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恐怖の殺戮ウイルス 斑黒病

ある日何気に鬼達がテレビを見ていると時代の寵児と騒がれている一人の青年実業家がとても美しい女性、可憐との婚約を発表した事で世間を騒がしていた。

そして記者会見で彼はこう宣言した。


「このたび僕は運命の人と巡り合うことができました!」と熱く語っていた。

しかし記者から質問が飛んだ。

「可憐さんとの出会いはどのような形で出会われたのですか?」

彼は答える


「えーと、お恥ずかしい話ですが…道を歩いていたら偶然目が合いまして…ええ、もう一目ぼれです。速攻で交際を申し込みました」

その言葉を聞き可憐は微笑んだ。


それを見て記者たちはザワついた。

「すごい行動力ですね。可憐さんの方はどうだったのですか?」

「ええ、私も最初は驚きましたけど彼の真剣な想いが伝わってきて心打たれてしまいました」と答え、二人は照れながら微笑んだ。

さらに別の記者が質問した。

「お二人が惹かれ合った理由は何だと思いますか?」

その質問に対し彼は答えた。

「僕たちの結びつきはとても強く深い絆で結ばれています。その絆を大切にしていきたいと思っています」と答えると可憐も同調するように言った。

「私も同じ意見です。私たちの未来を共に歩みたいと思っています」と彼女は言うと周囲からは歓声が上がった。

すると最後の質問が出された。

「それでは最後にファンに向けてメッセージをお願いいたします!」

その質問に答えたのは彼だった。

「皆さん応援ありがとうございました。これからも僕たちの活躍を期待してください!」と言って二人は深々と礼をして会見場を後にした。



テレビを見ていた羅夢は

「あれってもしかして妲己さんなの?それにしても何?あのしおらしいさは…まるで雰囲気が別人なんだけど…」

すると青嵐も続けて言った。

「そうですね。可憐とか言う名前に変わってますけど……絶対妲己さんですね」

それまで静観していた氷雨は冷静な口調で言った。


「まあ、妲己のことだからな。これくらいは朝飯前だろう。奴は自分の目的の為ならどんな手段も使うからな」

「そうね。さしずめこれは布石なのでしょうね」と羅夢が答えると青嵐が疑問をぶつけてきた。

「でも彼女何が目的なんですか?彼を利用して世間に混乱をもたらすつもりなんですか?」と尋ねると羅夢は首を縦に振った。そして氷雨が補足するように言った。

「ああ。おそらくそうだろうな。奴の狙いはそれだ」

「え?それってどういうことですか?」と美琴が聞き返すと羅夢が説明した。

「つまりあいつは……」


「まあ待て羅夢。私が説明する。妲己は魅了した相手の心を操る事ができる。そしてその男が堕落した時に絶望を与えることで奴自身が喜ぶのだ」

氷雨がそういうと美琴は震えながら言った。

「そんな!ひどすぎます!何もそこまでしなくてもいいじゃないですか!」と怒りを露にする。それを見た氷雨は冷静に言った。

「残念だがそれが妲己の性分だ。だからこそ恐ろしい女だと言える」


「じゃあどうすればいいんですか?」と美琴が聞くと氷雨は答えた。

「私達は見てるだけしか出来ないな。慈善団体じゃないんだしそもそも地獄の鬼が彼に同情するのもおかしな話だし」と言った。

すると羅夢が立ち上がりながら言った。

「そうですね。妲己の好きにさせておきましょう。何をやっても我々には関係のない事です」と言い残し部屋を出て行ってしまった。

「羅夢さん!どこに行くんですか!?仕事がまだ残ってるんですよ!」と青嵐が呼び止めるが彼女は振り返ることなく去って行った。それを黙って見送る青嵐。


「氷雨様。やはり私には妲己さんの行動が理解できません。どうして彼女はそこまで他人を不幸にしたがるのでしょうか?」と美琴が聞くと氷雨は答えた。

「美琴……お前は優しい子だな。だがな世の中にはどうしてもそういう奴もいるんだ。奴にとって自分だけが全てなんだよ」と言うと美琴は悲しそうな顔をした。

