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UNSUNG  作者: 二宮シン
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紫色の羽

 あれから十日ほど経っただろうか。木刀を使っての修業は、俺が片腕ですべて弾くからとにかく打ち込んでこいということになった。剣を一年しか握っていない割には無駄のない動きができている。しかし対人経験がないからか、隙が生まれることもしばしば見られた。

 それでも十日でずいぶん力をつけている。今までは一発もくらわなかったが、とうとう肩に一撃受けてしまった。

「いっつつ……これならもう大丈夫だな。身のこなしは十分に精錬された。それにお前は悪魔の血を引いてんだから、腕力でも負けねぇ。ぶちのめしてこい」

 肩が痛いが、はじめて剣の稽古をつけられて、そして成長してくれて純粋にうれしい。だが、イルムの顔はどこか暗い。

「やはり、悪魔との子だということはわかってしまうものかな」

 含みのある言い方のイルムは、城内にある稽古場から空を見た。

「父上は、母上が悪魔だと知らずに結婚したと聞いている。しかし私とシトラが産まれて、両方とも悪魔の子に現れる赤目と赤い髪から母上は騙していたと糾弾され、死刑となったのだ。父上は、おそらく私とシトラを愛してはいないだろう。代々純血の人間が受け継いできたクレサの名を、混血の私たちが手に入れてしまったのだから」

 なぜ、世界にはこんなすれ違いが生じるのだろう。目の前に立って空を見ているイルムだって祝福されて産まれてきたはずなのに、その道には困難ばかりが現れる。イルムはこれからも、母親の死と父親との埋まらない溝という十字架を背負って生きていくのだ。

「過去ってもんほど、重たいものはねぇな」

 イルムと同じように空を見上げると、その先には天国が広がっているのかと、ふと思った。見えないだけで、俺の仲間たちやメネス、イルムとシトラの母親も天国から手を振っているのかもしれない。

 まだ逝くわけにはいかないが、すべてが終わったら考えよう。発病しているとはいえ、何百人とレッドアイたちを殺してきてしまったのだから。地獄行きかもしれないが、いつか決める。それまでは、復讐の道を突き進むだけだ。


 二日後の早朝、王であるエーベルと、王子であるイルムの決闘が午後に開催されると決定した。木刀で戦うらしいが、装備品の類はなしということになった。下手をすれば死にかねない親子の決闘を前に、最後の調整をしていた時、食事のときくらいしか見ていなかったアルマがひょっこりと稽古場に現れた。

「そいつはなんだ?」

 長机を軽々と持ち上げたアルマは穴だらけの分厚くその体より大きい布地の袋になにかを詰めて持ってきた。

「これ、全部武器。気に入ったのを使って」

 それどころじゃないと言ったが、イルムは少し休むからいいよと城内に戻って時間をくれた。最後に覚悟を決めようとしているのかもしれない。

「早く、見て」

「わかったわかった、見りゃいいんだろ」

 天才と言われていたらしいが、所詮はガキだ。大したものはないだろうと布袋を開けると、目を疑った。

「これ、全部作ったのか」

 そうだよと言うアルマが嘘をついているとは思えないし、これだけの良質な……いや、最高級品と言っても差し支えない程の剣を作れる者がこの街にいるとも考えられない。騎士団にいた頃に見せてもらった騎士団長の剣にも勝るとも劣らないものばかりだ。そんな代物が雑多に仕舞われている。

「……こいつを売り払えば、しばらくは遊んで暮らせるな」

「そういうふうに使うのなら、壊す」

 言って、布袋の一番下からアルマ本人より持ち手が長細く、刃の部分はそこらの岩より巨大な斧を取り出した。

「これなら一緒に戦える。だから剣を選んで私を旅に連れてって」

 断れば、この最高級品たちを手放す羽目になる。エルメラとの戦いのためにも、これを逃してはいけない。それにアルマ自身もあれだけ巨大な斧を片手で持っている。戦いにおいて役に立つことは火を見るより明らかだ。

