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台風と地震

お店を出て空を見上げると日差しが更に強くなった気がする。

時計を見ると既に13時だった。(腹減ったなぁ、快晴に電話してみるか)

「もしもし快晴か、買い物は終わった?」

「終わったよ」

「飯食べない?」

「お腹空いたね。何食べる?」

「ゴーゴーカレー食べてみようか」

「えぇ~、あの大盛りカレーは食べられないよ~」

「沢山食べられるってことは幸せなんだぞ。それじゃゴーゴーカレーの前で待ってるよ」


ゴーゴーカレーは金沢のB級グルメである。その味とボリュームがヲタクに支持されて秋葉原名物になっている。

翔と快晴はお店に入り券売機で食券を買った。

「カウンター席が空いてるよ。先に座ってるね」

食券を出してから二人は冷たい水を一気に飲み干してカレーが出てくるのを待っている。


「お待たせしました。メジャーカレーとゴーゴーカレーのヘルシーです」

メジャーカレーの上には大きなカツが2枚、ソーセージと海老フライが2個づつ、茹で卵と千切りにした山盛りキャベツがのっている。

翔はメジャーカレーを受け取りカレーの写真を撮った。もちろん、ブログにアップするためだ。

対象的に快晴のカレーには何ものっていない。

「食べきれないから、カツを快晴にあげるよ」

「お父さんの考えることなんて分かってたよ、有り難く貰うね」



「いやぁ~お腹が膨れたな!最後にドンキで買い物をして帰ろうか」

二人で並びながら歩いてドンキの前にくると、リュックを背負った男性で人だかりが出来ている。

「何これ?」

「AKB劇場の開演を待っているんじゃない」

「それにしても、この暑い中で大変だねぇ~、ファンもラクじゃないってか!」


エスカレータに乗ってドンキホーテに入るといつもながらの商品ジャングルが待っている。

ドンキの2階は食料品や日用品、3階はスポーツ用品に玩具、そして4階は家電やゲームが並んでいる。

二人でジャングルの中を彷徨っていると、

「お父さん、これはどう?水を綺麗に浄化できるらしいよ」

「普段は使えないだろう。遊びにしては値段が高いよ」

「これは?車が水中に沈んだときにガラスを割るハンマー」

「おいおい、愛車を沈めないでくれよ」

快晴は珍しい物を見つけては翔に報告してくる。これも親子の楽しみなのだ。



「これ買う!」

「買うって何をだ?」

「十徳ナイフ」

「そんな物を持っていると警察に捕まるぞ」

「逆だよぉ、今持っている十徳ナイフが大きいから捕まるんだよ」

「だから、こっちの小さい方なら捕まらないんだよ」

「小さくても同じだよ」

「違うよ!刃渡り6cmを超えると銃刀法、6cm以下が軽犯罪法で隠して持たなければ逮捕されないんだよ」

「まぁ、法律を理解した上で自分の小遣いで買うなら問題ないよ。それで値段は?」

「3000円。少し援助してくれない?」

「えぇ~」



「快晴、テレビをつけてくれ」

テレビの液晶画面に映ったのは、カッパを着てよろけながらも台風の凄さをアピールするNHKアナウンサーの姿。

”台風は伊豆大島の南40Kmを北上しており、勢力を保ったまま福島に上陸すると思われます。”

「お父さん、上陸するってよ」

「福島の原発が心配だな」

「違うよ、心配なのは旅行のこと。明後日に出発なんだよ」

心配そうな顔で答える快晴に対して、翔の顔は緩んでいた。

「それならば安心だ!台風一過と言うだろう。台風の後は晴れるっ決まっているんだよ」


「よしっ、旅行に持っていく荷物でも確認するか」

快晴と翔は自室に戻り荷造りを始めた。

「お父さん、パソコンは持っていくの?」

「そうだなぁ、旅行中にブログの記事をアップできるので持っていこうか」

「僕のパソコンは電池の調子が悪いので、お父さんのノートパソコンを持っていってね」

「了解」

「あれっ!その100円均一で買ったビニールシートも持っていくの?」

「これがあればどこでもピクニックが出来るからな。それとお決まりのガムテープもセットだ」


「あと、いつもの車載カメラを作るので厚紙を用意してくれないか」

「車載カメラなら僕が作るよ」

車載カメラと言ってもiPhoneに厚紙を巻いて留め、車のバックミラーにガムテープで固定するだけの簡易カメラのことである。

見た目は今一つだが性能と使い勝手は本物の車載カメラに引けを取らない優れ物である。

快晴が慣れた手つきでiPhoneを車載カメラに変えていく。

「出来たよ、これで良いかな」

「十分な出来だ。綺麗な映像が取れると良いな」


その時である。車載カメラが突然振動して緊急地震速報のコールが鳴り始めた。

「大きい地震が来るぞ!」

「千夏は火を消せ!快晴は出口を確保しろ!」

1秒、2秒、3秒・・・・小さい横揺れが3秒続いた後に突然ド~ン。

下から突き上げる縦揺れに変わり食器がぶつかる音が聞こえてくる。

「こっちに集まれっ」翔が叫ぶ。

二人はよろけながらも翔のまわりに集まってくる。


地震は数秒でおさまった。

快晴を見ると手には避難袋を抱えている。

そして、NHKの通常番組が中断してニュースアナウンサーが映し出された。

”関東地方で大きな地震がありました。震源地は群馬県南東部、震源の深さは10Km、最大震度は5強と推測されます”

「みんな大丈夫か?」

避難袋を抱えながら「怖かったね」


「台風と地震が一緒にくるなんて最悪の日だよ」

「もう大丈夫かな」快晴が不安そうな顔をして聞く。

「東京の震度は4ぐらいだから大丈夫、だけど群馬が心配だな」

テレビからはアナウンサーの落ち着いた声で”詳しい情報が入り次第お伝えします。”と流れ、地震の内容が繰り返し読み上げられている。


千夏はキッチンに戻って食器の状態を確認するが問題は無いようだ。

快晴が避難袋となっているリュックを開けて中を覗き込みながら

「これも旅行に持って行こうか?」

「そうだな、最近は地震が多いからな」

テレビには群馬放送局の監視カメラ映像が映し出されているが、大きな被害は免れたようだ。



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