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Case 116「再会」

カレンデュラに来ていたクレーマーの件からしばらくが経ち、カレンデュラのアルバイトのみんなはおろか若菜ちゃんからも感謝されたことは言うまでもなく、若菜ちゃんのバイト先の本屋さんからは買う本を永久に半額にしてくれるという特典まで貰った。


(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)

学校の他のクラスの人たちもボクのことを一目見ようと休み時間に教室の外に集まり、そのせいで休み時間中にトイレに行けず次の授業中に教室でおもらしなんてこともしばらく続いた。


モルウェンナ「未青君本当に人気者になっちゃったからね(苦笑)」


またテレビで取り上げられたのもあって、ボクは学校はおろか一躍街の人気者にまでなった。

街の人A「未青くーん!」


それからまたさらにしばらくが経ったある日のこと。

(電話の音)

フレイン「はーい。」

家に電話がかかってきた。

フィーリー「もしもし。舞嗣遠町役場面会仲介課です。赤砂未青さんのお宅でしょうか?」

フレイン「はいそうです。未青くんがどうかしたんですか?」

フィーリー「はい。未青さんに会いたいという申請が町役場にありまして。未青さんに代わっていただくことは可能でしょうか?」

フレイン「分かりました。未青くんなら今家にいるので呼んできます。」


フレイン「未青くん。ちょっと1階に来て。」

未青「センセイ?どうしたの?」

フレイン「役場から電話ー。未青くんに会いたがっている人がいるみたいなの。」

未青「ボクに?」


アスムール民主国の役場には、その地域に住む人に会いたがっている人がいる場合にそれを仲介するという業務もある。ただし話が来るまでには厳正な審査が行われ、少なくともただの興味本位では許可が降りない。そんな中でボクに話が来たということは、役場の人たちも認めたほどのしっかりした理由があるということなのだろう。

センセイから電話を受け取るボク。

未青「お電話代わりました。赤砂未青です。」

フィーリー「赤砂未青さんですね。先日のテレビを見たことで未青さんにお会いしたいという方がいらっしゃいまして。」

未青「はい… 一体誰でしょうか?」

フィーリー「赤砂緋音さんという方で…」

未青「赤砂緋音… 待って!ボクのお母さん!」


役場の職員さんから聞かされた「赤砂緋音」という名前。それはボクのお母さんだ。ボクのお母さんがこの世界に来ていたことなど、びっくりなことが多い。


フィーリー「どうですか?お会いしますか?」

未青「はい!会いたいです!」

その後はセンセイも交えた上で会う日時と場所の調整だ。お母さんは週末だったら全部大丈夫ということで、次の土曜日の午後2時に役場で待つということになった。


フィーリー「では、土曜日の午後2時に役場でお待ちしております。」

未青「分かりました。」

電話を切ったボク。センセイがとても心配してくれていることは言うまでもないことだ。


フレイン「未青くん。いろいろ気になることとかあるよね…」

未青「うん… お母さんがいつの間にかこっちの世界に来ていたこととか、聞きたいことがいろいろ多すぎるよ…」

フレイン「そうだよね…―」


それから日は経ち、土曜日。町役場。ボクはセンセイと一緒にお母さんを待つ。服はもちろん男ものの服を着て。


時刻は午後2時少し前。ボクの側に癒師と思しき女の人を連れている女の人が来た。間違いない。お母さんだ。

緋音「未青だわ…!間違いないわ!未青よ!」

未青「お母さん… お母さん…!!」

緋音「未青…!未青…!会いたかったわ…!」

抱き合うお母さんとボク。とりあえずお母さんに聞きたいことはたくさんあるが、いざ実際に会ってみるとお母さんに再会できたことに対する嬉しさの方が強くなった。

4年前の4月、ボクが病気で命を落として以来、かれこれおよそ4年ぶりの再会だ。


未青「お母さん… いろいろ聞きたいことたくさんあるんだけどさ…」

緋音「いいわよ。なんでも聞いてちょうだい。」

未青「お母さんはいつなんで、こっちの世界に来たの?」

緋音「未青がいなくな…この世界に来て2年と少しが経ってからのことになるわ。お皿を洗っている最中に突然気を失って倒れて、気がついたら和葉(かずは)さんのお家で目を覚ましたの。」

