その掛け合い待ったあり
お題は水掛け論!
俺は本気で悩んでいた。
どうしてこんなことになったのかと。
「お前が俺がオタクだってバラしたんだろ!」
見に覚えのない罪を言いつけられた。
というより――、
「お前そんなことで怒るの?」
なんでそんなことで怒るのかと?
「というのが、今日あった出来事だ。どうすればいいと思う?」
「お兄様は気負いすぎなんですよ。お友達同士の喧嘩なんて高校生によくあることですよ」
「あのな、確かに沙也加の言うことはもっともだ。でも、男にはいえないような事情があってだな……」
「なるほど、甲斐性ってやつですね」
「ちょっと違うんだな……」
妹の沙也加は少し心配性がすぎる。
まあ、そこが頼れるところでもあるんだけどな。
「思い出しました!こういうのって、水掛け論って言うんですよ!」
「そうなのか。水掛け論……。それって、どういうこと?」
「子供が水を掛け合うみたいに……っていうことです!」
「ほえー。つまり俺は子供ってことか……」
「人間、大人の振りをするのが一番得意ですから!」
なるほど、水掛け論か。
確かに、俺が水野をオタクって言いふらしてないいいふらしたで水掛け合ってるな。
「つまり、俺は何をすれば?」
「つまり、認めるんです!」
「認める?」
「そう、水の掛け合いは、どちらかが水を掛けるのをやめなければ終わりません……。つまり、お兄様がオタクであることをいいふらしたと認めるんです」
「なるほど、なるほど……。それは決断し難いことだ……」
「そう!それが水掛け論の難しいところなのです!」
どちらかが認めなければいけない……。
なら、俺は……。
翌日の放課後、俺は水野を校舎裏に呼び出した。
「どうしたんだ?俺に告白でもするつもりか?」
「黙れ、そんなことするわけねーだろ!それよりこれ見ろ!」
俺は慣れた手付きでスマホを操作し、とある画面を見せる。
「どうだ、これが証拠だ!俺がオタクって言いふらしてないことのな!」
「なっ!これをどこで!?」
「当たり前だ!自分で見つけたに決まってるだろう!」
「俺は確かに消したはずじゃ……!」
俺が見せているのは、ライブラリ。
そこに映っているのは……
「許してくれ……誤送信だったんだ!間違えてクラスラインに送ってしまったんだ!」
「てめー、俺がやってないって最初から分かってたんじゃないのか!?」
「お前ならこの水の掛け合いを終わらせてくれると思ったのに……」
そう、こいつがオタ友に送ったのであろう恥ずかしい言葉の数々だ。
すぐさま消されたが、そこは妹に頼んだらなんか復活させてくれた。
「黙れ、自分が認めたくないなら、相手を認めさせればいいんだよ」
水の掛け合い、これにて終了。
書き上げた時間37分。本文35分。推敲2分。




