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【第21話】決勝前夜(セレナ視点)
初日の大会が終わり、夜の空気はひどく静かだった。
胸の奥だけが、まだざわざわと落ち着かない。
(……レオス様)
今日の戦いは、今までで一番美しかった。
左手の剣さばき、足音のリズム、
そして剣を収めるときの、あの——
「シュッ」
幼い頃、訓練場で聞いた音と同じだった。
(偶然……?
でも……)
推し活手帳を開く。
今日のページには、震える字でこう書いてあった。
レオス様
左手
デルフィニウム
足音
一礼
(……全部、偶然じゃないのかもしれない)
手が震えた。
胸が苦しい。
でも、目が離せない。
(明日……レオス様は、どんな願いを口にするのかしら)
もし優勝したら、
彼は何を望むのだろう。
(……会ってみたい、なんて……言わないわよね)
そんなはずはない。
でも、もし——。
考えた瞬間、胸が熱くなった。
(わたくし……どうしてこんなに……)
自分の気持ちが分からない。
ただ、心が忙しくて仕方がなかった。