未青「そうだったんだ… お母さんも死んじゃったんだね… お父さん、とても悲しんでそう…。」

緋音「そうなるね… 未青も私も亡くした蒼悟(そうご)さんのことを思うと、とてもいたたまれない気持ちだわ…」


ボクを亡くして2年ほど後、そんなボクの後を追うように命を落とし、この世界に転生したお母さん。家族を亡くした人は心労とかいろいろあって後を追うように亡くなってしまうなんてことを聞いたことがあるが、お母さんも完全にそうなってしまったと言える。お母さんの言う通り、ボクどころかお母さんまで亡くしたお父さんの悲しみはどんなものかと思うと、ボクたちまで悲しくなってくる。


未青「うん… ところでさ、お母さんはどんな街に転生してきたの?」

緋音「乙之峯おとのみねっていう、ここ舞嗣遠よりも北にある街よ。」

未青「へー。どんな街なの?」

緋音「ちょっぴり舞嗣遠よりも寒いけど、自然が豊かなところよ。電車やバスの本数は舞嗣遠と比べると少ないのがなんとも言えないところだわね(苦笑)」

未青「そうなんだ。北海道みたいな感じかな?」

緋音「そうみたいね。ちょっぴり寒いから、お家でお話しましょう。」

未青「そ、そうだね…(苦笑)」


町役場からレンタルカーペットでボク、センセイ、お母さん、それに転生したお母さんを引き取った癒師の和葉(かずは)さんの4人で、ボクの家に移動する。


フレイン「―私、未青くんを引き取った癒師のフレイン・スノーウィーです。よろしくお願いいたします。」

緋音「こちらこそ。改めまして、未青の母の赤砂緋音です。『センセイ』と呼ばれたってことは、未青から保健の先生と間違えられちゃった感じですか?」

フレイン「大体その通りです(苦笑)」

緋音「やっぱり(笑)未青はこちらの世界では良い子に過ごせてますか?」

フレイン「はい!魔法専門学校にも入学して、成績も魔法の実力もトップでして。」

緋音「そうなんですか…!あの生まれてからずっと病弱だった未青が、こんなに立派になれて…!」

未青「えへへ… でもおもらしは転生してもどうにもならなかったけどね… ボク今朝もおねしょしちゃったし…(苦笑)」

緋音「いいのいいの。元気に過ごせているなら、お母さんは十分よ。」

未青「ありがとうお母さん。」


思えば今度の4月でこの世界に来てから4年になるボク。友達も家族も、前の世界とは比べ物にならないくらい増えた。

家に着いたボク。

まりあ「おかえりお兄ちゃん。この人が、お兄ちゃんのママ?」

未青「そうだよ。お母さん紹介するね。妹のまりあ。半年前にこの世界に来て、センセイが引き取ったんだ。」

緋音「まりあちゃんね。未青がいつもお世話になってるわ。よろしくね。」

まりあ「よろしくお願いします。」

手洗いうがいを済ませて、お母さんと和葉さんを案内する。

2階。ボクの部屋を案内する。


緋音「あら?未青?」

未青「なに?お母さん?」

緋音「この写真に写ってる、未青そっくりな女の子は誰?」

ある一枚の写真を見たお母さん。その写真に写っているのは、他でもなく女装したボクだ。

未青「ああ… それ実は… ボクなんだ…(照)」

緋音「ホントに!?」

未青「うん…」

それから間髪を入れずに…


お母さんは笑った。

緋音「あはは(笑)まさか未青が本当に女装しちゃうなんて(笑)」

フレイン「緋音さんすいません…(苦笑)未青くんが本当に容姿も声の感じも女の子みたいだったので、スカートを勧めたら未青くんも気に入っちゃって…。」

緋音「そうだったんですね(笑)前の世界でも服を買いに行った時に女の子と間違えられて女の子の服を勧められたことがもう数えきれないくらいあって。」

未青「多分、ボクっ娘と見られていたのかなって。スカート履いてるボクも、今はもう立派なボクの一部だよ。」

フレイン「未青くん本人はもちろんのこと、みんなもうすっかり受け入れちゃってます。」

未青「安心して。パンツとかは普通に男ものを履いてるから。スパッツもちゃんとパンツの上に履いてるし。」

緋音「じゃあもう心配する必要はないわね(笑)」

未青「うん(笑)」


それからまたしばらく、お母さんとボクはおしゃべりをした。お母さんは転生した半年経った時に、乙之峯おとのみねの魔法専門学校の職員として働いているようだ。ボクもいつかその乙之峯おとのみねの魔法専門学校に行ってみたいと思ったのだが…