それから数日後、ニュースを見ている鬼達に衝撃的な内容の報道が流れた。

なんと可憐が殺害されたというものだった。彼女を殺した犯人はまだ捕まっていないとのことだった。


「え!?何!?どういう事!?」と青嵐が叫ぶ。すると氷雨が冷静な口調で言った。


「どうやら妲己が殺害されたようだな」

その言葉を聞いた羅夢は驚きを隠せないでいた。

「え?殺された!?あの女が!?」

それを見た青嵐が言った。

「でもどうして妲己さんが殺されるんですか?普通に考えてあり得ないんですけど」

すると氷雨が言った。

「ああ。あり得ない事だ。だが現実に起こっている事だ」

するとそこに妲己がやってきた。そして何事もなかったかのように椅子に座りコーヒーを飲み始めた。

それを見た羅夢は

「妲己さん!?やっぱり生きていたんだな?あのまま本当に死んでりゃ良かったのにな」

「ふふ。羅夢さんったら、嬉しいことを言ってくれるわね」

「妲己さん。どうやって生き延びたんですか?」と美琴が聞くと彼女は微笑みながら答えた。


「ふふ。それに関しては答えられないわね。でも一つ言える事があるとすれば……」

妲己は言葉を区切り、少し間を置いてから続けた。

「これから楽しいショーの幕開けだ」と微笑みながら言った。その笑顔はとても美しかったが同時に恐怖を感じるものだった。

それを聞いた羅夢達は背筋が凍る思いがした。

すると妲己は言った。

「まあ、楽しみにしていて頂戴」というと妲己は帰っていった。

それを見た鬼達は顔を見合わせていた。


「妲己さん……一体何を考えているんですかね?」と美琴が不安げに言った。

それに答える者はいなかった。ただ皆、それぞれの思いを胸に抱いていた。そして妲己の言うショーの幕開けとは一体何なのか?


# # #

そして何事もなく数日が過ぎたある日それは突然発生した。

とある医療施設で保管していたウイルスに従業員の一人が感染したというのだ。

しかもそのウイルスは人工的に作られたものでペスト並みの感染力と天然痘並みの致死率を持つ危険なウイルスだった。


それから数時間が経過すると感染者は急激に増え、パンデミックが起こってしまったのだ。

その事実を知った政府は危険性を認識し即座に対策本部を設置した。そしてWHOにも要請を出した。

しかし各国の反応は鈍く、また一部の国は自国の利益を優先し対策に非協力的だった。

そのため治療薬やワクチンの研究開発が遅れてしまい事態は深刻化していくばかりであった。

そして世界のトップクラスの大企業であるレーアエンタープライズの社長であり時の人だった彼が人工ウイルスのワクチンを持っている事を公表し、株価は天井知らずで上がる一方だった。


ニュースを見ていた鬼達はざわついていた。

「おいおいマジかよ?ついにやってきたってか?」

「ああ。あの女が言っていたことが現実になったな」

「でも、妲己さん何処に消えたのかしら?」

「まあ、奴がやろうとしている事が何かはわからんがいずれ何か行動に出るはずだ」と氷雨が言うと青嵐が言った。

「その時はしっかりと動画撮影しておかないといけませんね!」と言うと全員が苦笑した。

そして妲己によるショーが始まるのであった。


数週間後、レーアエンタープライズの株価がどんどん上がり続けていた。

そして社長の彼の個人資産も爆上がりしていた。

それとは裏腹に驚異の殺戮ウイルスによってどんどん死者の数が増えていく中、ワクチンの希少性は増し法外な値段へと推移していった。

その結果、レーアエンタープライズの株式は天井知らずで上がり続け、世界で一番の富豪として君臨することとなった。

殺戮ウイルスの名前も天然痘並みの致死率とペスト並みの感染力から斑黒病はんこくびょうとつけられ別名、顔無しの死神と呼ばれるようになっていた。

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