ひかりちゃん
「え?私が見えるんですか?」と聞いてきたので黄鬼はうなずいた。
そして、
「うん、見えるよ?君は誰?」と聞き返すと彼女はまた驚いた顔をした。
「え?あ、いや、その……あの……私はその……幽霊です」
と彼女は言ったので黄鬼は聞いた。
「うん、幽霊ってのは見ればわかるよ、名前を聞いてるんだけど?誰なの君は?」と言うと彼女は再び驚いた表情をして言った。
そして答えてくれた。
「は、はい!あ、あの、私はその……この部屋に住んでいた人で……名前は宮田 ひかりと申します」
と彼女は自己紹介をしてくれた。そこで黄鬼は思い出した。
ああ、これが例の幽霊か。
「え?ひかりちゃん?そうなの?ここに住んでたの?」
と聞くと彼女は答えてくれた。
「は、はい!そうです」と言うので黄鬼は聞いた。
「で?どうして幽霊になったの?」と聞くと彼女は少し悲しそうな顔をした後、答えてくれた。
「えっと……実は私……自殺したんです」と答えたので黄鬼は驚いた。
「いやいや、自殺したのは解ってるんだけど…その原因を聞いてるんだけど?」と聞く
と彼女はまた驚いた表情をした後で言った。
「は?自殺した原因ですか?あ、あれ……なんででしょうね?わかんなくなっちゃいました」
と言ったので黄鬼は呆れながら言った。
「いやいや、自分が自殺した理由くらい覚えときなよ!?しかしなんでそんなに可愛いのに自殺なんてしたんだろうねえ。勿体ない」と言うと彼女は少し恥ずかしそうな顔をした後で言った。
「か、可愛いですか!?本当にそう思います?」と聞いてきたので黄鬼はうなずきながら言った。
「うん、すっごく可愛いと思うよ」というと彼女は嬉しそうな顔をしながら言った。
そして楽しそうに会話は盛り上がっていった。そして2人はすっかり仲良くなった。
「うわー感動だわ…みんな私の事すり抜けて行っちゃうのに触れちゃうなんて」と言いながら黄鬼をペタペタ触りまくるひかり。そして黄鬼も答える。
「いや、まあ、俺からすると当然だけどね。触れなきゃ仕事にならないから」
「仕事って?」
「ああ、こう見えても地獄で亡者を相手にしてるからね」
「じ、地獄?亡者?え!、えーーーー!」とひかりは驚き恐怖した。
「わ、私を迎えに来たの?私地獄へ落ちるの…」と泣きそうだ。
「で、でも私てっきり天国に行けるもんだと思ってたんですけど……」と言うので黄鬼は
「天国?行けるわけないよ。だって自殺したんでしょ?君。自殺者は地獄行きと決まってるんだよ」と言うと彼女はショックを受けたような顔をした。
「そ、そんなぁ……。私、絶対天国に行けると思ってたのにぃ〜、地獄ってやっぱり…焼かれたり針の山とか…」と言いながら泣きそうな顔をしたので
「こればかりはなあ…気休め言ったところでわかっちゃう事だし…可哀そうだけど正直に話すよ…業火で焼かれたりプレスやミキサーにかけられてぐちゃぐちゃにされたり」
「や、やっぱ……やっぱ、そうですよねぇ……」と言いながら震え始めた。
「は、母が、母が言ったんです。人生は薔薇色だ。きっと良い事があるって。だから私頑張ったのに、こんな地獄に落とされるくらいなら……それならあの時……」
と今度は悔しさなのか拳を強く握り締めているひかり。その時ちょうどお菊が買い物から帰ってきた。
玄関を開けながら
「ただいまあ~黄鬼さん遅くなっちゃってごめんなさ~い……」と声を掛けると
「ひゃあ!」ひかりが驚き思わずお菊に抱き着いてしまったのだ。それには黄鬼も驚き立ち上がる
「え?は?え?」お菊はいきなり人に抱き着かれ戸惑い
「だ、誰!?」と言うとひかりは慌てて手を離すと黄鬼の影に隠れた。そして震えながら言った。
「あ、あの……あの……」と上手く言葉にならないようだ。黄鬼は心配になり声を掛けた。