緋音「―その魔法専門学校、女子校なのよ(苦笑)」

未青「そうなの…?ボクめっちゃ疎外感感じるやつじゃん。」

緋音「そうかもね。でも未青なら女装して行けば大丈夫なんじゃないかしら?(笑)」

未青「外見的にはそうかもしれないけど~!」


それからしばらくして、ボクは突然強い尿意を催してしまった。しかしセンセイやシャピアさん、まりあとも楽しそうに話すお母さん。トイレを言い出していいタイミングがなかなか掴めない。


未青あっ…(ジュウウ…)

とうとうチビってしまった。すると…


緋音「ねえ未青?」

未青「お、お母さん?」

緋音「もしかしてトイレ行きたい?」

未青「うん… ちょっぴり出ちゃった…」

緋音「あらら。おトイレ行ってきなさい。」

未青「うん… ごめん。行ってくるね。」


ボクはトイレに急いだ。パンツがチビったおしっこで少し濡れているのが分かる。

家の1階のトイレのドアの前に着いたのだが…


未青「あっ… ああっ…」

(ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…)


膀胱の痛みが限界を超え、その瞬間ボクのパンツとズボンの中に一気におしっこが溢れ出してしまった。


未青どうしよう…

緋音「未青?大丈夫?」

すると、ボクがおもらしをしてしまった現場にお母さんがやってきた。

未青「お母さん…(照)えへへ… おもらししちゃった…」

緋音「なんだかちょっと懐かしいわ。」

未青「そ… そうだね(笑)」

おもらしをしてしまったボクはシャワーを浴びて着替えるのだが、その着替えにはスカートを選んだ。最近お気に入りの赤のチェックのミニスカート。お母さんも和葉さんも、とても可愛いと言ってくれた。


まりあ「お兄ちゃん、男の子の格好でおもらしするの久しぶりじゃない?」

フレイン「ちょっとまりあちゃんそんな恥ずかしいこと言わないの(苦笑)」


もともとボクの家に泊まる前提で今回のスケジュールを組んでいたお母さんと和葉さん。

未青「おやすみ。お母さん。」

緋音「おやすみ。」


しかし次の日の朝。ボクはいつものようにおねしょをしてしまったのだが…


未青「あれ… お母さん…?」

お母さん達は部屋にはもういなかった。しかもそのお母さんが寝ていた布団には、明らかにおねしょをしたとしか思えない"世界地図"らしきものが広がっているのが少し見える。


着替えの下着と服を持って1階に移動するボク。

未青「おはよう。ねえまりあ?お母さん知らない?」

まりあ「あ、お兄ちゃんおはよう。実は…」

まりあはこう続けた。

まりあ「お兄ちゃんのママ… おねしょしちゃったの…」


「お母さんがおねしょをしてしまった」ボクからするととてつもなく信じがたいびっくりな情報だ。しかしボクもおねしょをしてしまったからパンツとパジャマがぐしょぐしょなので、早くシャワーを浴びたい。そう思った矢先…


