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掌編小説達  作者: 青い山
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23/27

豚に真珠ならぬ人間に情報

お題はネットワーク!

「おはよう多田!聞いたか!?夏祭りのとき、松井が花川さんに告ったらしいぜ!」

「あーそれな。知ってる知ってる。たしかオーケーされたんだっけ?」

「そう!知ってんだな!じゃあ、倉林が海で海月に刺されたことは!?」

「待て待て、まず倉林って誰だ?」

「ん?ああ!そっか、倉林って三組か!」


 新学期が始まり、最初にした会話がこれだ。

 話しかけてきたのは梶亮輔。小学校時代からの付き合いだ。

 

「どうして三組の情報をお前が知ってるんだ?」

「ネットワークってやつだよ」

「現代っ子の鑑か」

「そうか?別に珍しいことでもないだろ?あ、じゃあこれは知ってるか!?北野さん、今年家族で北海道行ったらしぞ!」

「知らない。もしかしてそれもそのネットワークから?」

「イエス」

「すげーな。そんなのも手に入るのか」


 俺は、高校生だからって情報網を舐めちゃいけないんだなーと思いながら聞いていた。

 

「いやーそれで江島がさ……」

「そういえば今日って食堂やってないんだよな?」

「そうだな。昼どうする?」

「うーん……。ファミレスでいいんじゃね?家帰ったら結構遅くなりそうだし」

「あー……そういば今日用事あんだった。あと金欠。ごめん」

「そうなのか?じゃ適当に買ってくか」


 その後、全校集会が行われた。

 無駄に長い校長の話は、学期始めはとくに長い。

 四十五分しっかり寝て、それから課題集めやなにやらで、結局学校を後にしたのは午後一時すぎだった。




「コンビニでいいよな……」


 財布の中身と相談した結果、今日の昼はコンビニのおにぎりに決定した。

 俺は財布から十円玉十五枚を取り出す。

 店員にむっちゃ睨まれたが、無視した。


 そのままイートインスペースに直行しようと思った、その時。

 見慣れたシルエットが視界に映り込む。

 そう、梶だ。


「あいつの家こっち方面じゃないよな……」


 気になったので、静かに後をつけていく。

 梶はやたらと周りを気にしていた。

 

「……路地?」


 そう呟いたのは知らない路地を見かけたからではない。

 梶が路地に入っていったからだ。


「あいつ、何してんだ?」


 少し考えてから、そっと路地をのぞく。

 すると――


「梶さん、今回の情報はかなりレアですぜ……」

「そうか。まあいい。で、何円だ?」

「これでどうです?」

「……万いくか」

「へへへ。それくらい希少なんですぜ……」

「分かった。聞こう」


 ……おいおいどうなってるんだ。

 梶は知らない男と話していた。用事ってこれ?

 それにしてもあいつ、金欠とか嘘じゃんか。金あるやん。しかも一万!


「多田って知ってますか?」

「多田……ああ知ってる。俺のダチだ」

「……!そうなんですね……。実は多田には妹がいるらしく……」

「そうなのか!?そんなの聞いたことないぞ!」

「ええ。だからレアと言ったんですぜ……」

「続きはあるのか?」

「はい。どうやら異母兄妹でして……。二人は禁断の恋を……」


 ……なんだこれ?

 俺に妹?禁断の恋?ねーよ、そんな物語展開!出鱈目じゃねーか!

 おいおい、ネットワークってこのことか?じゃあ、もしかして他の情報とかも全部デマなんじゃねーか?


「ありがとう。明日からかってみるさ」

「へい。お役に立てて嬉しいです。でなんですけど……以後お会いするのが難しくなりそうでして……」

「そうなのか。まあいいさ。これまでの働きで十分だった」

「あいがとうございます」


 そう言うと、男は路地の深くへ梶は出口へ歩きだした。

 なるほど。出鱈目言ったから、その責任追及から逃れるためにこれが最後ってか……。

 見事に騙されたな。てかなんで知らない男が俺の情報知ってんの?


 謎は尽きないが、ひとまず路地から出てきた梶に声をかける。


「よう梶」

「……!た、多田!?お前どうしてこんなとこに……」

「俺に妹いないぜ」

「…………は?」


 その呆けた顔がどんな情報よりも価値があると思えた。

書き上げた時間42分。本文37分。推敲5分。

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― 新着の感想 ―
 俺は財布から十円玉十五枚を取り出す。  店員にむっちゃ睨まれたが、無視した。 この文が最高ですねw これ共感呼びますし、日常感を強く感じれていい。 この描写は天才(≧∇≦)b
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