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箱根へ出発

台風一過が通り過ぎた土曜日。

翔は両手にいっぱいの荷物を持って愛車に向かっている。

その後ろからは快晴がリュックを背負い、手にはもう一つのリュックを持ちながら付いてくる。

「今日は少し涼しいな」

「え~と」片手でiPhoneを操作しながら、

「今の気温は32度だよ。お父さん」

「32度が涼しく感じるなんて異常かな?」

「お父さんだけじゃないから大丈夫だよ」


翔は愛車のトランクを開けて重たそうに全ての荷物を入れた。

「リュックは2つともトランクに入れるのか?」

「1つだけで良いよ。もう一つは自分で持って歩くから」

トランクを勢いよく閉めてから車に乗り込む。

(千夏は遅いなぁ)

翔の心を見透かすように「お母さんは化けるのに時間が掛かるからね」

「化けるねぇ~」翔は何となく笑ってしまった。

「それじゃお母さんが来るまで準備をしよう。快晴は車載カメラをセットしてくれ、俺はナビをセットするから」


快晴はiPhoneの車載カメラをバックミラーに素早く固定する。

翔はiPhoneをダッシュボードの上に固定し、グーグルマップの目的地を箱根湯本駅にセットして自動車ナビモードに変更した。

「快晴、後ろの袋からコンバータを取り出してくれ」

「分かった。これが無いと電池が直ぐに切れちゃうからね」

コンバータとはクルマのシガーソケットの電気を家庭用100Vに変換する機械である。

100Vのソケットが2個付いているので、同時に2台のiPhoneを充電することができる。


「お待たせ~」と言いながら千夏が後部座席に乗り込んだ。

「快晴がお母さんは化けてるので遅いんだ。そんなことを言っていたぞ」

「こら~快晴。あんたみたく若くないから大変なのよっ」

口では怒っているが、実は本当のことらしい。

「千夏、iPhoneを貸して」

翔はiPhoneを受け取りミュージックアイコンをタップして音楽を再生した。

「よし、箱根に向けて出発だ~」



愛車は順調に進み首都高速から東名高速に入った。

車内の時計を見ると8時30分を表示している。

急いで行くのなら小田原厚木道路を抜けて小田原経由で箱根に行く方が早い。

だが翔は箱根の山道を楽しみたい気持ちがあったので御殿場まで直進することにした。

「あと何キロぐらい?」快晴が気になるらしくて聞いてきた。

「東名に入ったばかりなので御殿場までは60キロかな」

「30分で着くね」

「渋滞が無ければ直ぐに着くよ」


iPhoneから流れてくるアニソンを数曲聞いていたら、左手に御殿場の建物群が見えてきた。

「アウトレットが見えてきたぞ」運転しながら翔が言う。

「昔は翔と良く来たよね。快晴知ってる?アウトレットの前は何があったか?」

「知ってるよ常識じゃん。遊園地だよ。御殿場ファミリーランドだっけ」

「大正解。1999年まで営業していたから、快晴も一度だけ来たことがあるよ。1歳のときだけどね」


昔を懐かしんでいたら突然iPhoneから女性の声が聞こえてきた。

(御殿場インター出口。左側です)

翔はハンドルを左に切って出口へと愛車を進め、料金所をETCで抜ける。

その先のT字路を左に曲がると後は一直線で箱根湯本まで行ける。

「よ~し、箱根山を掛けぬけるぞ」

「お父さん、安全運転で頼むよ」

「いつも安全運転だよ~」


インター出口から2分進むと右手に金時力まんじゅうのお店が見えてくる。

そう、ここは金太郎で有名な足柄山だ。

金太郎の本名は”坂田金時”。まんじゅうの名前は金太郎から命名されている。

快晴に金太郎の挿話を話しながら愛車を進めると道路が峠道になってきた。

「箱根湯本までは23キロだから10時15分頃に着くかな」翔が予定時間を伝える。

「丁度、お店が開く時間だね。着いたら休憩したいな」


快晴が言うと同時に頭を車の窓にぶつける。「痛っ!」

「ちゃんとつかまれよ」

「分かってるよぉ」

翔がいう安全運転は峠で70キロを出すことを言うらしい。

しかし、翔の顔には余裕が溢れている。


愛車は箱根裏街道を進み富士屋ホテルがある宮ノ下に出た。

富士屋ホテルを眺めながら千夏が「いつかは泊まってみたいね」

「快晴、お金持ちになって二人を招待してくれよ」

「良いよ。でも間違ってお金持ちに成れたときだからね」


iPhoneからエヴァンゲリオンの曲が流れてきたところで箱根湯本駅に着いた。

快晴が「やっと、第3新東京市に着いたね」

「それじゃ!出撃するか」翔がおどけてみせた。


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