「仕方ねぇな……連れてってやるよ」

 布袋から身長に見合う大剣をいくつか選び、一番分厚い刃の大剣を貰うことにした。残りは売っていいかと聞こうとしたが、その前に斧ですべての剣が砕かれた。

「なんてことしやがる!」

 布袋を覗いて確認するも、見事に全部折れていた。

「使われない鉄は工房へかえるべきなの。私はおじいちゃんからそう教わってきた」

「だからって壊すことねぇだろ……」

 この城を出た後の食費が消えちまった。いや、この後の決闘でイルムが勝ってくれれば、報酬くらいなら貰えるかもしれない。

 そっちに賭けるか、なんて思いながら受け取った剣を背中に括り付けると、イルムが城内から息を切らして走ってきた。どうしたと聞こうとしたら、早く逃げろと後ろを指した。その背後には、深く黒いフードを被った奴らが二十人ほど、短剣を手にしてイルムを追っていた。

「なにがあった」

 俺とアルマのところまで来ると、イルムは怒りの表情を浮かべている。事情を聞こうとしたが、二十名のフードを被った奴らは俺とアルマを含めて囲んだ。

「イルム、本当になにがあったのか教えてくれ」

 もう時間がないとイルムは言うが、アルマが肩から下げていた青い鞄からなにかを取り出した。

「時間なら、かせげるよ」

 手にしていた丸い手のひらほどの球をそこら中にまくと、煙幕が辺りを包んだ。

「もって一分くらいだから、急いで」

 これは本当に旅に連れて行こうと決めたが、今は現状の確認が先だ。とにかくイルムを落ち着かせると、もう一度なにがあったのか聞いた。すると、怒りを感じさせる声音で告げた。旧王派が暗殺者を雇ったと。

「なら周りにいる連中は、その暗殺者なんだな」

 その通りだと口にするイルムは、こんなに内部が腐れきっていたのかと悪態をついている。

「なんとかしてここを切り抜けたら、私はこいつらを呼んだ証拠を探して父上に突き付けるつもりだ。なにか私にも武器はないか」

 残念ながらすべて壊されてしまい、今まで不思議に思っていなかったが、稽古場から武器の類が消えている。ここで丸腰のイルムと片腕の俺を殺すつもりだったのだろう。だがそうはいかない。

「ここは俺が引き受ける。お前はアルマを連れて逃げろ」

「待てリージル! 私だって戦える!」

「役割分担だよ! 俺がこいつらをぶちのめすから、お前はこいつらを用意した証拠を探せ! そうすりゃ戦わないで王になれるだろうが! それに武器は全部壊れちまった」

 そう叱咤してやると、イルムは悔しそうに拳を握った後、アルマを連れて行こうとしたが、その手を振りほどいた。

「私も戦う。細かいことは苦手だから一人で行って」

「だから勝手に決めんじゃねぇ!」

「でも、私がいないとイルムさんはここから離れられないよ」

 どういうことだと聞くと、こういうことと、斧を置いてからイルムを持ち上げ、困惑するイルムを山なりに稽古場の出口へほうり投げた。呆気にとられていると、煙は晴れてきた。

「もう一緒に戦うしかない。でしょ?」

「わかったよ、ったく……死ぬんじゃねぇぞ、アルマ」

「大切な名前で呼んでくれてありがとう、リージル」

 抑揚のない声が俺の名を呼んだ瞬間、煙は晴れて、イルムが出口から城内へと走っていっている。暗殺者たちにも見られていない。

「まあ、丁度いい肩慣らしだ」

 引き抜いた剣は分厚い分重たかったが、それくらいが丁度よかった。

「イルムは、どこだ」

「俺たちに勝ったら教えてやる、お互いに人殺し同士楽しくいこうぜ」

 暗殺者たちにそう言ってやると、たまには体を思いっきり動かすかと決意し、片腕で貫くように暗殺者たちへ突撃した。流石に単調な攻撃は当たらなかったが、そのまま振り返りながら剣を水平に振ると、五人の首が飛んだ。

