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ー4章ー 20話 「生きていた勇者」

リゼルは近衛騎士隊長であるレオルドを信用し、魔王復活の動きがあるという情報を教えた。


本来なら王へ直接伝えるべき話なのだが、謁見は叶わなかった。


ベルムランドの事情からすれば、英雄の使者という事一つで拒絶されるのは当然ではある。


だがレオルドはそれを知って尚、リゼルの話に耳を傾けた。


……そしてポツリと呟いた一言。


この男は今回の予兆が起こる事を知っていたのだろうか?


「そうか……いやぁ有り難い情報だ、感謝するよ。しかし暫く消息が分からなかった英雄、リゼル・クロイスさん自ら来てくれるなんて、光栄だな」


リゼルは咄嗟に身構えた。

ベルムランドの心情からすれば、英雄は敵。


しかもリゼル・クロイスだということも知っていた。


ここで事を構えるつもりはないが、最悪の事態は想定しておかなければならない。


「いやいや、誤解したのなら謝る。争うつもりはないんだ……ただ、そっちがその気なら話は別だけどね」


リゼルは構えを解き、ホッと息を吐いた。


「すまないねぇ、リゼルさんもうちの事情は知ってるでしょ?でも俺はセリオンを責めたりしてないんだ……彼は抗えず、利用されただけだからね」


セリオンの事を知っている人物。

つまり、勇者パーティが一度解散した後の出来事を知っている人。

セリオンと直接対峙したかもしれない人。


リゼルは自分の知らない真実を……セリオンが死んだ本当の経緯を知れるかもしれないと、心のどこかで期待していた。


……セリオンの本当の最後を知るものは、仲間の中にはいないのだから。


グランゼルとベルムランドの争い。

その事でリゼルはハッと思い出した事があった。


「もう一つ伝えておく事があります」


レオルドは少し不思議そうな顔をしたが、リゼルの真剣な眼差しに態度を改めた。


「グランゼル王国が鉱山……いや、ベルムランドを近々再侵攻する事を目論んでいます」


その言葉に肩を震わせたレオルド。


一体何度攻め込めば気が済むのか……無用な血をいくら流せばその強欲は収まるのか。


きっと彼も幾度となくグランゼル軍と対峙してきたのだろう。

そして多くの罪もない仲間を見送ってきたのだろう。


そう思うとリゼルも抑えきれない怒りに支配されそうになっていた。


「……そうか、そんな情報まで。本当にありがとう、お陰で今度はこちらも遅れを取らずに済みそうだ」


レオルドは怒りを堪えながら、リゼルの情報に心から感謝した。


「……これは、私の独断でキミに教える事だ。どうか英雄の仲間以外には、他言無用に願いたい……」


何を言いたいのかは分からなかったが、何か重要な事を伝えようとしているのは分かった。


情報を貰いっぱなしでは申し訳ないとでも思ったのか……それとも。


「……勇者セリオンは、生きている。この国でな」


突然訳もなく涙が溢れ出した。


……生きていた。

その言葉にただ、救われた。




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