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ひかりちゃんの過去

「おお、ひかり。ここにいたか!ちょっとしたニュースだ!」と入ってきて大声で叫ぶ。

お菊はあからさまに迷惑そうに「ちょっと、うるさいんですけど」と文句を言っていたが羅夢は気にした風もなく続けた。

「それがよ。今、ちょうど三途の川でよ…」と言ったところでテレビを見て


「おお、ちょうどいい。こいつだ!こいつがいたんだ!」と言うとひかりは

「え?この人がどうしたんですか?」と尋ねると羅夢は言った。

「へ!?お前がそれゆう?お前にとっての一番の興味どころじゃねーのか?」

と訝しむ顔で聞くと

「この人がですか?」とひかりは首を傾げた。

「おいおい、本当に記憶ねーのかよ?この間浄玻璃鏡でお前の人生に出てきた男じゃねーかよ。この男に捨てられて自殺したんだろ?」と言うとひかりは驚愕の表情を浮かべていた。

「え!?ひかりちゃんて男の趣味酷くないですか?最悪じゃん」とお菊もドン引きである。


「えー、本当にこの…なんて言うか…クズという表現がぴったりの…私ってこんな男を好きだったんですか?いや、冗談ですよね…冗談と言ってくれますよね?」と事実を認められないひかり。

「いや、冗談じゃねーよ。それがお前の青春時代の事なんだろ。それにこいつさっき地獄に落とされてきてよ。いきなりこいつが『ステータス、オープン!』って叫び始めたんだよ」

「あーはいはい。また始まったね」

「何が始まったんだよ!」

「いえいえ、何でもないです。続けてください」というひかりだが顔が引きつっていた。

「ステータスなんちゃらはどうでもいいんだけどよ。私達を見てハーレムだ!って抱き着こうとしたんで青嵐が反射的に逆エビ固めやっちまったら背中がポキッといっちゃってな。仕方がないからそのまま閻魔様の所へ連れて行ったわけよ」


「あーあ、早速殺しちゃったんですか……」とお菊が呆れ顔をすると

「殺してねーよ!不死身なんだから!ま、不死身だから容赦なく青嵐の奴思いっきりやったんだろうけど」

と苦笑いする羅夢。

「じゃあ、今は地獄で刑罰を?」と聞くと羅夢は頷いて答えた。

「ああ、そうだぜ。だからひかりちゃんも拷問したがるかなーと思ってたんだけどな」

そう言うとひかりは真面目な顔をして答えた。


「うーん。でも羅夢さんが刑罰執行してくれるならそれでいいです。私は今更興味もありませんし」

と言うひかりに

「え?そーか?せっかくだし一発くらい殴っとく?」と羅夢が提案すると

「い、いいです、いいです、遠慮しときますって‥」

と顔をブンブン振りながら遠慮していた。


「本当にいいの?こんな屑野郎だけどさ。お前の命を絶つきっかけになった奴だぜ?」と確認するが、ひかりは首を横に振った。

「ええ、良いんです。どうせ殺してても不死身なので何の解決にもならないですから」と返すひかりを見て、羅夢は


「まあ、そういうなら無理強いはしねえよ」と言ったあと、真顔に戻り「しっかしこいつがなあ、信じられねーな。いくら漫画やアニメが好きなひかりでもそんな男好きになるはずねーんだがなあ」

と言ってまた首を捻る。

ひかりも「私だってあんな最低男が好きだったなんて信じられませんよ。しかも振られたのを苦に自殺って…、それこそ過去に戻って自分をぶん殴ってやりたい気分ですよ」と言いながらため息をつく。


「だよなあ」と羅夢も同意するとお菊も頷きながら

「……でもそんな男を好きになったからには何かきっかけがあったんじゃない?」

と言うとひかりは考え込む。

「きっかけですか?」と聞くと羅夢は

「まあ、どうせこういう類は顔だろ!それに不良ぽい所にでも惹かれたんだろ」

と言うとひかりは少し考えてから言った。


「うーん。よく分かんないですけど、私は学生時代地味で根暗で友達もいなかったし。ましてや彼氏なんて出来たこともなかったですし」

と俯く。

「ふーん、そういう所は覚えてるんだ?」

とお菊が聞くと

「はい。なんというか曖昧というか。高校以降の記憶は霧がかかったような状態なんです」と答える。


「霧ねえ、それは恋の霧かなあ?そしてそんな貴女はある日出会ってしまったの!星川隆久の輝きに!」とお菊が決め台詞のように言うが

「それこそクズの霧だろ?それって幻聴だったりしてな」

と羅夢に冷たくあしらわれる。

「はあ。二人とも冷たいですね。でも逆に記憶があったら頭がおかしくなりそうな気分だわ。なくてよかった位よ」とひかりは言った。すると羅夢は更に続ける。

「そうだよなあ。あんな記憶があったらつらいよなあ」

「え?あんな記憶って?」


「あ、いや、何でもない。こっちの事だ」と話しづらそうな羅夢を見てお菊は察した。

「そういえば、羅夢さんて閻魔様と一緒にひかりちゃんの過去をみたのですよね?」

「え?ばか!何もここでいう事じゃないだろ!」と慌てる羅夢にひかりは疑問符を浮かべた。


「閻魔様と一緒に私の過去を覗いたのってどういう事ですか?」

と言うとお菊は

「ああ、実はね。ひかりちゃんが本当の罪人かどうか調べる為に閻魔様と羅夢さんがね。浄玻璃鏡という鏡で過去の映像を覗いたのよ」と言った。

「ええ!そうなんですか?過去ってどこまで見えたんですか?」

と聞くとお菊は答えた。

「どうなの?羅夢さん?」と聞くと

「あー、えーとだなあ。全部って訳じゃねーんだけどよ。いや、全部か。」

と答えるとひかりは恥ずかしそうに顔を赤らめた。

「そ、そんなところまで見ちゃったんですか?」

と言うとお菊はニヤリと笑いながら

「へえー、ひかりちゃんの高校時代ねえ?あー、気になるわねえ!」と言った。

「いや、もうこの話はおしまい」と強引に終わらせたい羅夢だったが……。

「ねえねえ。何か印象的なことなかったの?」とお菊が言うと羅夢は

「お前!少しは察しろよ!知らない方が幸せな事だってあるんだぞ!」

と突っぱねた。するとお菊は


「ちえっ。まあ、確かにね。そうかも」と残念そうに言ったあと「でも…」

と言ってひかりを見ると

「気になるよねえ?自分の過去?」とニコニコしながら聞く。それを受けてひかりもまた同じように答える。


「はい!気になります!教えてください!」


「羅夢さん?どうします?」

と聞くお菊に羅夢は渋々といった感じで口を開いた。


「とりあえず一つだけ助言しとく。聞くか聞かないかはひかり次第だ」

と言って話し始めた。

「ひかりちゃん、お前を自殺にまで追いやる程の出来事なんだぞ!はっきり言ってやるが精神的に相当つらいぞ」

と聞いてひかりは首を傾げる。羅夢は更に続ける。

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