Vol.7
――一体何ごと…?
なんだかよくわからないけれど逃げるように帰る衣の後姿を見ながら、未散は肩ではぁはぁ言いながら昇降口で立ち止まっていた。
先輩達にトイレに行くと偽って優太と体育館を出た未散は、衣を挟み撃ちしようということで優太は左へ未散は右へ分かれて走った。
で、未散が見つけたのは……あわてて校門に走っていく衣の姿だった。
未散は外履きにも変えず校門へ走る。
しかしすでに未散が校門に着いたころには衣はもう100メートルくらい先にいて、さすがに追いつくのは無理と思い追いかけるのは諦めた。
一応「衣どうしたの?!」と言ってはみたものの聞こえてないのか、そのまま衣は右へ曲がってしまい見えなくなった。
「えーと、優太優太、優太はどこだ……?」
――いい加減、戻らないとマズいよね。
とりあえず衣のことはおいといとくことにして未散は優太を探し始めた。
「優太ぁ、どこ?」
優太を呼んでいるとふと自分の教室が目に入ったので未散はそこへ行ってみることにした。
教室のドアは開いている。
「優太、いる?」
そう言いがら教室に入った途端未散が目にしたのは。
片ひざを立てたその上に腕を乗せ、そのまた上に頭を乗せて一点をぼんやり見ている優太の姿だった。
「どうしたの?なにかあったの?」
衣はあわてて帰ったみたいだし、と未散は優太にたずねる。
「……未散、頼みがあるんだけど」
優太は未散の質問には答えず同じ姿勢のまま未散に話しかける。
「なに?」
未散は優太を見下ろす。
「先輩達にさ、『並木は下痢が止まらないのでしばらくトイレにこもりますから始めててください』って言っといて」
「え、ちょっと待ってナニ……」
なんでそんな展開になるのか理解不能の未散は優太に返そうとした。
しかしそれはガンッ!と教卓の横を拳骨で殴った優太に止められる。
「……もういいから行ってくれよ!頼むから一人にしてくれよ!」
未散に見られないように目が痒いフリをしながらこぼれてしまった涙を乱暴に拭い、優太は未散に怒鳴り散らす。
「……わかった、そう言っておけばいいのね」
――ダメだわこりゃ。優太、なんかやらかしたな。
もうこれは後で聞くしかないと思った未散は「じゃあ先に行くからね」と優太を残して教室から出た。




