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ー4章ー 17話 「侵略の王 ― グランゼル王国の野望」

オスカー・フェルドが森へ来訪していた同じ頃。


グランゼル王国では、現国王であるグランゼル・ドラクマが不穏な動きを見せようとしていた。


「エドヴァルト大臣、徴兵の進捗はどうなっておる?」


「はい。現在総力を挙げて進めておりますが……当初見込んでいた状況にはなく、中流階級以下の民が、国を離れておりまして……」


いつもは冷静沈着な王の側近として名高いエドヴァルト・ハプス大臣ですら、今回の軍備増強による増税……つまり、中流階級以下の国民を徴兵しようという目論みが裏目に出ている事に頭を抱えていたのだった。


「なぜ国を去る者を止めなかったのだ!これではベルムランド侵攻が絵に描いた餅になるではないか!」


グランゼル・ドラクマは激昂したが、今や中流階級以下の国民はグランゼル王国最大の商会である、ボルン商会の働きによって情報が国中に密かに広まり、無意味な徴兵制度から難を逃れた格好になっていた。


グランゼル、ベルムランド、アステルドの三国の中で最も軍事力があるとされているグランゼル王国ではあるが、オルセアや勇者パーティがまだグランゼル王国に属していた頃、ベルムランド侵攻を試みた事があった。


グランゼル王国は、ベルムランド王国領にある、鉱物資源が狙いだった。


しかし当時のベルムランド王国は、グランゼル王国に次ぐ軍事力を誇っていた。


当然ながら鉱物資源を狙われるのは百も承知していたベルムランド王国は、日々鉱物資源略奪に対する戦略を幾つも考えていたのだった。


これが功を奏してグランゼル侵攻を防いたのだ。


そのすぐ後、魔物の大侵攻が始まりグランゼルとベルムランドは停戦協定を結び、現在に至っている。


しかしグランゼル王国は諦めていなかった。


オルセア達による魔王封印が成された後、国王主導の秘密会議が発足。


何としても鉱物資源を手に入れたいグランゼル・ドラクマは、侵攻計画と共に攻める機会を伺っていたのだ。


徴兵制度を強化し、圧倒的軍事力をもってベルムランド王国自体を崩壊へと導く。


もはや狙いは鉱物資源のみならず、邪魔な国家ごと葬りさろうという、暴挙とも言える侵攻計画を掲げたのだった。


「王……徴兵に関しては、ベルムランド侵攻の際、ベルムランド兵を出来るだけ捕虜とし、そののち寝返らせる……というのはいかがかと。金を握らせ、家族にも温情を与えるとすれば、心変わりをする者も多く現れるでしょう。さすれば、その後の侵攻も容易になるのでは?」


「……うむ、仕方あるまい。税に関しては何とする?国民が減った以上、財政逼迫も止めねばならぬぞ?」


「そこは侵攻に成功すれば、あちらにも富豪達も多く居りましょうから問題はないかと」


グランゼル王国は、ベルムランド侵攻へと舵を切り、魔王復活に関しての情報や、世界の変化など気が付いていなかった。


この後訪れるリゼル・クロイスが現れるまでは。


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