↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掌編小説達  作者: 青い山
PR
18/24

あまりにも軽すぎて

お題は自白!

 昼休みの購買は、まさに戦々恐々とした雰囲気に包まれている。

 人間がひしめき合っており、我先にとご飯を買おうとしている――。

 

 これが、うちの学校の購買の紹介文である。

 受験生たちがこの文みたら、絶対入りたくなくなるだろ。

 まあ、俺みたいな逆に気になるタイプの人間を集めるには丁度いいが。

 ……いらないだろ、そんな逆張り野郎共なんて。


 しかし、紹介文もあながち間違っていない。

 戦々恐々とはしていないが、確かに人間がひしめき合ってる。

 遠巻きに眺めているだけではご飯を手に入れることはできないので、仕方なく俺はその戦いの中に加わる。


 すると、その中に珍しい人影を見つける。


「よう、風間。お前、弁当じゃないのか?」

「うわっ!……なんだ、保坂か」

「なんだとは、中々失礼だな。どうしたんだ?そんなに驚いて?」

「いや。ただ、お前もこの高校にいたんだなと思って」

「随分前に報告した気がするが……」


 風間は俺の中学時代からの友達で、腐れ縁候補だ。

 風間も逆張りタイプで馬が合うので、なにかと行動を共にすることがおおい。

 こういう意味不明なことを言うときは、大体ぽけーっとしている。


「購買、初めてか?」

「ああ。やべーな。戦々恐々というよりは阿鼻叫喚の方が適当かもしれない」

「そうだな」


 購買デビューが今日とは、風間は運が悪いな。

 今日は水曜日。購買の商品の中でダントツ人気のメロンパンが販売される日なのだ。

 だから、いつもより購買に群がる人間は多い。


「風間、こんなとこいちゃ買えないぜ?もうちょいグイグイいかないと」

「いやいいよここで。今日は何かを買いにきたわけじゃないんだ」

「……?そうなのか。ならいいけど」

「ああ、お前は昼ご飯買うんだろ?販売カレンダー見たら、今日は焼きそばパンが売られる日らしいぜ」

「……そうだな。そうする」


 風間は、目が泳いでいた。

 なにか後ろ暗いことでも抱えているのだろうか?

 俺は、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。


 その日、やはり購買はメロンパンが売られていた。

 しかし、カレンダーには焼きそばパンが販売されると書かれていた。


 


「保坂」


 そう声をかけられたのは、翌日の放課後のことだった。

 声を聞いた時点で、風間だなと分かった。


「風間、どうした?」

「いや、実はだな……お前に言わなくちゃいけないことがあるんだ」

「告白なら粗雑にお断りだぞ?」

「せめて丁重にお願い……。いや、そんなことじゃないんだ。なんていうんだろう。……罪の自白だな」


 声のトーンが、下がる。

 俺の軽口を流したときも、目が笑っていなかった。加えて、そんな言葉だ。

 罪。それは本当のことなのかもしれない。


「昨日の購買でのことなんだけど……」

「――――」


 俺は無言で、続けろという意思を伝える。

 風間はそれに小さく頷く。


「実は……」


 スリ、万引き、盗撮。

 そんな言葉が続くと思っていた。

 でも、風間が発したのは俺の想像とは全く違うものだった。


「昨日、メロンパンが売られる日だったのに、焼きそばパンが売られる日だって言っちゃてた!ごめん」

「……は?」

「俺、カレンダー見間違ってた!まじでごめん」


 それだけ?それだけでそんなに罪の意識を感じるものか?

 ていうか、カレンダーにも焼きそばパンって書いてあったし、間違ってるのはお前じゃなくて購買の人だぞ。

 俺は、度肝を抜かれ、数秒間その場で口をパクパクさせていたが、平静さを取り戻す。


「罪というのは、デマを伝えたことか?」

「そうだ。お前には、変な期待をさせてしまった。すまん」

「いやいや、俺の購買歴を舐めんなよ?趣味が購買鑑賞の俺はそんなこと分かってたからな」

「おうそうなのか。気持ち悪いな」

「お前も一回やってみろよ、購買鑑賞!案外楽しいぞ!」

「いや遠慮しとく。俺まで変態だと思われてたらたまったもんじゃない」

「俺は変態認定されてねーよ!」


 拍子抜けするくらい、あっさりとした自白だった。

 いやーよかった。

 片棒をかつぐくらいの覚悟はしてたからな。でもすぐ裏切っただろうな。


「言いたいのはそれだけか?」

「ああ。引き留めて悪かった」

「気にしてねーよ。じゃあまた明日」

「ああ、じゃあな」


 


 それ以降、風間は学校に顔を見せなくなった。いや、見せられなくなった。

 風間は許されないことをしたのだ。

 



 そう、購買の販売カレンダーを書き換えていたのだ。

書き上げた時間38分。本文33分。推敲5分。

前回のクイズの答えは、陽キャが木梨を笑っているところで気付いた、です!

簡単だったと思うので、次は難しくできるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
風間くん?? 自白してなくね?(笑) 自白に虚実が混じってると思う(笑) かれんだー書換はヤバいですね〜 でも常連ならカレンダーを記憶してて、あれ?ってなってそう。(主人公みたいに)  その日、やは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。