地獄の業火で試さないで‼
すると羅夢は
「おいおい、冗談じゃないぞ!また縛り上げて放り込むつもりかよ!」
と怒りを露わにする羅夢にルンルンは慌てて言った。
「あ、違いますよ!もう縛ったりしませんよ!それに羅夢さんにお願いというのはそのことです。山に入る前に美琴さんに眠ってもらい、その後、羅夢さんに放り込む事をお願いしたいんです」と答えると羅夢は
納得したような表情をした後、再び尋ねた。
「なるほど、だから私にもって事か……。すげー嫌な役割だな…、罪人なら容赦なく出来るんだが…美琴ちゃんか…」
と呟くと美琴の方を見て
「美琴ちゃん、どうする?」と尋ねると美琴はしばらく考えた後、答えた。
「わかりました……お願いします……」というので羅夢は大きくため息をつきながら答えた。
「わかったよ……じゃあ次の時に連れて行けばいいんだな?」と言うとルンルンは頷いた。
「穢れが燃え尽きたころ目が覚めると思います。その時は燃え盛る炎の中で目覚める事になりますのでキツイでしょうけど自力で脱出はお願いしますね」
「は、はい……」と怯えながら返事をする美琴だった。
それからルンルンは羅夢に種を手渡すと、
「それじゃあ羅夢さんお願いしますね。私はこれで失礼します。ああ、そうそう花の育て方はね‥」と育て方を一通り教えて去っていった。
羅夢は種を眺めながら言った。
「こんなんで眠りに落ちるのか?まあ、試しにやってみるしかないな」と呟くと羅夢は近くにいる獄卒に指示を出した。
「おーい、ちょっとお前。今すぐ煎じてくれ」と言い、種を受け取った獄卒が作業を始めるのを見てから羅夢は美琴に言った。
「じゃあ美琴ちゃん。ちょっとこれ飲んでくれるか?」と言って煎じた飲み物を差し出すと美琴は少し戸惑いながらも受け取り、一口飲んだ。するとすぐにその効果が表れたようでフラフラとその場に倒れてしまった。
「ちょ、ちょっとどうするんですか、これ?丸一日寝てるんでしょ」と青嵐が慌てて言うのをよそに羅夢は
「さーて、火口から叩き落すとこから始めようか」
「いやいや、あなた頭おかしいんじゃないの!まだ穢れを取るには早すぎるでし!まだ1週間と経ってないのに!」
と青嵐が叫ぶのをよそに、美琴を抱き抱えると
「ちょっと試してみるだけだよ」といって衆合地獄の業火の中に放り込んだ。
「ちょ、ちょっと羅夢さん、何やってるんですか。普通の地獄の業火って…」
翌日、目が覚めた美琴は炎の中だった。
「うう……熱い……」というと近くにいた羅夢がニヤニヤしながら言ってきた。
「美琴ちゃん、目が覚めた?おはよう」というと美琴は慌てて立ち上がると、目の前に広がる光景に絶句した。
そこはまさに灼熱地獄だったからだ。
「きゃー!あつ、熱い、…熱いって…」と悲鳴をあげ炎を身にまといながら転がり出てきた。皮膚は焼けただれボロボロの状態である。怪我が完治するまで1時間程度かかりそうだが
死にはしない。まあ、一応亡者だからな。
「うわー……想像以上にグロいな……」と呆然とする羅夢の声に美琴が答えた。
「もう最悪です……」と泣きそうになりながら言う美琴だったが羅夢はニヤニヤしながら言った。
「まあ、でも効果は抜群だったな」
「酷いですよ…嫌な役割だなって言っておきながら不動明王の炎でもない地獄の業火って。もう最悪です」
という美琴に羅夢は笑いながら言った。
「悪い悪い、美琴ちゃんがあまりに気持ち良さそうに寝てるからついさ。それにしても面白い体験だったな、あの種」
というと美琴は不貞腐れたように言った。
「面白くなんてありませんよ!痛いし熱いし最悪ですよ!羅夢さんのバカ!」と怒鳴ったが羅夢は気にする様子もなく言った。
