強制的幼馴染充電方法
お題は土下座アンドバッテリー!
夏休みが明け、季節は秋へと移り変わる。
長い休みのあとは長い学期が始まる――そんな憂鬱な気持ちで始まった二学期も、とうとう折り返し地点だ。
「中間試験終わったな」
「ああ、終わったぜ……」
「それはどちらの意味で受け取れば?」
「片方に決まってんだろ!これから、居残り、再試、居残りだぞ!?これで中間が終わったといえるか!?」
「聞いたことを後悔します……」
本当に軽い気持ちで聞いたのに、まじの気持ちをぶつけられてしまった。
これ以降は、この話題に触れないと誓おう。
「試験終わったし、飯食いに行くか?」
「お前って以外と人の話を聞かないタイプの人間だったりする?」
「結構当てはまるという認識が正しい」
しまった。誓ったそばからこれだ。
わざとではないんだけどな……。
「まあ、どっか食べには行きたいよな……。俺の身体のバッテリー補充のためにもここは無難にガストとか?」
「人少ないそうだし、いいんじゃないか?てか、バッテリーって食べたら回復するの?」
「そこは気にするな。確かに、人少なそうだな。それだったら勉強捗りそうだ……。お前、狙ってる?」
「裏を読みすぎだ。そんな考えてないよ」
妙に鋭い相田を刺激しないように、俺たちはガストへ向かった。
「何頼む?」
「そうだな……。あれ、なんかメニュー増えてね?マグロ丼なんてあった?」
「意外と昔からいるだろ」
「ガストガチ勢えぐ」
「そっちはサイゼガチ勢だろ」
多少の紆余曲折がありながらも、俺はハンバーグセット、相田はハンバーグセットライス大盛に単品マグロ丼を頼むで落ち着いた。
こいつのバッテリー燃費悪いな。
「今日の社会終わった……。最終日に暗記系持ってくるのは普通に悪意あるだろ……」
「問題週三周すれば自ずと覚えるだろ」
「黙れよ真面目!俺はゲームとかアニメとかで忙しかったんだよ!三周もする暇なんてねーよ!」
「それお前が悪いだけじゃん。俺に怒っても結果は変わらな……」
「そんなの分かってんだよ!ドリンク取ってこい!カルピスな!」
この流れでカルピス取ってこいは笑わせにきてるだろ、と言いかけるがなんとか心の内に留める。
俺は素直にドリンクコーナーへ向かう。
えーと、カルピスだよな?
「人気のドリンクで選らんで、三番目だったはず……あれ、二番目になってる」
こんな呟きをするのは大分末期だと自嘲しつつ、俺はカルピスを入れる。
因みに俺は水だ。
こぼさないように慎重に運ぶ。
――そのせいで、周りが見えていなかった。
「いて!」
横腹を机の角にぶつけてしまった。
そのせいでバランスを崩す。
「おいおいどうした――!?」
相田の悲鳴が聞こえたときにはもう手遅れだった。
カルピスと水が相田に全てかかってしまったのだ。
「「――――」」
気まずい空白が生まれる。
何度も互いの視線が交錯する。
「わざと?」
「断じて否」
「故意的か?」
「断じて否」
「土下座だな」
「断じて……」
「否。とは言わせない。問答無用だ。土下座」
目がガチだった。
しかし、こっちだってわざとではないのだ。
こぼさないようにしていたら、こうなってしまったのだ。
「土下座しろよ!」
「ちょっと待ってろ。今探しものが……あった。これだ」
「なんだそれ?」
「ん?電池。お前バッテリー切れてるって言ってたろ?だからお前の身体にぶっ刺してやるよ」
「ちょいちょい待て待て……。それ死ぬパターン。オーケー?」
「ノットオーケーだ。俺は決めたことは変えない主義なんだ!」
「うわー!参った参った!」
腕を振り上げ、電池が相田の身体に刺さる寸前――そこで、腕の振りを止める。
「ばーか。電池で感電するわけないだろ。今回の理科、電流だっただろ?もう忘れたのか?」
「……!お前ー!」
そうして、騒がしいまま二学期を折り返したのだった。
書き上げた時間31分。本文27分。推敲4分。