「正当防衛だ、許せよな」

 残っている暗殺者たちはいったん距離を置いたが、そこへアルマの斧が飛んでいった。予測不可能の事態に三人が斧の餌食になり事切れた。よく見ると鉄線のような物が斧の持ち手についており、アルマの手に繋がっている。それを思いっきり引くと、斧は宙を舞ってアルマのところへ戻った。

「あと十二人」

 ガキだというのに、人殺しに対して微塵も躊躇していない。ある意味一番恐ろしい存在かもしれない。だがこれで勝てないと悟ったのか、暗殺者たちは城内へと逃げていく。

「その剣にもついてるよ、この鉄線」

「そいつは便利だな!」

 二人して得物を投げつけると、見事に暗殺者たちが斬り刻まれていく。命こそ失ってはいないが、動ける者はいなかった。その中から比較的軽症な暗殺者を掴みあげると、証拠として肩に担ぐ。後はイルムが上手くやってくれているか次第だ。


 城内は騒然としていた。シトラを守るエドワードを中心とした騎士たちと、シトラを狙いに来たのであろう暗殺者たち。

「手伝うか?」

 離れたところからエドワードに言ってやると、邪魔だから失せろと跳ね除けられた。

「嫌われてる」

「俺だって嫌いだよ」

 そうして暗殺者を柱に縛り付けてから城内を駆けまわっていると、なにか書類を抱えたイルムが暗殺者に追われていた。また剣を投げて串刺しにしてやると、助かったよと肩で息をしながらイルムは書類を見せてくれた。

「この城の執政が暗殺者集団へ送った手紙と帰って来た物の写しを手に入れた。後は父上を説得するだけだ」

「そのまま王位も頂いてもいいんじゃねぇのか?」

「そう上手くいくといいんだけどね」

 とにかく三人で国王エーベルを探した。自室にも謁見の間にもいなかったエーベルは、城の最上階にある街を一望できる広間のでっぱりで佇んでいた。奥行きの広い部屋の最奥で、街を見下ろしてこちらを見ないエーベルへ、イルムは俺たちを手で制して一人で向かっていった。

「父上、旧王派による暗殺計画の全貌がつかめました。残念なことに、そこには父上の署名もありました。このままでは王家はガタガタになり、体裁を保てなくなります」

 なにも言い返さないエーベルを不審に思いながらも、今はイルムに任せることにした。「早急に退位していただけませんと、民の生活にも影響が出ます。決断をお願いします」

 ようやく深いため息を付いて反応したエーベルだが、まだ振り返らずにでっぱりからクレサではなく空を見ている。

「決断か……」

 ここに来てようやく言葉を発したエーベルは振り返り、イルムを睨み付ける。

「お前たちが産まれてきたせいで、妻を失った。そしてそのお前が、この私から王位まで奪おうとしている」

「奪うのではありません。譲渡していただけなければ街が危ういから譲ってくださいと言っているのです」

「そんな雑事はどうでもいいではないか」

「雑事、ですと?」

 途端にイルムは手にしていた書類の束を捨ててエーベルに詰め寄った。

「民が重税で苦しみ、一部の権力者たちのみが愉悦に浸っているこの街の状況が更に悪くなるというのに、雑事と切り捨てるのですか!」

 激しい怒りがエーベルへと向けられるが、知ったことかと吐き捨てられた。

「私はあのお方と新しい世界を作るために、国を動かしてきた。ジッグラトの建造もそうだ。それに比べれば、民の生活など雑事に等しい」

 あのお方と、ジッグラト……? まさか……。

 その瞬間、エーベルの背後に影が見えた。翼を生やして飛んでいる影と、城内へと舞い落ちてきた紫色の羽……。

それを見た刹那に、右目と左腕が激しく反応した。目は焼けるように熱く、腕は紫色の光を放って疼いている。

「まさか!」

 イルムもエーベルも関係ない。俺は今、この感覚を信じて長細い部屋を駆け抜け、イルムとエーベルを退かすと、でっぱりの先に奴はいた。紫色の翼で浮遊し、その手に紫色の水晶を手にして。

「見つけた!」

 赤い髪と紫紺の瞳。エルメラだ。遂に見つけた。仇をうつ時が来た!

