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Vol.47

 メイド喫茶で30分ほどだらだらと過ごした佳佑と理は次の目的地へ向かった。

「……お、いたいた。ここにも『馬子にも衣装』が1人」

 聖の姿を見つけた理は「よお、色男!」と大声を出しながら聖に手を振った。

「なんですか、『馬子にも衣装』だの『色男』だのって」

 いらっしゃい、と聖は理に苦笑いする。

「いやさ、これだけのガタイがあるとこういうのが似合っていいよなぁって思って」

 理はそう言いながら遠慮なしで聖の肩をばしばし叩いた。

「あの、すみません。ちょっといいですか?」

 外部から見に来た女のコ3人に聖は声を掛けられる。

「はい、なんでしょう?」

 聖は営業スマイルで彼女達に笑いかけた。

「お名前聞いてもいいですか?」

「……西倉です、西倉聖」

「何年生ですか?」

「……1年だけど……あのすみませんけど、俺はその気ないんで」

――あーまたか……もうこれで何回目だ……?

 だんだん逆ナンされていることに気づいた聖は急に声色を冷たくした。

「彼女いるんですか?」

 だが1人の女のコが聖の拒否モードをまるで無視して質問を続ける。

「……いたらなんだって言うの」

 ギロリと聖は彼女を睨んだ。

「……な、なによ!いい気になってんじゃないわよ!」

 聖の態度が癪に障ったらしく、負け惜しみを聖にぶつけ3人は教室から出て行った。

「おいおい西倉モテモテじゃん、もうちょっと優しくしてやれよ」

 後ろからずっと観察していた理が聖の隣に来て肘でつついた。

「どうせ今日だけですよ、珍しいもの着てるから。それに」

 聖は理に突かれていた腕をなんとなくさすりながら言葉を続けた。

「どうもあぁいうのは苦手で……言うのも苦手だけど……」

 はは、と聖は気のない笑い声をあげた。

「ふーん、照れ屋さんなわけだ……あ!西倉、俺あれやりたい。やっていい?」

 聖を見上げようとした途中で目に入った模擬店に理は心奪われた。

「どうぞ……ってもう行っちゃってるし」

 すでに店の中に入って100円をテキヤの兄ちゃんをやっている聖のクラスメイトに渡している理の姿を見て理のすばやさに笑ってしまった。

「儲かってんの?」

 理と聖を横からのんびり見ていた佳佑が聖の隣に立って話しかけてきた。

「どうなんですかね……でも確実に優太のクラスには負けてますね」

「確かに」

 聖は苦笑し佳佑は笑って肩をすくめた。

「俺もさっき並木たちのクラスに行ってきたよ。西倉は見た?超エロカワイイ吉岡未散ちゃん」 

 佳佑はさりげなく話を聖に振る。

「あぁあれですか、見ましたよ。けど……」

「けど?」

「見慣れなくて、俺はちょっと……」

「なに?じゃあかわいくないってこと?」

 佳佑の思ったとおりの返事が聖から戻ってきたのがおかしくて、佳佑はついつい少し意地悪なことを聞いていた。

「誰もそんなこと言ってないじゃないですか!」

 聖はこれもまた佳佑の思ったとおり、ムキになって返事を返してきた。

「わかったわかった、西倉の気持ちはよくわかった」

 佳佑は聖の肩に腕をおき軽く叩いた。

「けど吉岡はかなり落ち込んでいたぞ、あれだけみんなにかわいいって褒められているのにちっとも嬉しくないみたいで。これは俺の推測だけど、その原因は西倉のつれない態度のせいじゃないのか?」

「つれない言われても俺そんなつもりは……って、え?!」

「何?」

 聖の突然自分を動揺しまくりで見てくる反応に「なにかおかしなことでも言ったかな」と思いながら佳佑は聖を見上げた。

「吉岡、先輩にそんなこと言ったんですか……?」

 聖の方はうろたえながら佳佑を見る。

「じゃなかったらこんなこと、西倉に言うわけないだろ」

 人がいいにもほどがあるなと自分で思いながらも、佳佑は聖を見返した。

「西倉」

「……はい」

「吉岡は、お前以外の男にどんなにカワイイ言われても意味ないみたいだよ。まぁお前の性格上大変だとは思うけど、ココは頑張らなきゃいけないんじゃないのか?」

 うおー外したー!と大声出して悔しがる理を見ながら佳は聖に呟いた。

「ま、別に言いたくないならいいけど。でも、知らないよ?いつの間にか誰かにどっか連れ去られちゃっても。それでもいいのか?」

「連れ去るって、誰が?」

「……さぁ、例えば俺とか?」

「……え」

 聖はぎょっとして佳佑を見る。

――おっと。どさくさにまぎれて言ってしまったな。

「うそうそ、冗談だよ」

 本気にするなよ、と佳佑は笑いながら聖に手を振った。

「けど半分は本当だぞ。外部の男性の客からけっこう誘われて断っているところ、随分見たし」

 佳佑は上目で聖を見た。

「けっこう困ってたみたいだよ、助けに行ってやったら?」

「…………」

 佳佑は言いながら視線を聖から外した。

 聖は佳佑に何も言い返せないまま困惑した顔で佳佑を見る。

――あーもう知らん知らん。あとは自分で考えろ。

 聖の視線に気づかないフリをして佳佑は腕を組み、いつになく真剣にダーツをやる理に目を見やった。

 こんばんは、愛梨です。

 さてさて、半分冗談交じりとはいえついに佳佑、聖に宣戦布告です。

 これ、あとあと出てきますので覚えておいてください。


 で、次回ですけど。

 いったんちょっといい感じになりますが、そのあと未散が大ピンチ!

 何が起こるんでしょうかねぇ……気になる方は次をご覧下さい。


 ということで、またです。

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