等活地獄
##### 地獄にて
美琴が退社の準備をしていると
「ねえ、美琴ちゃん。今日は飲みに行くんだけど一緒に行かない?」と羅夢が誘ってくる。
「え!嬉しいです。しかし地獄にもそんな店があるんですか?」
と返すと
「地獄にも色々あるさ。お酒を提供するような店もある。そういった店は現世にあるようなお洒落なお店がほとんどだけどね」と言うと美琴は目を輝かせながら言った。
「へー!そうなんですね!ぜひ行かせて下さい!」と嬉しそうに答えると羅夢は笑顔で言った。
「うん。いいよ。じゃあ行こうか。青嵐も来る?」
「当然です!羅夢さんの誘いは断れませんからね」
「さっき地獄にもお洒落な店あるって言ったけど勘違いしちゃダメよ。そこに来る連中は大概ヤバい奴らばかりだから」
「え?それはどういう事ですか?」と不安そうな顔をする美琴に
「いくら見た目はお洒落でも地獄にあるって事を忘れちゃいけないよ。きみい」
と言いながら歩き出す羅夢に青嵐も続く。
「た、確かにそうですね。見た目に騙されてはいけませんよね」と納得する美琴であった。
#####
羅夢達三人は目的地のお店に到着する。それはバー『魔女狩り』という店名だった。
店内には多くの客がおり皆楽しそうに飲んでいた。
「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でしょうか?」とカウンター越しに声を掛けてくる女性がいる。
その女性はとても美しい容姿をしており肌は白く髪は銀色だった。そして瞳の色は赤色をしている。
「予約していませんが入れますか?」と尋ねる羅夢に対しその女性は笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。ただいま込み合っていますのでテーブル席しか空いておりませんが宜しいでしょうか?」と言うと三人は頷いた。
「わかりました。ではこちらへどうぞ」と店員に案内され席に着くとメニュー表を渡されたのでそれを開いてみた。
「なになに……まずはビールからいくか……」とメニューを見ながら注文する羅夢であった。
「私は梅酒でお願いします」と青嵐。
「あたしはテキーラサンライズでお願いします」と美琴が言うと
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」と言って厨房に戻って行った。
その後飲み物が運ばれてきたので乾杯をした。
「かんぱ~い!」と元気よくグラスを掲げる美琴に対して二人も微笑みながら応える。そしてそれぞれ好きなように飲み始めた。
しばらくすると美琴は顔を赤くしながら上機嫌になってきたので羅夢が忠告する。
「美琴ちゃん、あまり飲み過ぎないようにね。明日も仕事なんだから」と注意すると
「えへへ~、わかってまーす」とヘラヘラしながら答えるのを見て青嵐は苦笑しながら言った。
「ところで以前から聞きたかった事があるんですけど」と美琴が言うと二人は彼女を見る。
「美琴ちゃん何?」と尋ねると
「私って誰に呪い殺されたのでしょう?殺された理由も解らないし…。恨まれる心当たりが全然思いつかないんですよ」
と言うと二人は顔を見合わせる。そして暫く沈黙した後羅夢が口を開いた。
「それは……」と言いかけたがそれ以上言葉が出てこなかった。その様子を見て美琴は察したのか悲しそうな表情を浮かべた。そんな様子を見て青嵐もフォローするように言う。
「まあ、いいじゃないか。今はこうして元気にやってるんだし過去の事なんて忘れた方が良いさ」と言うがやはり美琴は納得できない様子だったが
「知らない方が幸せという事もあるしさ。もう気にしない方がいいと思うよ」
「そう言われるとかえって気になっちゃいますよ。被害者として誰に殺されたのかくらいは知る権利はあると思うのですけど」
と珍しく怒り顔になる美琴だが
「気持ちは痛いほどわかるけど……、本当に知りたいのかい?殺された理由もさ。かなり残酷なもんだよ。あんたには少しばかり荷が重すぎる内容だ」
「はい!大丈夫です!」と即答する美琴にため息をつくと羅夢が口を開いた。
「わかったよ。じゃあ教えるけど後悔しないでね」と言うと彼女は頷いた。
「はい!教えてください!」と言うので羅夢は話し始めた。それはとても残酷な真実だったのだ。
「あんたは不倫相手の愛人の企みによって呪殺されたんだよ。旦那に惚れてた女のね」
そう聞いて美琴は愕然とする。
「それって……どういう事ですか?」と尋ねる美琴に対し羅夢は淡々と語り始めた。
「つまりあんたは旦那の不倫相手の女に嫉妬されて殺されたということだよ」
と言うと美琴は泣き崩れてしまった。それを見て二人は慌てるが
「大丈夫?ごめんね。無理に教えたりして」と羅夢が慰めると美琴は涙を拭いながら言った。
「いいえ、いいんです。でも私を恨んでいた女性よりも旦那の方が許せません!あんなに愛していたのに陰で私を裏切っていたなんて」
そう言うとまた泣き出してしまった。それを見た二人は顔を見合わせるが何も言えないでいた。
その後しばらく泣いていたが最後は開き直ったのかサバサバしていた。きっと溜まっていたもやもやをぶちまけてスッキリしたのだろう。
「まあ、殺された原因がわかってよかったよ。あと呪い殺した女も一応罰は受けてるから。私達が手を下した訳じゃないけどね」
それを聞いて美琴は少しだけ安心したのかホッとした表情で微笑んだ。
「そうですか。少しでも罰を受けたなら幸いです」と言った。
羅夢もそれを見て安堵したようだ。
「それにね彼らはいずれここに来ることは決まってるんだし、その時盛大に拷問してあげなよ。私達も協力するから」
と言うと美琴は笑顔で応えた。
「えへへ!そうですね!楽しみにしています!」
その様子を見て二人も微笑んだ。こうして楽しい時間は過ぎていき解散する事になったのであった。
「羅夢さん、青嵐さん今日はありがとうございました」と笑顔でお礼を言うと二人も笑顔で答える。
「どういたしまして。また行きましょう」と羅夢が言い二人は帰路に就いた。
(ふふ、羅夢さん青嵐さん本当にいい人達だな)
#####
「あれ?青嵐さんおでかけ?どこに行くのですか?」と美琴は興味本位で尋ねる。
「ちょっと等活地獄までね。牛頭さんと馬頭さんに用があってね」
「いいな~私もついて行っていいですか?」と目を輝かせるが青嵐は冷たい声で
「遊びじゃないんですよ。あなたみたいな純情な子が牛頭さんや馬頭さんなんて見たら悲鳴上げて腰抜かすわよ!」
すると遠くから羅夢の声がした。
「あ、そうそう、できれば美琴ちゃんも連れて行ってもらえる?色んな経験させたいのよ」
「ええ~~っ、なんでよ!」
「牛頭さん馬頭さんの部下たちにとっていい息抜きになると思うんだよね。最近あっちも暇潰しを求めてるみたいだし。もちろん無理強いはしないよ。まあ青嵐が連れて行きたくなかったらいいんだけど」
「そ、それは……」と言って青嵐は沈黙してしまった。そしてしばらく考えたあと決心したように言った。
「わかりました。連れて行きます」と答える青嵐に対して羅夢は嬉しそうな顔をした後言った。
「よし!決まりね!じゃあ早速行ってきて!あっ、絶対に危ないことしないでね!」と言うと青嵐は頷いた。
「わかりました。じゃあ、行ってきます」と言った後青嵐は美琴の方を見て言った。
「美琴さん行きますよ。早く準備してください」と言うと彼女は慌てて準備をする。
「はい!すぐ行きます!」と言って二人は出発したのであった。




