノタウロスを倒すことは、正解なのか?
「すまないが、話が見えない。また、攻撃させてもらう。」
俺は、再びミノタウロスに斬りかかったが、やはりミノタウロスの体をすり抜けてしまう。ミノタウロスも、俺の振り終わりの隙を狙い、もう一度斧を振り下ろしてきた。しかし、そう何度も攻撃を受け止めたるだけという、防戦的な方法はとりたくなかった。
俺は、『速力アップ』を2回使用して、瞬時にミノタウロスの斧の振り下ろしに反応して、エクスカリバーで斧を打ち払った。
ミノタウロスは、さらに驚愕の表情をしていた。
「まさか、守備力だけでなく、素早さも、攻撃力も、これほどまでに!まさか、お前!解けているのか?」
ミノタウロスは、さらに意味の分からないことを聞いてきた。なんだと?何が『解けている』というのか?
「何度も言うが、話が見えてこないんだ。一体、何を聞いている?この『挑戦の間』では、何を確かめる必要があるんだ。」
俺の再度の質問を無視して、ミノタウロスは何かを考えているのか、ブツブツと独り言を言っている。そうかと思うと、急に高々と笑いだした。
「はーーっはっは!、止めだ止めだ!」
????????
何を止めるんだ?ますます分からなくなってきたぞ。