微塵の躊躇もなく、一片の後悔もなく剣で斬り込んだ。だが、その手にしていた水晶が浮かび上がり剣の一撃を受け止めた。

「おいおい、今はそこにいる王様と話しているのだよ。どこの誰だか知らないが、邪魔しないでくれないかな」

 余裕を絵にかいたような表情のエルメラの言葉など入ってこない。ずっと溜めていた怒りが、復讐心が、まるで火薬の塊にマッチを一本落としたように燃え上がっているのだ。

「バラバラにしてやる! メネスの――みんなの仇!」

 一心不乱に斬りつけるが、すべての斬撃を手にしていた水晶が弾く。

「面白いだろ? これは黒水晶っていう……ああ、君のこと思い出したよ。たしか魔王と戦っていた一人じゃないか。殺したと思っていたけど、人間と言うのは本当にしぶといねぇ。でも、あそこにいたのなら、私の力もこの水晶も知っているだろう?」

 魔王が用いた攻撃にも防御にも対応できる、魔力と呼ばれる悪魔たちが持っているエネルギーの塊である黒水晶。魔王との戦いでは囲んで仕掛けたから大して邪魔にならなかったが、一対一では攻撃が通らない。

 あれを使うしかない。たとえどうなっても構うものかと左腕に手を伸ばそうとしたとき、背後にいたエーベルが俺に襲い掛かってきた。

「邪魔すんじゃねぇ!」

 加減なく蹴り飛ばしてやったが、どうにも様子がおかしい。痛みを訴えるわけでもなく悲しそうに笑っている。

「君の相手をしている時間はないから、残りは用済みになった王様に任せるよ」

 舌打ちしつつ振り返り、飛んでいくエルメラへ剣を投げるが届かなかった。

「クソッ!」

 ひびが入るほど強く壁を殴って抑えきれない怒りを沈めようとしているが、この炎はそう簡単には消えない。せめてなにを話していたのかを問いただすためにエーベルを掴みにいったとき、紫色の光がエーベルを包み込んでいた。しかしそんなことは関係なく、首元を掴んで怒声を浴びせた。

「なにを話していた! なにを聞いた! 答えろ!」

 俺の様子がおかしいことに気づいたイルムはなだめようとしてくるが、その手を振り払って答えろと叫ぶ。しかし、エーベルは悲しみの涙を流した。

「なぜ、あれだけ忠実に使えていたのに、用済みなどと……エルメラ様」

 質問に答えろと揺さぶるも、紫色の光が収まるにつれ、エーベルは泣きながら黒い瞳が赤く染まっていく。

「こいつは、赤目の病? まだジックラトは完成していないのに、なぜ!」

「すべては、エルメラ様の力によるもの……私も駒にすぎなかった……チェスのポーンにも満たない駒だったのだ……それでも、最後にレッドアイにしていただけた」

 それを最後に、エーベルは嗚咽を吐き出して体がけいれんを始めた。今まで見てきた限りでは、この段階までいくと正気を失う。しかし今なんと言った? 赤目にしていただけただと? ということは、やはり赤目の病を発病させているのは、エルメラだということか。