「まあまあ、そうカリカリすんなって。ほら、お詫びにお菓子買ってきたぞ」と言って菓子折りを手渡すと美琴は受け取ったもののやはりまだ機嫌が悪いようでぷいっと顔を背けてしまった。
「ほんとに悪いって……。次からはちゃんと不動明王の炎の方に落とすからさ、許してくれよ」と言いながら頭を撫でるとやっと機嫌が直ったようで笑顔を見せてくれた。
「本当ですよね?嘘だったら承知しませんよ!」と怒りながら言う美琴に羅夢は笑顔で頷いた。
「もちろんだよ。約束する」と言うと美琴は嬉しそうに微笑んだ。
「わかりました。じゃあ今回は許してあげます。そのかわり睡魔の花を育てるの手伝ってくださいね」
と言って微笑む美琴に羅夢は頷いて答えた。
「それともう一つお願いがあるんですけど」
「ふう。まだあるの。何?」
「羅夢さんみたいにスレンダー体形ってどうやったらなれるか教えて欲しいんですけど」
「あ?なんだそんな事か……簡単だよ。まず胸はあまり大きくなりすぎないように常に押さえつける。腹筋はインナーマッスルで鍛える。脚は太ももを中心に鍛える。お尻は上を向くように鍛える。以上!」
「お尻が上を向くようにってどうやって?」
「お尻を突き出して筋トレする感じだな。私もあんまり詳しくないが……考えて作ってる体じゃないからねえ」
「いや、考えて作ってるでしょう!それぐらいの知識はあるはずでしょ」
「まあ、そうなんだけどね……。美琴ちゃんに教えるのは少々気が引ける……」
「な、なんで?」
「だって恥ずかしいじゃん。私が言うのもなんだけどさ。まあ、どうしてもっていうなら教えるけどさ……」と困った顔で言う羅夢を見て美琴は言った。
「じゃあやっぱりやめときます」と答えると羅夢は安堵の表情を浮かべて言った。
「ありがとうな……まあ、そのうちわかるさきっと」
「しかし青嵐さんといい弁天様と言いルンルンさんと言いスレンダー美人ばかリなんですよね。不思議な感じです。現世では巨乳ブームだったのに」
「まあ、貧乳って言い方とか巨乳って言い方もなんか問題がある気がするし、スレンダー体形の良さも分からない奴らは馬鹿だからさ」
と話すと美琴も同意するように頷いた。
そして、続けて言った。
「美琴ちゃんだってかなりスリムでスマート美人だと思うよ。十分可愛いじゃない。何が不満なのさ?」と言うと美琴は少し照れながら答えた。
「胸が小さいのがコンプレックスなんです。もう少しあったらって思ってて……」というと羅夢は呆れたように言った。
「はぁ……またそんな事言って……美琴ちゃんは今のままで十分すぎるくらい魅力的だよ。むしろこれ以上成長したらバランスが崩れて変になるかもしれないし」と言うと美琴は納得できない様子だった。
「そ、そうなんですかね?」と不安そうに聞いてくる美琴に対して羅夢は頷きながら言った。
「ああ、絶対そうだと思うよ。だから無理に大きくする必要なんてないさ」と言うと美琴は少し安心したようでほっとした表情を浮かべた。
「わかりました。じゃあ今はこのままでいいかな?」と聞くと羅夢は笑顔で答えた。
「ああ、それでいいと思うよ。」と言うと美琴は少し不安そうな表情で言った。
「でもやっぱり胸が大きくなるのは嬉しいですよ?皆んな羨ましがると思うんですよ」
と言うと羅夢は呆れたように言った。
「はぁ……またそんな事言って……牛のような胸になって何がいいのさ。重いし…第一逆にキモイだろ。想像してみろよ。顔より大きい胸なんて」
「そ、そうですね。確かに…」
と呟く美琴を見て羅夢は呆れたように言った。
「はぁ……まあ、そういう事だよ。今のままの方が絶対いいって」と諭すように言うと美琴は少し不満そうではあったが納得してくれたようだ。