「おい、どうした?大丈夫か?」と聞くと彼女は小さく震えながら答えた。
「私、私、…地獄へ行きたくないよ~」と大泣きし始めてしまった。
それを見てお菊は、
「え?え?地獄?え!?黄鬼さん、そちらの方は?」
と驚いた表情で聞いてきたので黄鬼は答えた。
「あ、ああ……この子は宮田ひかりちゃんって言うんだけど、この部屋に住んでた幽霊なんだよ」
と言うとお菊は納得したようだ。
「ああ、そうなんですか。はじめまして。私、お菊と申します。宜しくお願い致します」と頭を下げるのでひかりは慌てて自己紹介をした。
「あ、は、初めまして、私、宮田 ひかりと申します。あの……その……地獄へは行きたくないんです……」と再び涙声になるとお菊は優しく微笑んで言った。
「大丈夫ですよ。そんなに心配しなくても」と言うが
「いや、変に希望はもたせないほうがいい。ここははっきり言った方が覚悟も決まるだろう」と黄鬼は言った。
その言葉を聞いてまた泣き出しそうになるひかりを見てお菊は言った。そしてひかりに尋ねた。
「あの、ひかりさん、あなたは何かやり残したことや未練があるのですか?」と聞くと彼女は驚いた表情をした後答えた。
「やり残したことですか?未練とかは特にないんですけど……なんで自殺しちゃったのかな?って考えてしまいます。それがわかればまた生きられるかもって思ったりもして……でも結局は私、どうして死んじゃったんだろうなぁ~って考えると、やっぱりよくわからなくて……」
「だったら簡単にわかる方法がある。浄玻璃鏡を使えば一発さ。ただ閻魔様の所に行かなきゃならないけどな…その後はどの地獄へ落ちるかの判定になってしまうが…」
「じゃあ、閻魔様の所へ行こうよ。黄鬼さん。ひかりちゃん」
「え?お菊ちゃんが言ってくれるなら、まあ断る理由はないし……閻魔様は優しいからなあ……」
「やった!」
「ちょ、ちょっと待って……地獄……地獄……」
「ほら、ひかりちゃん行こうよ。きっと閻魔様も親切にしてくれるはずだし……」
「ひ、酷いよ~」
そう言いながらひかりは半泣き状態だった。そして黄鬼とお菊に手を引かれながら閻魔庁へと向かった。
閻魔庁に着くと入口で氷雨に出迎えられていた。その姿を見てひかりは更に青ざめた。
「うわあ!こ、怖い……」と呟き足がすくんでいるようだ。
「うう……、閻魔様……閻魔様ですか……」と震えている。
「大丈夫だって!ただの鏡で過去を覗き見るだけだから、ああ、それと閻魔様は優しいよ。人情深いし。まあ、威厳があるけど……見た目がねえ……」
「ひかりさん、怖がらなくても大丈夫ですって。ほら、行きましょ?」
二人に慰められながら進んでいく三人。そして鏡の前に立ち止まるとそこに写っていた映像にひかりは驚愕するのであった。
そこに写っていたのは自分自身であった。そして……首を吊って苦しんでいたのだ。
「え?……え?なに?……え?……」と自分の姿に戸惑いを隠せないでいると、声を掛けられた。
「ひかりちゃん……君が死んだ時の映像だよ……」
「え?これが私?嘘ぉ~信じられない……」
「これだけはハッキリしたな……君は自分で死を選んだ……」
その後どんどん過去に遡っていく。自殺の他、どんな業を重ねたのか調べるためだ。
「お……これは……」
「え?ひかりさん!え!?」
「いやあ……まさかとは思ったけど……」
そこには毎日のように学校をサボり友人と遊び回る姿が映し出されていた。そしてある日の事……学校帰りに男友達と一緒に歩いていた。どうやらカラオケに行こうとしていたらしいのだが……
「ねえ、〇〇君、今日、空いてる?」
「ああ、別に大丈夫だけど?」
「だったらさぁ~今から遊ばない?」
「え?良いけど?どこ行くの?」
「それは秘密……」
そんな会話があった後、ひかりとその友人の男はホテルへと入っていった。




