恨みはコーラに託して
お題は裸足!
「ぐああああぁっ!あああぁ……!」
――痛み、それが全身を駆け巡る。
声を上げ、喘ぎ、痛みを少しでも和らげようとする。
しかし――
「やめ……ああああぁ!」
相手はそんなこと気にせず、攻撃の手を緩めない。
まずい、これはまずい。
どうしてこんなことになった?
何が起こっている?
時は、三分ほど前に遡る。
そうだ、さっきまで勉強していたんだ。
黙々と、ただ黙々と。終わらない夏季課題に向き合っていたじゃないか。
「だめだ!終わらん!一旦休憩するっていうのはどうだ!?名案じゃないか!」
「お前、まだ青チャ一周しかやってないんだろ?課題やべんじゃーねーの?休憩なんてしてたら……」
「気にすんなって!そんなの明日か明後日の俺がどうにかしてくれるって!」
桐生が自分で盛大なフラグを立てていたのを覚えている。
それを、苦笑しながら相槌を打っていた。
平和だった。よくある夏休みの終わりの風景だった。
その時までは。
「はい、勉強中断!ずっとやってても頭には入ってきません!適度に休憩をいれてこそ、賢い勉強法でしょ!」
「……分かった、分かった。ちょっと休憩しよう」
「よし!じゃあ、休憩を豪華にするための勝負をしようではないか!」
「お前、絶対前々から用意してたな?俺が乗らなかったらどうするつもりだったんだ?」
「大丈夫!俺はお前を信じていた!さ、じゃあ一つ目冷えたジュース!ほしい!?」
「ほしいな」
この時はまだこの掛け合いの先に、痛みなんてあると思っていなかった。
そう、用意していたという事実に気付いていたのに、裏を見抜けなかった。
「じゃあ、じゃんけんで勝負しようじゃないか!勝ったらコーラ、負けたら水道水!最初はグーじゃんけんポン!」
桐生がグー、俺がパーだった。
「うわ負けか!コーラとられた!ま、気を取り直して次!かき氷!ほしい!?」
「知覚過敏だから遠慮しとく。あと、この時間に食べるのはきつい」
「オーケー。じゃあ、最後は……言いません!しかし、後悔させないと誓おう!さあ、どうする!?」
「そうだな……。それって食べ物か?」
「いいや違う」
ここで、踏みとどまっていれば惨劇には繋がらなかったはずなのに。
戻って伝えたい。
やめろと。絶対にほしいと言うなと。
「ま、ここは受けるか。なんだ?罰ゲーム的なやつか?」
「……そうです!罰ゲームです!では、この目隠しを!」
「は?何する気だ……」
そこからが、地獄の始まりだった。
まず視界を奪われた。
そのあと――
「ぐああああぁっ!あああぁ……!」
――痛み、それが全身を駆け巡る。
声を上げ、喘ぎ、痛みを少しでも和らげようとする。
しかし――
「やめ……ああああぁ!」
相手はそんなこと気にせず、攻撃の手を緩めない。
まずい、これはまずい。
どうしてこんなことになった?
何が起こっている?
「ぐはは!罰ゲーム、足つぼだ!」
「痛い痛い!てめー、ふざけんな!」
目隠しを強引にはずし、まだ痛みが残る足で立ち上がる。
「ああ、勘弁勘弁!」
「コーラどこにある?」
「へ?冷蔵庫の中だけど……」
「分かった。取ってくる」
そう言って、桐生の部屋を出る。
家に誰もいないと言っていたので、安心して探索できる。
冷蔵庫を開け、コーラを取り出し、あれを探す。
「あるか?あいつ、好きって言ってたよな……お、あった」
それとコーラを持って、再び桐生の部屋に戻った。
「お、戻ってきた。俺が取りに行ったのに……って、お前!?おい、それはねーだろ――!」
「ハハハ!俺の恨みは深いぞ!」
俺は、桐生にコーラの飲み口を向けていた。
振ったわけじゃない、メントスを入れたのだ。
そう、探していたのはメントスだ。
桐生にかけるついでに、部屋も汚しておいた。
まさに一石二鳥だ。
「くー……俺が愚かだった」
「お前にもやってやろうか?足つぼ?」
「お前の悲鳴聞いたら申し訳なくなった。すまん……」
こうして、夏休み史上一番騒がしい休憩時間が終わった。
書き上げた時間35分。本文34分。推敲1分。




