ディアボロスとベリアル
翌日
早速美琴は業務に従事することとなった。最初は書類整理や配達などの簡単な作業だったが徐々に慣れていった。
そして今日もまた新しい任務を与えられたのだった。まあ、ただのお使いなのだが。
「閻魔大王様!羅夢さんからの書類預かって来ました!」と笑顔で渡す美琴。
「おお、ご苦労様。あのじゃじゃ馬の所でよく働いてくれてるね。この調子で頑張ってくれ」
と褒められると嬉しそうな顔をして頭を下げる美琴。
「はい、ありがとうございます!」と元気よく答えると部屋を出て行った。
それを見送ると氷雨が口を開いた。
「それにしても……あの子は本当に懸命に働いているようですね……」
「ああ、そうだな。だが……彼女は罪人ではないからな……いつまで勤められるかな?」
と言うと氷雨は寂しそうな顔をして俯いた。
「そうですね……もし生き返ったらまた地獄に来てもらいたいものですが……」と言った。
「まあ、そうだな……、この地獄で唯一癒される存在だしな」
「まさに地獄に仏ですね」
「ハハッ!面白い表現だな!確かにそうだ!」と大笑いしながら言った。
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翌日美琴はお使いの帰り道散歩がてら景色を楽しみながらのんびり歩いていた。
なんていうか…異様な雰囲気の景色なんだが間違えても悪霊や死霊などといった類は現れないとわかっていたので気持ちも楽である。
ただ万が一そういう者に出くわしたら脱走者なのですぐに報告しなくてはいけないが。
「おっ、またまたステータスオープンと言っている奴がいるな。これでもう何十人目かなぁ」
と思っていると、鬼が現れ連れ去ってしまった。それもまた見慣れた風景である。そんな事をぼんやり考えながら歩いていく。
ふと近くを見ると、なんだか見慣れない二人組の人達を見つけた。あれは初めて見る……。見たところ鬼……ではなさそうである。
「あの……どちら様ですか?」と尋ねるとその人達は振り返った。若い男女で男は黒いマントのようなものを羽織っていて女はなんて表現したらいいのか…ハロウィンなどでよく見るデビルコスチュームのような衣装を着ていた。コスプレ?とも一瞬思ったが違うようだ。ただ彼ら、特に女性の方は神秘的というより妖艶と言うべきか、かなり魅力的な感じだ。服装も相まってなおさら魅力的に映る。まるで男を惑わす悪魔のような……
「あ、あなた達は……まさか悪魔!」と叫びながら美琴は咄嗟に逃げようとする。しかし腕を掴まれてしまった。
「きゃっ!」と声を上げるがそのまま壁に押し付けられてしまい身動きが取れなくなってしまう。男の方が低い声で言った。
「いい女だ!地獄には珍しい、清楚で清純で素晴らしい」と言いながら興奮状態になっていた。
その様子を見た女悪魔も同調するように笑いながら言う。
「あははは!本当に清らかで美しい魂ね!ああ、食べちゃいたいわ!」と涎を垂らしながら言った。
男悪魔は興奮状態のまま美琴の服を破り脱がし始めてしまう。
「きゃあああ!!やめて!やめてください!」と叫び必死に抵抗するが無駄だった。が、
「はい、そこまで!それ位にしときなさいね。ここは人間界じゃないんだから」と女悪魔が男悪魔をぶん殴り男悪魔は正気に戻った。そして咳ばらいをし、
「すまない……あまりにも君が美しいもので我を忘れてしまった」と謝る男悪魔。
美琴は破れた服を抱き寄せ恥ずかしさに耐えていた。
「とりあえず、これ着ときなよ」と女悪魔は外套を脱ぐと美琴にかけてあげた。
「あ、ありがとうございます……」と礼を言うと
「いいよ、別に。あいつが暴走しちゃったみたいでごめんね」と女悪魔は苦笑いしながら謝った。男悪魔の方は我に返ったようで申し訳なさそうに頭を下げていた。
「ところで君は?」と男悪魔が尋ねると美琴は慌てて答える。
恥ずかしさのあまり声が震えているがそれでもなんとか話し始めた。
「は、はい……。衆合地獄で働かせていただいています。美琴と言います……。えっとあなた方は?」と尋ねる。
「ああ、そうか。まだ名乗っていなかったね。俺はディアボロス、こっちはベリアルだ」と言いながら隣に立っている美女を紹介した。
「よろしくね、美琴ちゃん♪」と微笑むと手を差し出してきた。彼女は少し照れながら手を握り返して返事をした。
「よ、よろしくお願いします!」と少し緊張しながら答える。
「はは、そんなに固くならなくてもいいよ、それよりさ羅夢さんて人知らないかな?会いに来たんだけどなにせここは広くって」
とディアボロスが聞くと美琴は笑顔で答えた。
「羅夢さんなら知ってるけど……えっ!?あの人の知り合いなんですか?」
と驚いた様子で聞き返す。それに対してベリアルが笑いながら言った。
「ああ、俺達はあいつとは付き合いが長くてな」
と言うとディアボロスも頷いて言う。
「まあ、腐れ縁て奴だ」と言われ美琴はますます混乱するばかりだった。
「あ、あの……あなた達って一体……」と聞くとベリアルは笑いながら言った。
「私達は魔界出身の悪魔なの。そして羅夢さんは私達の友人なのよ」
「え!?そうなんですか?」と驚く美琴に向かってディアボロスは真剣な顔をして言う。
「ああ、そうだとも。だから君にも危害を加えるつもりはないよ。それにしても君は本当に可愛らしいね」と言った。その言葉を聞き美琴は顔を赤らめて俯く。
「えへへ……そ、そんなことないですよ……」と言ったが内心まんざらでもなさそうである。それを見たベリアルはディアボロスに耳打ちした。
「ほら、やっぱり君が好みなんでしょ?彼女」とニヤニヤしながら言うと彼は不機嫌そうに答えた。
「違う。俺はただ普通に誉めただけだ」と言ってそっぽを向いてしまった。
「ふーん、そっかぁ~」とベリアルはニヤけた顔をしていた。それを見た美琴は少し疑問に思っていた。(何か変な事言っちゃったかな?)
と思っていたが次の瞬間には忘れていた。それよりもこの2人に興味津々だったがひとまず羅夢の元へ行くことに
したのであった。