 そう考えた次の瞬間には、エーベルが暴れ出した。いったん離れた俺とイルムだったが、イルムは懇願するように俺を見た。

「赤目を追っているんだろう? なんとか元に戻す方法はないのか!」

 俺はなにも言えずに首を振った。イルムは力なく崩れ落ちたが、すぐにその瞳には覚悟が宿った。

「リージル、その剣を貸してはくれないか」

 エルメラへ投げた後に回収した剣でなにをするのか。その目を見ればわかった。

「好きにしろ」

 エルメラを逃したことの怒りがおさまらないので投げ渡した。

「あの悪魔を殺すのが、旅の目的?」

 見上げてくるアルマになんとか怒りを堪えてそうだよと乱暴に言うと、顔はしっかり覚えたと口にした。

 一方、イルムは部屋の中で見境なく窓を割ったりカーペットを破ったりしているエーベルへ、涙を零しながら歩み寄っていく。

「父上は、ずっと強い男しか認めてくれなかった。私も認めていただければ、こうならずにすんだかもしれないというのに……

 暴れてイルムへ襲い掛かったエーベルへ、イルムは剣を振り上げた。

「さようなら、父さん」

 一閃が日の光を受け輝いて見えた。その後に転がり落ちたエーベルの頭に、数滴の涙が零れ落ち、イルムはただ虚空へ叫んだ。


 数日後、イルムが手に入れた書類の束とエーベルの死によって、腐敗していたクレサを取り仕切る偉い輩がほとんどは出て行くように命令され、純粋な若者たちがその後を継いだ。もともと問題になっていた重税や権力者への優遇はなくなり、称賛の声と非難の声が鳴りやまない中、イルムへニオが話したジックラトや赤目についてわかっていることを伝えた。そのうえで捜索隊を組織することと、ジッグラトの建設も中止してくれると約束してくれた。

「我が友リージル、あの空を飛んでいた悪魔がエルメラという奴で間違いはないんだな」

「そうだ。だが決して殺すなよ。もう一度言うが、俺が殺さなきゃ意味がねぇからな」

「……お互い、報われない星に生まれたのかもな」

 なにも帰ってこない復讐に取りつかれた俺と、親を殺しても非難の声を浴びるイルム。言われてみればよく似ている。

「聞いた話だと、他の街でも赤目らしき者を捕えるようになってきたらしい。私の方でも各王族へ手紙は出すが、そう簡単に上手くいく問題じゃない。だから、これを持って行ってくれ」

 受け取ったのは、黒い眼帯と大人が着るほど大きなローブだ。前者は俺の右目へ、後者はアルマに渡された。落ち着くまでは付けていた方がよいだろう。

「それから参考になるかわからないけれど、エルメラの飛び立った先にある街を纏めておいた。それとこれも受け取ってくれ。友への選別だ」

 書類の束と鞄、返り血が気にならない赤く生地の厚い新品のロングコートとそれから手のひらほどの布袋に金貨が詰まっていた。

「すまない、助かる」

「いや、いいんだ――君たちが次に来るまでには、落ち着いた街にしてみせるよ」

 そこにはしっかりと民を導こうとする王の姿があった。まだすべてを救うことはできなくても、新しい街を作り出せるような心意気が漂っている。

「で、結局お前も来るんだな」

 傍らに控えているアルマを見ると、うなずいている。

「好奇心を満たしたいから」

「もっと子供らしい言葉使えっての」

「だったら……社会を勉強したいから?」

「自分の言葉の答えくらい用意しておけよ」

 コクリとしたアルマへ渡された紫色のローブはぶかぶかだったが、おかげで顔が隠せる。それにバベルの教会の信徒が着る物なので、ローブを引っぺがされることはないだろう。

「それじゃ、俺たちは行くからな。次会ったときは祝杯を挙げるぞ」

「そのためにも、死なないでくれ」

 人間そう簡単には死なない。それだけ言い残すと眼帯をつけてみる。なれるまで時間がかかりそうだが、前にも新しいことになれる経験があるから、それを生かそう。

 とにかく、不正に侵入した街での騒動は終わり、旅の仲間と剣、それから金も手に入れた。後は追いかけ見つけだし殺す――それだけだ。

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