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ー4章ー 25話 「勇者の死と、新たな人生」

静寂の謁見の間はバルクス王の声によって、その沈黙が破られた。


「うむ……話は分かった。セリオンよ、色々と苦労されたのだな。お主ほどの人物であったとしても、やはり愛する者達を盾に取られては、抗う事などできまい……」


バルクス王は静かに、優しい声色でセリオンに語りかけた。


「グランゼル王の思惑は、わしも承知しておる。お前の師であるオルセアから、時折情勢を聞いておったからな。だが、まさか勇者セリオンをこのような争いの指揮をさせるとは……先代グランゼル王が危惧していた事は、虚しくも当たってしまったか……」


当時バルクス王は、先代グランゼル・ハイデン王と親交があった。


隣国同士、助け合いながら互いの繁栄に寄与していたのだ。


ハイデン王はずっと次期国王について、バルクス王に相談していた……ドラクマは、災厄をもたらす王になるかもしれないと。


「バルクス王、それにレオルド殿。矜恃を失くした者の話を聞いて頂けただけで、私は満足です。罪は罪……許されるものではありません……どうか断罪を!」


セリオンの心はずっと闇の中にあったが、話を誠実に聞いて貰えた事で、少しだけ穏やかさを取り戻していた。


「おいおい、気持ちは分かるが……早まるなって。どうでしょう、バルクス王。何とかなりませんかねぇ」


「はははっ!レオルドよ、そのためにセリオンを死なせたのであろう?……どこまでも先手を取るのが上手い奴だ。分かっておる」


バルクス王は膝まづくセリオンの前に足を運び、両肩をポンと叩いた。


「勇者セリオン・アーディアは、ベルムランド侵攻により戦死した。その死をもって、セリオンへの罰とする。名声と抗えぬ悪名を背負ったのだ……それで十分ではないかな?」


「流石はバルクス王、名裁きです!」


セリオンは肩を震わせて泣いた。

人の優しさとは、こんなにも温かいのかと。


「ときにセリオン。行く宛てがないのであれば、暫くベルムランドで暮らすがよい。今後の事をゆっくり考える時間も必要であろう。……そうだな、今後はカイル・シルフォードと名乗るがよい。オルセアには世話になったからな……わしからの贈り物だ」


「………あり…がとう……ございます!」


「良かったな、セリオン……いや、カイルだったか。まぁ暫くはゆっくりしなって。落ち着いたら気晴らしに、若い兵たちへ剣の指導でもしてやってくれ」


こうして勇者セリオン・アーディアとしての人生に幕を下ろした。


そしてカイル・シルフォードとして、新たな人生を歩むために、暫くの時間を必要とした。


……然るべき時が訪れるまで、生きている事を隠しながら。






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