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【第22話】決勝前夜(ヘリオス視点)

夜の控室は、静まり返っていた。

包帯を巻いた左手が、じんじんと痛む。


(……痛みなんてどうでもいい)


明日、すべてが終わる。


レオスとしての自分も、

仮面の下に隠してきた想いも。


(セレナ……)


彼女が観客席で見せた表情が、何度も脳裏に浮かぶ。

嬉しそうで、不安そうで、

どうしようもなく愛おしい。


(本当の僕を……見てほしい)


でも、それは彼女を傷つけるかもしれない。


レオスを愛している彼女に、

ヘリオスとしての自分を見せることは——

裏切りにも等しい。


それでも。


(……最後に一度だけ、正直になる)


デルフィニウムの紋章を指でなぞる。

セレナの誕生花。

彼女を想って刻んだ印。


(明日、仮面を外す)


どんな結末になろうとも。


月が静かに輝いていた。

その光の下で、ヘリオスはひとり、

決意を固めた。

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