緋音「あ、未青起きてたの…?」

お母さんがシャワーから出た。

未青「うん… とりあえず、ボクもシャワー浴びたいな。おねしょしちゃったからさ…」

フレイン「いいよ。もう空いてるから。」


ボクはシャワーを浴びて、センセイが用意してくれた女ものの服に着替える。

朝ご飯の後、ボクの部屋にお母さんとボクの2人だけになった。

未青「お母さん… まりあから聞いたんだけど、おねしょしちゃったの?」

緋音「そうなのよ(苦笑)ごめんね。お母さんなのにおねしょなんかしちゃって。」

未青「大丈夫だよ。」

緋音「ありがとう未青。でもお母さん、実はね…」

未青「?」

するとお母さんはこう続けた。

緋音「お母さん、実は未青のお葬式の次の日にも、おねしょしちゃったの。」

未青「そ… そうだったの!?」

緋音「そうなのよ。お父さんもびっくりしてたわ。」

未青「そりゃそうだよね(苦笑)」

緋音「うん(苦笑)でもお母さん、『未青が私の体に乗り移った』って思ってたわ。」

未青「そう思ってたんだ(苦笑)ボク前の世界でも毎日のようにおねしょしちゃってたもんね。今も相変わらずだけど(苦笑)」

緋音「そうそう(笑)一時はだいぶ良くなったんだけどね…」

未青「一時はだいぶ良くなって… でもどうなったの?」

緋音「でもこの世界に転生した日の次の日にも、またおねしょしちゃったんだ。それからしばらくの間、おねしょやおもらししちゃったの。」

未青「そうだったんだ… お母さん?大丈夫?」

緋音「うふふ。和葉さんに相談して病院で診察してもらったら、『転生ストレス性頻尿』って診断されちゃった。」

未青「『転生ストレス性頻尿』… ボクそれ聞いたことある!転生してきた人がそれの精神的ショックや負担のせいでおしっこが近くなっちゃうやつ。」

緋音「もう本当にそれだったのよ。酷い時には全然トイレに行きたくないのに突然パンツにおしっこが出てきちゃうなんてこともあったの。」

未青「言っちゃ悪いけど地味にボクより酷いじゃん…」

緋音「そうかもね。でもそれもあってか、私久しぶりにミニスカート履いちゃった。和葉さんが『万が一のことがあっても被害少なくて済むよ』って言われて。」

未青「そうだったんだ(笑)お母さん前の世界でもたまにミニスカート履いてたもんね。可愛かったな。」

緋音「うふふ。もう本当に今の未青みたいな格好よ。最初はちょっと恥ずかしかったけど、和葉さんが可愛いっていってくれるのもあって、楽しくなっちゃった。」

未青「そうだったんだ。ボクもそんな感じで女装への抵抗今は全然ないよ。」

緋音「そうなのね(笑)未青、こっちの世界では本当に楽しく生きられているのね。嬉しい(笑)」

未青「うん!お母さんもとても楽しそうに生きてると思うよ。」

緋音「あらそう?(笑)」

未青「うん!」


前の世界ではボクの看病とかで大変だったお母さん。そんなお母さんがこの世界でとても楽しく生きられていることが、ボクにはとても嬉しかった。


緋音「じゃあフレインさん、未青のこと、よろしくお願いいたします。」

フレイン「承知いたしました。未青くんのこと、責任を持ってお預かりいたします。」

緋音「未青。フレインさんたちの言う事を聞いて良い子で過ごすのよ。」

未青「うん!お母さんも元気でね!」

緋音「ええ(笑)乙ノ峯おとのみねにも遊びに来てね。」

未青「もちろん!友達も連れて行くよ!」


前の世界で一人残されたお父さんのことを思うと一概には喜べないが、ボクとお母さんが同じ世界で生きていることが、ボクはとても安心した。

ー新しい設定付き登場人物-

瑞林 和葉 (Kazuha=Mizubayashi)

緋音を引き取った癒師にして日本人の転生者。27歳。

北海道の北部のどこかの生まれ。11年前のある冬の日の塾からの帰り道に車のスリップ事故に巻き込まれて命を落とし、フレインたちの世界に転生してきた。享年16。

アスムール民主国の中北部の街「由理布ゆりぬの」に転生したが、3年前に「故郷を思い出す」という理由で、北部の田舎街「乙ノ峯おとのみね」に一人移住した。

性格:明るくて面倒見が良く好奇心旺盛な性格だが、恥ずかしがり屋な一面もある。

得意属性:水・花

身長:約156cm

誕生日:7月1日

好きな食べ物:ポテトチップス・おにぎり

趣味:読書・雪うさぎ作り

特技:卓球・トランプを使った手品

好きなもの:雪うさぎ

苦手なもの:極端な暑さ寒さ・車

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