ー4章ー 27話 「歓喜の報せ」
ベルムランドから足早に森へと戻ったリゼル。
セリオンは生きていた……その事を知りたいのは皆も同じ。
あまり浮かれ気分でいると、周りの人に勘づかれる可能性があったため、いつも通りのポーカーフェイスで街へと入って行く。
広場に着くとオルセアが薪割りをしていた。
「ん?戻ったか。済まないなリゼル、色々と大変だっただろ?」
オルセアはリゼルの労をねぎらい、リゼルを椅子に座らせ、お茶を出した。
「アレンみたいにはいかないが……俺の入れたお茶もなかなかだぞ?」
「オルセア様……重大な情報をお伝えしたいので、午後子供達が稽古に出た後に、オルセア様のお宅をお借りできますか?」
かなり神妙な面持ちである事から、何かあったのだと瞬時に理解した。
「分かった、後で聞こう。まずは少し休め」
少し落ち着いたのか、リゼルは出されたお茶を一口。
「……オルセア様……これ、ミント湯です」
「………え?」
昼食を済ませ、子供たちはそれぞれの目標に向かって稽古へと出掛けた。
日に日に成長しているのを感じられ、顔つきもどこか大人びて見えた。
子供たちを見送ったところで、オルセアと勇者パーティのメンバーは、オルセア宅へと移動した。
「リゼル。重大な情報と言っていたが、何があった?」
誰かに聞かれてはマズい情報だという事は分かるが、魔王に関連した事なのか、それとも別の何かなのか。
注目が集まる中、リゼルが口を開いた。
「まずは不穏な情報から。グランゼルがベルムランドに再侵攻しようとしている。ドラクマに私も加われと言われたけど、断った」
「お前、よく無事だったな!相手はドラクマだぞ!?」
欲しいものは何としても手に入れるドラクマの元から、無事に生還した事に驚きを隠せない一同。
「向こうがボロを出したから、論破してやった。悔しがる顔が見物だったわ。はっはっは」
無表情で笑うリゼルに、全員が唖然とした。
「しかしベルムランドに再侵攻とは……その事はベルムランドには伝えたのか?」
「もちろん。後で話すけど……メルフェリア、ベルムランドに結界を張って。私も罠を仕掛ける」
「分かったわ。でもリゼルがやる気満々なのは久しぶりね。何かあったの?」
リゼルは何事も淡々とこなすタイプの人間で、やる気の有る無しの判断が難しい。
だが、長年付き合いのあるメルフェリアたちには、今リゼルがやる気に満ちているのが分かった。
「じゃぁ、一番重要な情報。……セリオンはベルムランドで生きている」
あまりの衝撃に、全員が言葉を失った。
静まり返った部屋に、そっと全員の嗚咽が漏れ出す。
ずっと胸の奥に閉まっていた感情が溢れ出し、歓喜と共に咽び泣いた。
「……そうか……生きていたか……良かった」
オルセアは胸に突き刺さっていた、師匠として何もしてやれなかったという後悔の念が、少し和らいたように感じていた。




