眠れる獅子は
「私ィを、召喚すル程まデ...とは。やりマすネェ...」
「「問答はいらない。お前程度、瞬殺してやる(わよ)。」」
「それハ...楽しミデす!」
制限を解除する。時鳥が意図的に自分自身にかけているこのリミッターは、時鳥自身が必要以上にエネルギーを消費しないためのもの。今、その制限が解除された。
「<神級暗殺術・毒霧><神法・改魔・毒竜生成>」
まずは小手調べ。時鳥は現時点で合成できる中でも最高品質の毒を生成し、それを改変魔法で作った毒の竜を生成する魔法で形状変化させる。頭の領域の一部をそれの構築と操作に割きつつ、自分はミチザネに向かって魔眼を発動する。暴食の魔眼。それはミチザネのステータスを徐々に減少させていく。ミチザネも流石に気づかないはずもなかったが、視界から逃れようとした。
しかし、それは海鳥が許さない。
「<魔導開花・吸着><魔導開花・改・牢鎖陣>」
彼女もまた天才であった。一瞬で術を構築し、ミチザネをその地に留まらせる。そこに時鳥が生んだ数え切れないほどの夥しい数の毒竜が襲いかかる。死神と戦帝はその蹂躪をただ眺めていただけだったが、彼らには一つだけ不安要素が残されていた。
この程度でこのゲームの運営が終わらせるはずが無い。
「面白カッタですヨぉォッ?キテぃーズ?」
1ダメージも受けずに、ミチザネはただそこに立っていた。
(ノーダメージ?そんなわけがない。状態異常無効?それなら質量攻撃をしたのにノーダメージなのが理解できんな。それならば何らかの条件を満たしていないとダメージすら与え──────)
「考エ事とハ、余裕ですネ!<邪神の矜持>!」
「...ッ!? <魔力障壁・虹>!」
「俺たちも参戦するぞ!<戦の因子の鼓動>ッ!」
「アンタたち何で使わないのッ!?<死の因子の鼓動>!」
因子の鼓動とは、帝王系統職業に標準搭載されているスキルである。このスキルを使用したとき、プレイヤーは一定時間多大な恩恵を受けることができる。その一つが障壁貫通で、あらゆる防御を突破できるというもの。勿論、相殺されてしまうこともあるが。
「制限時間内に殺せる気がしない!ラストスパートまで温存する!」
「私も右に同じ!<魔導開花・斬>!」
「チッ!」
ミチザネは、ファルたちが動き始めたときはニヤニヤと不敵に笑っていただけだったのにも関わらず、何故か海鳥の攻撃を回避した。さすがの時鳥でも、この程度のことは気にもとめていなかったのだが。
「<秘奥魔法詠唱開始>!」
「!!<魔導開花・絶対防御の陣>!」
「<戦闘開始><戦神の神拳>」
「<神技・守・改・天の羽衣>!」
「防御陣デすか!面白いでスねェッ!」
ミチザネの声に含まれていた焦り。時鳥は、それを見逃さなかった。




