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掌編小説達  作者: 青い山
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30/33

姉弟ラブコメは開幕しません

お題は一心同体アンド冷凍!

 模試というものは、どうしてこうも無慈悲なのだろうか?

 机の上で絶望しながら、俺はそんなことを考えていた。


「お疲れ様……って言いたいけど。秀典、あんた大丈夫?」

「沙織。俺は無事だ。しかし模試は無事ではない」

「そんなの見れば分かるよ……」


 話しかけてきたのは、幼馴染の出雲沙織だ。

 女子の幼馴染とか、もうラブコメやんとよく言われるが、別に俺たちはそういう関係ではない。

 なんというか、姉弟みたいな関係に近い。


「今日の弁当は冷食で我慢してね。昨日は夜遅くまで勉強してたんだ」

「うぅ……。別に冷食でも気にしないのに……」

「私が気にするんだよ。さ、食べよ」


 俺は、友人の机君から離れ、背筋を伸ばして座る。

 そして、箸を持って、手を合わせる。


「「いただきます」」


 今どき、律儀にいただきますという人は減ってきているが、俺はこれがないと食べていいのか心配になってしまう。背筋を正すのも、それが理由だ。


「これ本当に冷食か?」

「その唐揚げはレンチンじゃなくて揚げたんだよ。冷食でも、少しはマシになるからね」

「そんな手間がかかってるなんて……!」


 さすが姉貴!俺は、心の中で沙織に敬意を表するのだった。


「で、模試はどうだったんだ?」

「それは聞かないという約束では?」

「そんな約束をした覚えはないね」

「では一言だけで。顔面蒼白」

「聞く限り、最悪と受け取るよ」


 そう、最悪だったのだ!数学は半分も埋まらんわ、国語は漢字全部ミスるわで散々な目にあった!

 ……これは最悪以上の最悪だな!


「沙織の姉貴はどうだった?」

「私は以外とできたのよ。自己採だと八割くらいかな……」

「凄すぎだろ……」


 あの模試で八割とか、学年一位だろこれ。

 改めて、沙織の姉貴の凄さを実感するのだった。


「出雲姉弟の弁当は華やかでいいですな」

「おわっ!恭子!びっくりするじゃない!」

「もうもう、そう怒らないで」


 頭上からのっそりと声をかけてきたのは、沙織の友人の漆原恭子だ。

 ミステリアスな雰囲気が漂っており、神出鬼没だ。


「で?これで冷食しか使ってないって、ほんと、沙織の料理の上手さはどうかしてるよ」

「ちょっと、さらりと盗まないで……」

「「おい、箸食べ物を刺すな!」」

「ええ!?」


 恭子が驚いたような表情をするが、さっきのは怒られて当然のことだ。

 箸はあくまで掴むための道具であって、断じて刺すためのものではない。その使い方を誤るのは、箸への冒涜なのだ。


「ごめんごめん。怒られたのと、二人の一心同体っぷりに驚いちゃったよ」

「さっきのは誰でも怒ると思うけど……」

「箸で食べ物を刺したから怒る人は、現代ではレアな人種だよ。出雲姉弟は変わってるな」

「「くっ……!さっきから姉弟姉弟言ってるけど、姉弟じゃない!」」

「またでた!」

「「愉しむな!」」


 全く、どれほど俺たちをからかったら気が済むんだか……。


「刺すのはやめるよ……。唐揚げもらうね」

「ちょっと、許可してないんだけど……」

「「あっ!ねじれ箸!」」

「絶対狙ってるよね!?」


 恭子が目を大きく開けてそう叫ぶが、そんなことは関係ない。

 掴んだ唐揚げが、箸からスルリと抜けてしまったのだ。

 こういうことが起きるから、ねじれ箸は駄目なんだ。


「「間に合え……!」」


 よし!なんとか掴んだ……。


「「あっ」」


 手が。沙織の手が俺の手を掴んでいた。

 当然だ。二人で同じものを掴もうとしていたのだから。


「「ああっと、えーと……」」

「あんたら……。胸キュンシーンまでシンクロするな――!」


 その日、確かに出雲姉弟?の関係は進化した。

書き上げ時間27分。本文25分。推敲2分。

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― 新着の感想 ―
お疲れ様。 全く関係ないが京都に行ったら中村忠三郎商店個々行ったほうが良いと思うぜ(≧∇≦)b 絹製品系、特に寝具がオススメ。 枕カバーにヘッドキャップ、アイマスク、マスクとかねぇ〜。
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